異世界をホントは救いたい(希望)

ガランドウ

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序章 異世界を救わない

エピソード5 砂塵の叛徒

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 真崎 駿まさき しゅんは捕虜に2つの写真を見せるように、該世に仕向けた意図は三木 和葉みき かずは生存の確証を得る為だった。

 ミカラジ司教が帝国に直接帰還しているならば、当然前哨砦にいるこの捕虜が、中村翔子を目撃する事はない。

 ならば捕虜から出る答えは、「知らない」か「三木 和葉を知っている」かだ。

 疑う余地が無くなった三木 和葉の生存に、真崎はこの異世界で最初の奪還作戦に従事した時の記憶を呼び起こすのだった。

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 2017年 8月 真崎 駿 追憶

 僕は奪還者の一員として、既に幾つかの任務に従事し、何人ものフラジャイルを保護してきていた。

 そんな中、緊急を要する奪還作戦が実行されることが決まった事に、戸惑いを隠せずにいた。

 通常ならば、異世界の自然体系や風土調査、場合によっては密偵による潜入や買収工作を経てから、作戦実行に移されるのだけど、何の情報も無く敢行されるという。

 何度も済美 静香さいび しずか所長に経緯の説明を求めたけど、問題ないの一点張りのまま作戦が始まった。


 初めてこの異世界に降り立った時の印象は、砂の世界。

 見渡す限り、草木一本も無い、どこまでも砂丘が続く砂漠だけど、特別気温が高い訳ではなかった。


 戸邨とむらの部下がガイドをし、紛争地帯であったとされるとある町に辿り着く。

 何年も前に、人が捨て去ったかのような埃や砂に塗れた町並みを見て回っていた時、突然強烈な思念が頭に響いた。

 (砂塵の叛徒はんとだ!)と何人もの人の声が、頭の中に流れ込んでくる。

 その声の元を探すべく、町を駆け回った。

 そして、町外れの広場で何十人もの兵士や、みすぼらしい兵装をした民兵と対峙する、黒い修道服の人物を見つけ、状況を観察すべく身を隠した。

 修道服の人物はフードを目深に被り、素顔を確認することは出来ない。

 対峙する兵達は、闇雲に突っ込むことはせず、どちらかと言うと纏まった状態で砂塵の叛徒の出方を待つ不自然さ。

 兵力差は歴然であり、兵の中にはソーサラー風の魔法使いが数名混じっている。

 数で圧せば終わる戦況なだけに、この状況を生み出す砂塵の叛徒。

 いったいどんな力があるのだろう、またどんな人物なのだろうと興味が湧いた。

 だが争いが始まる前に、済美所長が保護対象者とは関係が無いと早々に判断し、次の目的地への移動を指示し、それに従う。

 この判断には2つの理由があった。

 1つは、現時点での奪還作戦は「三木 和葉みき かずは」、たった一人の女性の奪還であって、この砂塵の叛徒などではない。

 2つ目は、この異世界と我々の世界とは時空の歪みがあり、ここで1日が経過すると、向こうでは6日進んでしまう。 

 時空の歪は事前に知らされていた情報であり、その為この奪還作戦には志願者から選ばれた少数精鋭で挑む事になった。

 それにしても、いつも慎重に物事を進める済美所長にしては、事を急ぎ過ぎていると違和感を禁じ得なかった。



 黒木 真夜くろき まやの能力を使い、オフロードSUVで目立たぬよう夜間の移動を約20日間繰り返し、ウェルミナ共和国首都近郊まで辿り着く。

 幸いこの異世界と我々の世界の人間との見た目の差はあまりなく、あるとすれば肌の色ぐらいだった為、街中にすんなり溶け込むことが出来た。

 言語は昆虫が威嚇するときに発する酷く耳障りな音だった為、会話は無理だと思っていたが、こちらが押し黙っていると脳に直接語り掛けてくる思念が飛んできた。

 (なんだ共通言語が話せないのかい?なら、考えて)

 どうやらこの世界は多言語化が激しく、共通語を話す人は少ない為、思念いわばテレパシーを使う事が多いらしい。

 結果、こちらから思念を飛ばすことは出来ないけど、相手の思念は聞こえ、相手がこちらの考えを読み取るという、ある意味危険な遣り取りを強いられることになった。

 主にこの諜報活動を自ら熟したのは済美所長であり、感情を出さない為か、その時の済美所長の能面のような顔を、今でもよく覚えている。

 この異世界のパワーバランスは2つの強国によって保たれていたが、ウェルミナ共和国が唐突にガダスミル帝国辺境伯領を攻め滅ぼし、均衡を破った。

 唐突という言葉通り、軍事力が結集した要所である辺境伯領が、一瞬にして滅亡していたのだ。

 共和国側に均衡を破る何らかの力を得たのかは分からない。それこそ我々の世界で言う、核兵器のような力が存在するのか。

 だけど共和国内では、戦勝に浮かれる雰囲気とは真逆の、不穏な空気が流れていた。

 情報が錯綜さくそうする中、一つの確証を得る。

 それは帝国側の反撃によって、共和国側は首都の目と鼻の先まで進軍を許しているという事、そしてその反撃の急先鋒と囁かれるのが、砂塵の叛徒だった。

 そう、あの町で見かけた人物。

 たった一人で兵隊と対峙していた、あの修道服を着た人の事だった。

 疑問に思った。あの場にいたのはたった一人であり、それがこれ程の言わばゲームチェンジャーたり得る者とは思えない。

 多くの叛徒が存在し、あの場に一人取り残され、窮地に陥っていたのか?

 けどあの時の兵達の行動、そして頭に響いた兵達の声には、今思えば恐怖に駆られたような危機感があったように思える。

 どうしてもあの人物の事が気になった。

 しかし済美所長は熟考するいとまも与えず今の状況を踏まえ、強引に三木 和葉が囚われているとされるムカズナ教という新興宗教の神殿に、強行突入を選択するのだった。


 今思えば、取捨選択を迫られる、逃れようのない罠を自ら選んだのかもしれない。


 首都潜入から4日目。

 作戦開始日を迎えた。

 事前に神殿への潜入調査を行っていた戸邨 順次とむら じゅんじの報告では、三木 和葉本人を神殿集会時に目視で確認。しかし、誘拐首謀者と目されるミカラジ司教の姿は未確認との事だった。

 既に神殿内の見取図、そして確保までの導線と逃走経路まで準備は整い、決行を深夜と定めた。

 隠れ家で時を待つ間、自身で使う装備の確認と整備を行う。

 愛用しているハンドガンは、幼い頃に見た映画のヒーローが、ビル内にいるテロリストをたった一人、このベレッタM92F一丁で立ち向かう姿に心奪われたのがきっかけで、戸邨に無理を言って調達してもらった。

 銃器マニアの真夜に言わせれば、CQCいわゆる近接格闘には向かない時代遅れのハンドガンだとこき下ろされるけど、今でもあのヒーローと自分とを重ねる事が出来るハンドガンは手放せない。

 入念な手入れをしていた時、戸邨に声を掛けられ、2人で首都を守る城壁まで向かう事になった。

 城壁の上、物見櫓で警備する衛兵を戸邨はあっさりと倒す。

 「駿ちゃんは、アレをどう見る?」
 僕にスポッティングスコープ手渡すと郊外を指差した。

 肉眼では見えなかったが、スコープを覗き込むとその光景に目を疑った。

 首都近郊は丘陵地帯であり、先々まで緑の草原が広がっているのだが、地平線から極ゆっくりと色彩が失われていくようにモノクロームへと侵食され、時折竜巻のような旋風が立ち上り、空すらも色を失っていく。

 「砂塵の叛徒・・」

 衝いて出た言葉、それに戸邨も同じ思いだったようで、僕の目を見て肯くのだった。


 共和国首都は厳戒令が出され、後退してくる兵と守備隊とが合わさり、城門前に防衛ラインを構築する。

 首都内の警備が手薄になりつつあるが、逆に神殿を守護する修道士達は警戒を強めていた。

 日が暮れ、夕闇が辺りに帳を下ろす頃、空は雲に覆われ雷鳴が響き渡り、隠れ家の屋根を雨粒が叩き出す。

 済美所長は立ち上がり、深夜を待たず奪還作戦の実行を宣言した。


 神殿入口を警備する修道士を、影から戸邨が近付き背後から倒していく。

 入口の確保を契機に、僕を先頭に神殿への突入が始まった。

 相手の修道士は全て、魔法が使用できるソーサラーであり、まともな遭遇戦は避けたい。

 相手に気付かれず、如何に先制するかが鍵であったが、降りしきる雨が足音を消し、僕等に味方した。

 神殿内部への通路を進み、三木 和葉の捜索を始める。

 神殿中央に位置する広間の手前で立ち止まり、ハンドサインで後方に警戒を即し、大広間へ戸邨が僕の肩に手置き、後に続く。
 
 この先に危険があると、僕の能力が知らせたのだ。

 僕も済美所長や真夜と同じく、異能の力を持つ。

 その力は、危機察知と未来予知。

 僕のこの能力は、危機察知が警鐘を鳴らして始めて未来予知が発動する。

 その為、武力行使の際に先頭に立つのが僕の役割だ。


 罠だと分かりつつも、明かりが消された暗闇の大広間に出た刹那、虫の鳴く声が響く。

 戸邨と共に、大広間の中央に飛び込むと同時にハンドガンを抜く。

 暗闇の中、未来予知が火属性魔法を発動させる敵の姿を幻視させ、そこに向かって指をさしながら他の敵の幻視にハンドガンを連射する。

 マズルフラッシュによって、弾が命中し倒れゆく修道士の姿が映し出され、指さした先で残る修道士に戸邨が跳びかかり、カランビットナイフを巧みに使い殲滅していく。

 大広間にいる修道士を全て片付けた事を確認し、移動を再開しようとしたその時。

 強烈に僕の危機察知が警笛を鳴らす。

 未来予知によって、大広間の床が瓦解する幻視を目の当たりにするが、時既に遅く回避が遅れた黒木と戸邨の部下2名が、底の抜けた床諸共落下する。

 いくら未来予知があろうとも、罠の性質を見通す事など出来ない。

 戸邨は済美所長に目配せをし、頷くのを確認してから黒木らを救出すべく、開いた穴に一人飛び降りた。

 

 残った者は自分も含め、戦闘力がある人員は戸邨の部下と併せ3名。

 済美所長の戦闘力は、無い。いや、戦っている姿を見たことがない。

 皆が罠に掛かったわけでもなく、結果分断されてしまったことが、敵の意図するところだろうか?

 もし目的の場所が地下であり、そこが敵のかなめであるなら、尚更罠臭い。

 それでも思案するまでもなく、まさに虎穴に入らずんば何とやらだ。

 残った者達で作戦通り、1Fの捜索を開始した。



 やはり上階では三木 和葉を発見できず、尚且つ敵と遭遇することはなかった。

 唯一の地下への道は、螺旋状に掘り進められた荒い岩壁に、段差も整っていない階段で出来ていて、ひどく歩きづらい。

 照明もなく、携帯していたサイリュウムライトで辺りを照らしながら、ゆっくりと降りていく。

 予想していたのと違い、階段はどこまでも地下へと続いていた。

 階層で言えば地下5階程下ったところで階段が終わり、幅と高さが5~6m程あるトンネルのような通路に行き当たる。

 通路の天井には、三角錐の頂点を下に向けられた、白く光る照明が等間隔で吊るされ、やけに明るい。

 階段の入口にサイリュウムライトを目印替わりに置き、自分一人通路に出る。

 通路の右は50m先で行き止まりになっていて、左を見ると先が見えないほど遠くまで繋がっている。

 済美所長らをその場に残し、危機察知が警鐘を鳴らす中、通路の先へ待ち伏せに警戒をしながら進む。

 100m程進んだところで案の定、未来予知が発動し、前方からの魔法攻撃を幻視する。

 幻視の通り、魔法による火球が襲ってくるが、その全ては予見出来ている為、掻い潜りながら距離を詰めていく。

 魔法を操るソーサラーに焦りが見えるが、それでも詠唱を終えた者と前後を入れ替え、矢継ぎ早に火球を撃ってくる。

 幸いなのは、この狭い空間に面での攻撃ではなく、点での攻撃を仕掛けてきてくれている事だ。

 敵の数が目視出来る距離になり、魔法を発現させようとしている者に標的を絞り、ハンドガンを撃つ。

 撃った弾は発現させた火球を弾けさせ、そのままソーサラーの胸に命中し、近接から2発目のヘッドショットで息の根を止める。

 流れ作業のように、2発から3発でソーサラーを順次倒し、全ての敵を排除した。

 ハンドガンのマガジンを抜き、新たなマガジンへリロードする。



 済美所長らと合流し、危機察知が鳴りやんだ為、戸邨の部下に通路の先を索敵させる。

 僕は済美所長をガードしながら先に進んだ。

 果てしなく続く通路に、目的地である囚われた保護者がいると言われる居室等無く、その通路も終わりを告げ、円形で天井がドーム状の空間に行き当たった。

 「ここの真上は、官邸や政府機関が集まる居城になるわね」
 方向感覚と空間認識能力に長けた済美所長が、ガランとしたなにも無い空間の天井を見上げ呟く。

 1階から地下への階段は1箇所、僕等が降りてきた螺旋状の階段しか無いはずであり、保護対象者がいるとすれば、この行き当たった広い空間しかない。

 この空間に扉などの出入り口は無く、僕達が辿った通路にも脇道や出入り口は無かった。

 この神殿には、三木 和葉はいないのか。

 「駿、ここで転移用ゲートを開くわ。その間、警戒をお願い」
 済美所長は着ていたジャンパーを脱ぎ捨て、中に着ていたシャツをはだけさせる。

 「待ってください所長。撤退するにしても、黒木や戸邨達を置いては行けません!」
 罠に掛かり、ターゲットの所在が不明になった今、撤退を選択することは間違いでは無いと思う。

 しかし任務が未達成のまま、黒木と戸邨を捨てる選択は愚策だ。

 「彼らなら大丈夫でしょ、一度外に出て作戦を練り直すほうが早いわ」
 済美所長は撤退以外に選択肢は無いと決めつけている。

 僕は納得が出来ず、何か方策は無いかと辺りを見渡した時、不意に天井から砂埃が落ちてきた。

 思わず見上げると、ドーム型の天井の真ん中から光の線が走り、開閉式のドームのように左右へと開き出す。

 開いた天井の先は円筒状に抜けており、地上へ繋がっていると思われるが、暗くて先は見えない。

 すると今度は、壁の一箇所が長方形に抜かれるように光ると、出入口と思しき開口が出来上がり、暗い開口の中から、ヒタヒタとゆっくりこちらに向かって歩いてくる足音が聞こえてくる。

 危機察知は反応しないが、ゲートの準備をしている済美所長を咄嗟に担ぎ、戸邨の部下と共に開口から距離を取る。

 済美所長を自分の後ろに伏せさせ、戸邨の部下2人が前に出て、膝立ちでそれぞれにハンドガンを構える。

 足音は徐々に近付き、出入り口からその姿を見せた。

 姿を見せたのは、両腕を鎖で繋がれた一人の女性。

 広間の照明が眩しいのか、鎖で繋がれた両腕を頭上に掲げ、光を避けている。

 その姿は、長い黒髪を後ろで一つに束ね、修道士達とは違い綿の薄い生地で出来た、裾の短い白いワンピースのような服を素肌に纏っている。

 済美所長はその姿に目を見張り、胸を開けさせたまま身を乗り出す。

 まさかとは思ったけど、そこに現れたのは正しく保護対象者、三木 和葉だった。

 「私が話をするわ。もしおかしな動きをするようなら、一気に拘束すること」
 ゆっくりと立ち上がり、女性の元に行こうとする済美所長に、脱ぎ捨てていたジャンパーを羽織らせて送り出す。

 「三木 和葉さん、私の話す言葉、分かるよね?」
 済美所長は両手を広げ、敵意が無い事をよそおう。

 三木 和葉はその言葉にビクリと体を震わせ、体を縮こませながら注意深く済美所長とこちらを見る。

 「大丈夫、大丈夫よ。私はあなたと同じ日本人、あなたを助けに来たのよ」
 距離を保ったまま慈しむ笑顔で語りかけるが、三木 和葉はジリジリと後退る。

 (・・・ショウマ、ショウマはどこ?)
 三木 和葉は宙に視線を漂わせ、思念によって言葉を返してきた。それは済美所長にだけではなく、僕等にも聞こえていた。

 (ショウマ・・ショウマに会いたい)
 三木 和葉が飛ばす思念に、済美所長と僕は顔を見合わせる。

 済美所長の言葉が通じているのか、判断がつかない。
 
 それにショウマとは?他にも囚われた日本人がいるのだろうか。

 三木 和葉は啜り泣き、その場に崩れる。

 ここは自発的な行動を即すよりも、無理やり拘束してでもここから連れ出す方が手っ取り早いと、済美所長と頷き合う事で合意し、行動に移そうとしたその時、辿ってきた通路の奥から地鳴りが響き渡り、この空間を地震のように揺らした。

 突然起こった事象よりも、やられたという思いが先に立つ。

 「所長は奥の方でゲートを!僕は三木 和葉を確保します!」
 退路は無いと判断し、通路とは反対側、広間の奥を指差し済美所長へ指示を出しながら、うずくまる三木 和葉に向かって走り出す。

 しかし走り出した瞬間、視界の隅で通路に土煙が立ち昇るのが見え、思わず立ち止まってしまう。

 通路の土煙から人影が現れ、その人影が土煙の中から姿を現したと同時に、土煙が一瞬で拡散して消えた。

 砂塵を操る黒い修道服姿の人物、一目で分かる。

 「砂塵の叛徒」

 その人物の異名を口にした刹那、危機察知の警鐘が鳴る。

 未来予知が発動し、砂塵の叛徒が深く被っていたフードを脱いだ。

 「男、の子?」
 身構えるよりも、砂塵の叛徒がまだ幼さが残る、中学生ぐらいの顔付きに呆気に取られ、立ち尽くしてしまった。

 だが幻視は、砂塵の叛徒が自分に向かって跳び込んで来る姿を見せる。

 その動きは素早く、未来予知によるアドバンテージがあるにも関わらず、紙一重でしか躱せない。

 砂塵の叛徒が繰り出す攻撃は、掌底。いや、掌底と呼べる程の物ではなく、掴み掛かってくるように手を伸ばしてくる。

 それでもその動きは人間離れした素早さがあり、未来予知が無ければ簡単に掴まれているだろう。

 ハンドガンを仕舞い、回避に専念しながら、砂塵の叛徒を済美所長らから遠ざけるよう、目的の場所へ誘導していく。

 後2、3手ほど時間を稼ぎ、目的の場所、三木 和葉のいる所まで誘導できると踏んだ瞬間、危機察知ではない鳥肌が立つような悪寒を感じ、一跳びで三木和葉の後方まで一気に跳ぶ。

 砂塵の叛徒は動きを止め、地面に向かって右手をつこうとし、その手を止めた。

 僕との間にうずくまる三木 和葉に顔を向ける砂塵の叛徒。

 怯えて蹲る三木 和葉が、目の前にいる砂塵の叛徒に気付き、ふら付きながらも瞳に涙を溢れさせながら立ち上がる。

 2人は見詰め合いながら動こうとはしないが、砂塵の叛徒の目からも涙が溢れ出し、その幼い顔をクシャクシャにする。

 僕はその2人の振る舞いから思念で会話をしていると悟り、一つの可能性に2人へ声を掛けようとしたその時。

 突然三木 和葉が胸を押え、悲鳴を上げた。

 砂塵の叛徒が慌てて三木 和葉に近づこうとするが、唐突に頭痛がする程の思念が頭に流れ込んでくる。

 (ショウマ、その者達を亡き者にしない限り、カズハを止める事は出来ないと知れ)

 この思念は、僕の頭にも響いている。

 そして僕に対して敵意を向ける、砂塵の叛徒。そう、同じ日本人であろうショウマという少年にも。

 ・・つづく・・
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