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エレン・クラルティの勘違い 3
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「スカーレット、明日はサリー夫人の授業はなかったな?」
「もぐもぐもぐ……はい、お休みの日です!」
ベルンハルト様とシャルティーナ様がお帰りになって二日後。
夕食を食べているときにリヒャルト様に予定を訊ねられたので、わたしは大きく頷いた。
わたしはちゃんと頑張ってお勉強してますよ。
リヒャルト様のおうちの子にしてもらうためにも、早く一般常識を身につけなくてはならないのですから!
リヒャルト様にはまだわたしが養女の座を狙っていることは秘密にしてある。
……こういうのは外堀……げふんげふんっ、王様の許可をもらってからの方がいいとシャルティーナ様が忠告してくれたからね!
王様の許可ももらいました、どうぞ前向きにご検討をお願いします、きっとお役に立って見せますから! と跪いてお祈りポーズでお願いするのがわたしの計画である。リヒャルト様は優しいから、必死になって頼み込めば案外オッケーしてくれるかもしれない。
もう体当たりで当たって砕けろ作戦としか思えないが、他に名案が浮かばなかったのだから仕方がない。だってわたしには、貴族の方が養女に迎えたいと思うほどの取り得はないし。せいぜい聖女って肩書があるだけだからね。
そして肩書が有効なら、あれこれ考えずに体当たり勝負でいい気がしたのだ。
「そうか、それなら明日は以前にも行ったチョコレートの店に行くか?」
「行きます‼」
わたしは即答した。
チョコレートの店と聞いてわたしに否やがあろうか。あるはずがない‼
わたしは以前食べたチョコレートの味を思い出してへにょんとにやける。あれは美味しかった。濃厚なチョコレートの味は、いまだに鮮明に覚えていますよ。またあれが食べられるなんて……やっぱりどうしてもリヒャルト様の子にしていただきたいです‼
でも、リヒャルト様と出会ってから今日まで、わたし、リヒャルト様にとってもたくさんのお金を使わせている気がするな。
せめてわたしが作った薬が販売できればいいんだけど、神殿の許可なく販売できないって言うし。
今度王様に確認するリヒャルト様は言っていたけど、なんとなくだけど、リヒャルト様の場合、王様から使用許可が出ても販売せずに病院とかに無償で配ってしまう気がする。
だって、わたしが患者さんを癒して患者さんがいなくなったからって、病院に寄付金を出しちゃうような人だよ?
寄付金を取って聖女に癒させる神殿とは、リヒャルト様は考え方が違うんだよ。
……うむむむ。と言うことは、わたしはリヒャルト様にとっても損をさせているのではなかろうか。
これはまずい。
わたしを養女にするメリットがあるとわかってもらわなければ、わたしの養女計画に支障が……!
どうせ聖女を養女にするのでも、燃費が悪いより燃費がいい方がいいとか思われたら大変だ。
うぐぅ、でも、チョコレートの魅力には抗えない。
わたしが葛藤していると、リヒャルト様が変な顔をする。
「どうした?」
「いえ……その、そう言えば、あのお店のチョコレートはとっても高いんだったなと思い出しまして」
「君がそんなことを気にする必要はないよ」
「でも……」
燃費が悪くて金がかかるお前なんていらないって思われたらいやだし。
リヒャルト様は顎に手を当てて少しばかり考えて、にこりと笑う。
「スカーレット、私には幸いにして使いきれないほどの金があるんだ。このままだとただ貯まっていく一方だから、君が有効活用してくれるのはとても助かる」
「……そうなんですか?」
「ああ。そのうち置くところに困ってしまうかもしれないだろう?」
あとから聞いた話だと、世の中には銀行と呼ばれるものがあるので、リヒャルト様がお金を置くところに困ることはないそうだが、この時のわたしは知らなかったのでころっと騙された。
お金を置くところがなくなったら大変だ!
そう言うことなら、喜んでご協力する!
「だから君は気にせずに好きなだけ食べてくれ」
わたしは笑顔で頷いた。
「はい‼」
「もぐもぐもぐ……はい、お休みの日です!」
ベルンハルト様とシャルティーナ様がお帰りになって二日後。
夕食を食べているときにリヒャルト様に予定を訊ねられたので、わたしは大きく頷いた。
わたしはちゃんと頑張ってお勉強してますよ。
リヒャルト様のおうちの子にしてもらうためにも、早く一般常識を身につけなくてはならないのですから!
リヒャルト様にはまだわたしが養女の座を狙っていることは秘密にしてある。
……こういうのは外堀……げふんげふんっ、王様の許可をもらってからの方がいいとシャルティーナ様が忠告してくれたからね!
王様の許可ももらいました、どうぞ前向きにご検討をお願いします、きっとお役に立って見せますから! と跪いてお祈りポーズでお願いするのがわたしの計画である。リヒャルト様は優しいから、必死になって頼み込めば案外オッケーしてくれるかもしれない。
もう体当たりで当たって砕けろ作戦としか思えないが、他に名案が浮かばなかったのだから仕方がない。だってわたしには、貴族の方が養女に迎えたいと思うほどの取り得はないし。せいぜい聖女って肩書があるだけだからね。
そして肩書が有効なら、あれこれ考えずに体当たり勝負でいい気がしたのだ。
「そうか、それなら明日は以前にも行ったチョコレートの店に行くか?」
「行きます‼」
わたしは即答した。
チョコレートの店と聞いてわたしに否やがあろうか。あるはずがない‼
わたしは以前食べたチョコレートの味を思い出してへにょんとにやける。あれは美味しかった。濃厚なチョコレートの味は、いまだに鮮明に覚えていますよ。またあれが食べられるなんて……やっぱりどうしてもリヒャルト様の子にしていただきたいです‼
でも、リヒャルト様と出会ってから今日まで、わたし、リヒャルト様にとってもたくさんのお金を使わせている気がするな。
せめてわたしが作った薬が販売できればいいんだけど、神殿の許可なく販売できないって言うし。
今度王様に確認するリヒャルト様は言っていたけど、なんとなくだけど、リヒャルト様の場合、王様から使用許可が出ても販売せずに病院とかに無償で配ってしまう気がする。
だって、わたしが患者さんを癒して患者さんがいなくなったからって、病院に寄付金を出しちゃうような人だよ?
寄付金を取って聖女に癒させる神殿とは、リヒャルト様は考え方が違うんだよ。
……うむむむ。と言うことは、わたしはリヒャルト様にとっても損をさせているのではなかろうか。
これはまずい。
わたしを養女にするメリットがあるとわかってもらわなければ、わたしの養女計画に支障が……!
どうせ聖女を養女にするのでも、燃費が悪いより燃費がいい方がいいとか思われたら大変だ。
うぐぅ、でも、チョコレートの魅力には抗えない。
わたしが葛藤していると、リヒャルト様が変な顔をする。
「どうした?」
「いえ……その、そう言えば、あのお店のチョコレートはとっても高いんだったなと思い出しまして」
「君がそんなことを気にする必要はないよ」
「でも……」
燃費が悪くて金がかかるお前なんていらないって思われたらいやだし。
リヒャルト様は顎に手を当てて少しばかり考えて、にこりと笑う。
「スカーレット、私には幸いにして使いきれないほどの金があるんだ。このままだとただ貯まっていく一方だから、君が有効活用してくれるのはとても助かる」
「……そうなんですか?」
「ああ。そのうち置くところに困ってしまうかもしれないだろう?」
あとから聞いた話だと、世の中には銀行と呼ばれるものがあるので、リヒャルト様がお金を置くところに困ることはないそうだが、この時のわたしは知らなかったのでころっと騙された。
お金を置くところがなくなったら大変だ!
そう言うことなら、喜んでご協力する!
「だから君は気にせずに好きなだけ食べてくれ」
わたしは笑顔で頷いた。
「はい‼」
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