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第5章 祐藤の野望編
74.村上城攻め(14)
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崇冬の軍勢によって兵糧を振る舞われた野犬たちは、満足いくまで食べていた。
やがて差し出された兵糧全て食べ尽くし、野犬たちは満足げな表情であった。
崇冬
「よほど腹が減っておったのじゃな。可哀相に。」
そう言うと、一匹の野犬が崇冬に近付いてきた。
よく見ると身体中が傷だらけであり、精悍な顔つきをしている。
どうやらこの野犬の群れを束ねる総大将のようだ。
その野犬は、崇冬に対して尻尾を激しく振っていた。
言葉こそ喋ることはできないが、態度が最高の感謝の意を表しているようであった。
さらにその野犬は、崇冬たちに対して何かを言いたげな様子であった。
崇冬
「なんじゃ、お礼に幸龍丸殿の所まで案内してくれるというのか。」
そう言うと崇冬らは、その野犬の導かれるがままに移動を開始した。
やがて、軍勢の前には小さな座敷牢が見えてきた。
中には汚れた袴姿の童が一人でたたずんでいた。
童は崇冬らの軍勢に気が付いたが、顔色一つ変えずにその方向をじっと見つめていた。
崇冬
「よしよし、よく案内してくれたな。感謝いたすぞ。」
崇冬はそう言って野犬を撫でてから座敷牢の前に立ち、童に声をかけた。
崇冬
「そなたは村上家家臣 杉康虎のご嫡男 杉幸龍丸殿であられますな。」
その童は崇冬に向かって軽く頷き、口を開いた。
幸龍丸
「いかにも、拙者 杉康虎が嫡男 杉幸龍丸にござる。かような場所にわざわざ来られるということは、どうやら拙者の処断が決まったようじゃな。斬るがよい。」
元服前の子供とは思えない非常に大人びた口調で幸龍丸は言った。
その表情は、覚悟を決めたかのような様子であった。
どうやら崇冬を村上家の家臣と思っており、自身の処刑の為にここまで来たのだと思っていたようである。
崇冬
「申し遅れました。拙者は志太家家臣 口羽崇冬にございます。祐藤様の命により、そなたの救出に参りました。」
幸龍丸は崇冬の言葉を聞き、困惑した表情になった。
やがて差し出された兵糧全て食べ尽くし、野犬たちは満足げな表情であった。
崇冬
「よほど腹が減っておったのじゃな。可哀相に。」
そう言うと、一匹の野犬が崇冬に近付いてきた。
よく見ると身体中が傷だらけであり、精悍な顔つきをしている。
どうやらこの野犬の群れを束ねる総大将のようだ。
その野犬は、崇冬に対して尻尾を激しく振っていた。
言葉こそ喋ることはできないが、態度が最高の感謝の意を表しているようであった。
さらにその野犬は、崇冬たちに対して何かを言いたげな様子であった。
崇冬
「なんじゃ、お礼に幸龍丸殿の所まで案内してくれるというのか。」
そう言うと崇冬らは、その野犬の導かれるがままに移動を開始した。
やがて、軍勢の前には小さな座敷牢が見えてきた。
中には汚れた袴姿の童が一人でたたずんでいた。
童は崇冬らの軍勢に気が付いたが、顔色一つ変えずにその方向をじっと見つめていた。
崇冬
「よしよし、よく案内してくれたな。感謝いたすぞ。」
崇冬はそう言って野犬を撫でてから座敷牢の前に立ち、童に声をかけた。
崇冬
「そなたは村上家家臣 杉康虎のご嫡男 杉幸龍丸殿であられますな。」
その童は崇冬に向かって軽く頷き、口を開いた。
幸龍丸
「いかにも、拙者 杉康虎が嫡男 杉幸龍丸にござる。かような場所にわざわざ来られるということは、どうやら拙者の処断が決まったようじゃな。斬るがよい。」
元服前の子供とは思えない非常に大人びた口調で幸龍丸は言った。
その表情は、覚悟を決めたかのような様子であった。
どうやら崇冬を村上家の家臣と思っており、自身の処刑の為にここまで来たのだと思っていたようである。
崇冬
「申し遅れました。拙者は志太家家臣 口羽崇冬にございます。祐藤様の命により、そなたの救出に参りました。」
幸龍丸は崇冬の言葉を聞き、困惑した表情になった。
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