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ケビンの謝罪を聞いてから3日後。
私は新しく雇われた専属の侍女達に着飾られていた。
黒髪には丁寧に編み込まれお花の髪飾りをつけられる。
ドレスは紺色でスカートの縁には白い薔薇の刺繍がしてあり大人っぽくも可愛らしいデザインだ。
なんでもお城で新人の騎士を歓迎するパーティーがあるらしく、そこにサイアスと共に私も参加しなければならないらしい。
パーティーは夕方からだが、私は朝の5時に起こされてあれこれ準備された。
休憩を挟みながら準備していたらあっという間に夕方だ。
そばかすの侍女セーラ曰く「ルヴィアナ様を完璧にするようにと魔王陛下からご命令されておりますので」とのこと。
セーラは明るくて気立てが良い女性で、侍女として配属されてからすぐに打ち解けられた。
そのセーラはサイアスに受けた命令通り、完璧に着飾られた私をうっとりとした目で見つめている。
「ルヴィアナ様、本当に可愛らしいですわ……」
「ア、アリガトウ……」
褒められてるのはルヴィアナであって私じゃないのは分かっているが、褒められなれてないのでついぎごちなくなってしまう。
そこにノックの音がした。
控えていた別の侍女がドアを開けるとそこには紺色の軍服風の衣装に身を包んだサイアスが立っていた。
親子でお揃いの色にするとはこの魔王、バカ親からジョブチェンジして親バカになりつつある。
「……こんなものか。まぁ、悪くはない」
私をじーっと見つめた後、感想を呟いたサイアスにセーラが「魔王陛下!」と声を上げる。
「ルヴィアナ様のこのお姿は、絵師に描かせて後世に残さねばならない程に愛らしく素晴らしいものです!ですから『まぁ、悪くはない』などと微妙な表現はルヴィアナ様の愛らしさに失礼ですわ!」
「……そう、なのか?充分褒めているが」
「曖昧な言い方ではなく、はっきりと言葉になさいませ!」
あのサイアスに食って掛かるなんてセーラは度胸があるようだ。
「どう、言葉にすればいい……?」
「可愛い、愛らしい、見惚れてしまう、他にもいろいろ適切な言葉はありますよ」
「…………ヴィア、可愛い」
「……どうも」
そんな取ってつけたように褒められても微妙な心境になるだけだ。
だが、セーラは満足げに微笑んでいるのでそれでも良いかと思うことにする。
「そろそろ行くぞ」
「はい。じゃあ、セーラ、行ってきます」
「行ってらっしゃいませ。ルヴィアナ様の魅力で新人騎士達のハートを撃ち抜いてくださいね!」
そんなに簡単に撃ち抜けないと思うがセーラはノリノリである。
曖昧な笑顔を返しながら私はサイアスと共にパーティー会場に向かった。
会場は城の中にある大きなホールだ。
本好きな少女が野獣と恋に落ちる物語に出てきたダンスホールによく似ている。
ホールを見渡せる中央階段、その袖に私とサイアスはスタンバイした。これからパーティーの司会であるケビンがアナウンスをする、それと同時にサイアスと私がこの階段からホールに入場するらしい。
カーテンの影からこっそり覗くとホールには30名程の新人と思われる騎士達と貫禄のある騎士が数名、それに彼らの身内と思われる着飾った貴族達が集まっていた。
あまりの人の多さに心臓がバクバクしている。
「お嬢さん、大丈夫か?」
声をかけられて顔を上げると心配そうな顔をしたクローケンがこちらを見ていた。
「大丈夫じゃない」
即答する。
だってこんなに人が多い中、入場するとか聞いてない。
メインはサイアスで、私はこっそり参加してこっそり退場できると思っていたのに。
「あー……まぁ、なんだ。出ていきゃなんとかなるさ」
「参考にならないアドバイスありがとう」
「う、すまん」
『それでは魔王陛下とルヴィアナ姫の入場です』
ケビンの声でアナウンスが聞こえると共にホールに大きな拍手が鳴り響く。
「行くぞ……どうした?」
サイアスが歩き出そうとして振り返る。
緊張のあまり私の足は震えて動けない……どうしよう。
私は新しく雇われた専属の侍女達に着飾られていた。
黒髪には丁寧に編み込まれお花の髪飾りをつけられる。
ドレスは紺色でスカートの縁には白い薔薇の刺繍がしてあり大人っぽくも可愛らしいデザインだ。
なんでもお城で新人の騎士を歓迎するパーティーがあるらしく、そこにサイアスと共に私も参加しなければならないらしい。
パーティーは夕方からだが、私は朝の5時に起こされてあれこれ準備された。
休憩を挟みながら準備していたらあっという間に夕方だ。
そばかすの侍女セーラ曰く「ルヴィアナ様を完璧にするようにと魔王陛下からご命令されておりますので」とのこと。
セーラは明るくて気立てが良い女性で、侍女として配属されてからすぐに打ち解けられた。
そのセーラはサイアスに受けた命令通り、完璧に着飾られた私をうっとりとした目で見つめている。
「ルヴィアナ様、本当に可愛らしいですわ……」
「ア、アリガトウ……」
褒められてるのはルヴィアナであって私じゃないのは分かっているが、褒められなれてないのでついぎごちなくなってしまう。
そこにノックの音がした。
控えていた別の侍女がドアを開けるとそこには紺色の軍服風の衣装に身を包んだサイアスが立っていた。
親子でお揃いの色にするとはこの魔王、バカ親からジョブチェンジして親バカになりつつある。
「……こんなものか。まぁ、悪くはない」
私をじーっと見つめた後、感想を呟いたサイアスにセーラが「魔王陛下!」と声を上げる。
「ルヴィアナ様のこのお姿は、絵師に描かせて後世に残さねばならない程に愛らしく素晴らしいものです!ですから『まぁ、悪くはない』などと微妙な表現はルヴィアナ様の愛らしさに失礼ですわ!」
「……そう、なのか?充分褒めているが」
「曖昧な言い方ではなく、はっきりと言葉になさいませ!」
あのサイアスに食って掛かるなんてセーラは度胸があるようだ。
「どう、言葉にすればいい……?」
「可愛い、愛らしい、見惚れてしまう、他にもいろいろ適切な言葉はありますよ」
「…………ヴィア、可愛い」
「……どうも」
そんな取ってつけたように褒められても微妙な心境になるだけだ。
だが、セーラは満足げに微笑んでいるのでそれでも良いかと思うことにする。
「そろそろ行くぞ」
「はい。じゃあ、セーラ、行ってきます」
「行ってらっしゃいませ。ルヴィアナ様の魅力で新人騎士達のハートを撃ち抜いてくださいね!」
そんなに簡単に撃ち抜けないと思うがセーラはノリノリである。
曖昧な笑顔を返しながら私はサイアスと共にパーティー会場に向かった。
会場は城の中にある大きなホールだ。
本好きな少女が野獣と恋に落ちる物語に出てきたダンスホールによく似ている。
ホールを見渡せる中央階段、その袖に私とサイアスはスタンバイした。これからパーティーの司会であるケビンがアナウンスをする、それと同時にサイアスと私がこの階段からホールに入場するらしい。
カーテンの影からこっそり覗くとホールには30名程の新人と思われる騎士達と貫禄のある騎士が数名、それに彼らの身内と思われる着飾った貴族達が集まっていた。
あまりの人の多さに心臓がバクバクしている。
「お嬢さん、大丈夫か?」
声をかけられて顔を上げると心配そうな顔をしたクローケンがこちらを見ていた。
「大丈夫じゃない」
即答する。
だってこんなに人が多い中、入場するとか聞いてない。
メインはサイアスで、私はこっそり参加してこっそり退場できると思っていたのに。
「あー……まぁ、なんだ。出ていきゃなんとかなるさ」
「参考にならないアドバイスありがとう」
「う、すまん」
『それでは魔王陛下とルヴィアナ姫の入場です』
ケビンの声でアナウンスが聞こえると共にホールに大きな拍手が鳴り響く。
「行くぞ……どうした?」
サイアスが歩き出そうとして振り返る。
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