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女子のトイレ
「待てよ、美咲! ……あ、でもやっぱり、今の美咲の方が可愛いよ!」
「……っ! うるさい、バカ健太!」
夕暮れの街に、二人の笑い声と照れ隠しの怒鳴り声が響いていった。
歩き出しながら、健太はさらに思い出した衝撃的な光景を口にした。
「あ、そうだ! 思い出した。あべこべな世界ではさ、女子が小便器で用を足すんだよ! 俺、初めて見た時、本当にビックリしちゃってさ……」
「……はぁっ!?」
美咲はついに足を止め、信じられないものを見るような目で健太を凝視した。その顔は、もはや赤を通り越して、羞恥と困惑で引きつっている。
「ちょ、ちょっと健太くん! さっきから聞いてれば、どんどん話がエスカレートして……! 何なのよその夢、デリカシーがなさすぎるわよ!」
「いや、俺だって最初は目を疑ったよ! でもあっちの世界じゃ、女子が立って用を足すのが当たり前で、逆に男子は個室に隠れて座ってしなきゃいけないんだ。トイレの構造自体がこっちと逆なんだよ」
健太は身振り手振りを交えて必死に説明するが、美咲は耳を塞ぎたいと言わんばかりに顔を背けた。
「もういい、もういいから! 女子が小便器なんて……想像しただけで頭が痛くなるわ。健太くん、あっちの世界で一体どんなものを見てきたのよ……」
「だから、それが『普通』の光景なんだって。女子たちが並んで用を足しながら、『今日のテスト、マジ最悪だったわー』なんて世間話してるんだぜ? 俺、あっちで女子の体だった時、どうすればいいか分からなくて本当に困ったんだから」
「……健太くん、お願いだからもう黙って」
美咲は深い溜息をつき、呆れたように首を振った。
「そんな世界、絶対に行きたくないわ。男の人が赤ちゃんを産んだり、女の子が立ってトイレしたり……。そんなの、めちゃくちゃじゃない」
「だろ? だから俺、こっちに戻ってきて美咲に会った時、本当に安心したんだ。美咲がちゃんと、俺の知ってる美咲でいてくれてさ」
健太がしみじみと言うと、美咲は少しだけ毒気を抜かれたように、伏し目がちに呟いた。
「……当たり前でしょ。私は女の子なんだから。……でも、健太くんがそんなに必死に話すってことは、本当にそんな世界を見てきたみたいね」
美咲は少しだけ健太との距離を詰めると、いたずらっぽく笑った。
「でも、もしまたその世界に行っちゃっても、変なことしちゃダメよ? 女子の体になったからって、ジロジロ見たり……その、変な使い方しちゃダメなんだからね!」
「しないよ! ……っていうか、もう二度とあっちには行きたくないってば」
二人は顔を見合わせて笑い合い、またゆっくりと歩き出した。夕闇が迫る街の中で、あべこべな世界の記憶は少しずつ現実味を失い、健太にとっての「いつもの日常」が、より一層大切で愛おしいものへと変わっていった。
「……っ! うるさい、バカ健太!」
夕暮れの街に、二人の笑い声と照れ隠しの怒鳴り声が響いていった。
歩き出しながら、健太はさらに思い出した衝撃的な光景を口にした。
「あ、そうだ! 思い出した。あべこべな世界ではさ、女子が小便器で用を足すんだよ! 俺、初めて見た時、本当にビックリしちゃってさ……」
「……はぁっ!?」
美咲はついに足を止め、信じられないものを見るような目で健太を凝視した。その顔は、もはや赤を通り越して、羞恥と困惑で引きつっている。
「ちょ、ちょっと健太くん! さっきから聞いてれば、どんどん話がエスカレートして……! 何なのよその夢、デリカシーがなさすぎるわよ!」
「いや、俺だって最初は目を疑ったよ! でもあっちの世界じゃ、女子が立って用を足すのが当たり前で、逆に男子は個室に隠れて座ってしなきゃいけないんだ。トイレの構造自体がこっちと逆なんだよ」
健太は身振り手振りを交えて必死に説明するが、美咲は耳を塞ぎたいと言わんばかりに顔を背けた。
「もういい、もういいから! 女子が小便器なんて……想像しただけで頭が痛くなるわ。健太くん、あっちの世界で一体どんなものを見てきたのよ……」
「だから、それが『普通』の光景なんだって。女子たちが並んで用を足しながら、『今日のテスト、マジ最悪だったわー』なんて世間話してるんだぜ? 俺、あっちで女子の体だった時、どうすればいいか分からなくて本当に困ったんだから」
「……健太くん、お願いだからもう黙って」
美咲は深い溜息をつき、呆れたように首を振った。
「そんな世界、絶対に行きたくないわ。男の人が赤ちゃんを産んだり、女の子が立ってトイレしたり……。そんなの、めちゃくちゃじゃない」
「だろ? だから俺、こっちに戻ってきて美咲に会った時、本当に安心したんだ。美咲がちゃんと、俺の知ってる美咲でいてくれてさ」
健太がしみじみと言うと、美咲は少しだけ毒気を抜かれたように、伏し目がちに呟いた。
「……当たり前でしょ。私は女の子なんだから。……でも、健太くんがそんなに必死に話すってことは、本当にそんな世界を見てきたみたいね」
美咲は少しだけ健太との距離を詰めると、いたずらっぽく笑った。
「でも、もしまたその世界に行っちゃっても、変なことしちゃダメよ? 女子の体になったからって、ジロジロ見たり……その、変な使い方しちゃダメなんだからね!」
「しないよ! ……っていうか、もう二度とあっちには行きたくないってば」
二人は顔を見合わせて笑い合い、またゆっくりと歩き出した。夕闇が迫る街の中で、あべこべな世界の記憶は少しずつ現実味を失い、健太にとっての「いつもの日常」が、より一層大切で愛おしいものへと変わっていった。