架空戦国伝

佐村孫千(サムラ マゴセン)

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第9章 創天国の魂編

34.異国の地での謁見

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長継とドヴェルクの案内によって幕府一行はセビカ国のセラージュにあるセリアー城に到着。
そして城内へと入城し、玉座の間へと案内された。
玉座には一人の男が堂々たる姿で座っていた。

ドヴェルク
「こちらがセビカ国の国王で、私の兄でもあるアルド・セリアーです。」

アルド
「私がセビカ国を治める国王のアルド・セリアーです。皆様、本当に遠い所から良くぞ来なさった。心より感謝いたします。」

そうアルドが言うと幕府の者たちは皆、一瞬きょとんとした表情を見せていた。
創天国からすればセビカは異国の地である故に、お互いの言葉が通じないのだ。
アルドは先程に何と言っていたのであろうか、彼らには理解できていなかった。

困惑した様子で貞広が口を開く。

貞広
「むぅ…何を申されておるのか分からぬが、喜ばれておることは確かであろうかな…」

するとドヴェルクが彼らに対して答え始める。

ドヴェルク
「国王様は、貴方様方が遠い国からわざわざこのセビカにまで訪ねに来られたことに非常に感謝されているようです。」

それを聞いた幕府の者たちが一斉にアルドに対して深々と頭を下げていた。
創天国の言葉を理解しているドヴェルクを通してではあったが、互いの国との交流が始まった瞬間であった。

今度はアルドがドヴェルクに対して言う。

アルド
「ドヴェルクよ、今から私の言うことをこの者たちに伝えてくれまいか。」

そうしてアルドはドヴェルクを通訳としてセビカが存続の危機にさらされている事を説明し始めた。

遙か昔にこの大陸では幾つもの国が存在しており、各国王が執り行う政治のもとで領民たちは平和に暮らしていた。
だがある時に国同士での争いが次々と始まり、やがては大陸全土へと伝播する事となったのだ。
時代は戦乱の世へと突入していた。

そこでセリアー一族の始祖であるエリック・セリアーが立ち上がった。
エリックは大陸の中で最も小さな国家であったセラージュに仕える一人の兵士であったが、知政武全てにおいて優れた人物であったという。
やがてその才覚を発揮し、エリックはセラージュを治める身分へと出世する。
その後は破竹の勢いで各国を配下に置くなどして領土を拡大。
最終的には大陸全土の統一を果たし、セビカ国を樹立した。
こうしてエリックの手によって戦乱の世に終止符を打ったのである。

それから数百年もの時が流れ、現在はエリックの子孫であるアルドが国王の座に就いていた。
ある日、エリックの家臣であったカルロス・ヘルトがセビカに対して反旗を翻し、独立勢力を立ち上げた。
カルロスの先祖がエリックの腹心であった故に代々の者たちには国王と同等の権限を持つ程の役職を与えられ、国王と共に平和な世を造るべく政治が執り行われていた。

セビカ国が樹立されて実に数百年もの時を代々の者たちが協働し合うほどであり、お互いの信頼は相当なものであったと言えよう。
にも関わらずカルロスは突如として国を裏切り、あろうことか自身の手で独立勢力を立ち上げている。
長い時をかけて築かれていたはずの信頼がこうも簡単に崩れ去るとは思いもよらなかったのである。

カルロス率いるヘルト独立勢力軍は各地への侵攻を繰り返す事で今もなお領土を拡大し始めている。
そうして支配下に置いた領土の領民たちを力で支配するなどして悪政の限りを尽くしているという。

貞広
「なんとまぁ、そなたたちの国はそこまで困りに困り果てておると申すのか…」

宗重
「それにしても代々に渡って忠義を尽くしていた者による裏切りとは…真に心痛しきことにございましょう…」

ドヴェルクによって現在のセビカがいかに切羽詰まった状況にある事を聞かされた貞広や宗重は、重々しい口調でそう言っていた。
その一方で政武が気だるそうな態度を見せながら口を開く。

政武
「ふん、そいつの腹の中を見抜けぬあんたもあんただな。俺からみればあんたは間抜けな人間じゃ。」

すると宗重がすぐさまに険しい表情へと切り替わり、政武に対して怒鳴り声を上げる。

宗重
「おい政武!少しは言葉を慎められよ!」

国を治めし王に対して何という悪態をついているのだ。
そうならざるを得なかった事情というものがあった故に、自身の主観だけでものを言うなど言語道断。
口を開くならば、もう少し言葉というものを選んでからにするが良い。
宗重はそう言いたげな様子であった。

するとこれを見たアルドは察したのであろうか、少し気まずそうな様子で喋り始める。

アルド
「いや、その者が言わんとしていることも一理はあろうか。この一件は、叛意を見抜けなかった私が招いたものであることに間違いは無いからな…」

アルドは貞広や宗重そして政武らの言葉こそは分からなかったが、表情や口調を見ることで何を言っているかおおよその見当はついていたようである。
そして政武によって痛いところを突かれていたと思い始める。
それを見たドヴェルクがたまらず声を上げる。

ドヴェルク
「全くに、政武様が先程に言われた通りです。ですが、それを承知の上でお願いいたします!どうかセビカを、私たちの国セビカの危機を救う手助けをしていただけませんか?」

ドヴェルクは幕府の者たちに深々と頭を下げて懇願していた。
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