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舞踏会の招待状
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王子と一曲ダンスを踊るだけで金貨五十枚。
馬鹿げている。馬鹿にしている! 国民の血税を何だと思っているのか。だが、しかし。
(金貨五十枚……。それだけあったら借金が片付く。お鍋だって新品が買える。このドレスのお金も出る。カボチャが一年分以上手に入る!)
カレンの頭の中で、金貨がばらばらと雪のように舞い散る。
その中で顔も知らない王子とうふふあははとダンスを踊りながら、「金貨がいちまーい、にまーい」と数えている自分がいた。
(だめよだめ、冷静になって! よくよく考えるのよカレン。一曲ダンスを踊るだけで金貨五十枚も出すなんて、よっぽど王子の外見がヤバいとか性格がヤバいとか、とにかく何か問題があるに決まってるわ)
噂ではウィストニアの王子リチャードは大変な美丈夫だという話だから、だったら性格だろうか。とにかく、うまい話には裏があるものだ。
(でも五十枚……。この際カエルのような不細工な男でも、超ひねくれまくった性格でもどうでもいい。五十枚……、ほしい)
それこそ、喉から手が出るほど欲しい。とにかくほしい。そのためには多少のことは我慢できる気がする。
カレンは握りしめているドレスに視線を落とした。
これを着て、王子の目にとまり、ダンスを踊る。そして賞金を手に入れる。金貨五十枚。たとえカレンがだめでも、うちにはキャサリンとバーバリーという姉がいる。勝率三倍。賞金獲得率三倍。いける。
「お姉様、わたし、出るわ」
「あら、やっとその気になったの」
「ええ。そして、ぶん殴ってでも蹴飛ばしてでも一服盛ってでもいいから王子とダンスを踊って、無事に金貨五十枚を手に入れるわ!」
「………」
キャサリンはドレスを片手にガッツポーズをしている妹に冷めた視線を送りつつ、
「王子より金貨……。あんたって、ほんっと変わり者よね……」
こっそりとため息をついたのだった。
馬鹿げている。馬鹿にしている! 国民の血税を何だと思っているのか。だが、しかし。
(金貨五十枚……。それだけあったら借金が片付く。お鍋だって新品が買える。このドレスのお金も出る。カボチャが一年分以上手に入る!)
カレンの頭の中で、金貨がばらばらと雪のように舞い散る。
その中で顔も知らない王子とうふふあははとダンスを踊りながら、「金貨がいちまーい、にまーい」と数えている自分がいた。
(だめよだめ、冷静になって! よくよく考えるのよカレン。一曲ダンスを踊るだけで金貨五十枚も出すなんて、よっぽど王子の外見がヤバいとか性格がヤバいとか、とにかく何か問題があるに決まってるわ)
噂ではウィストニアの王子リチャードは大変な美丈夫だという話だから、だったら性格だろうか。とにかく、うまい話には裏があるものだ。
(でも五十枚……。この際カエルのような不細工な男でも、超ひねくれまくった性格でもどうでもいい。五十枚……、ほしい)
それこそ、喉から手が出るほど欲しい。とにかくほしい。そのためには多少のことは我慢できる気がする。
カレンは握りしめているドレスに視線を落とした。
これを着て、王子の目にとまり、ダンスを踊る。そして賞金を手に入れる。金貨五十枚。たとえカレンがだめでも、うちにはキャサリンとバーバリーという姉がいる。勝率三倍。賞金獲得率三倍。いける。
「お姉様、わたし、出るわ」
「あら、やっとその気になったの」
「ええ。そして、ぶん殴ってでも蹴飛ばしてでも一服盛ってでもいいから王子とダンスを踊って、無事に金貨五十枚を手に入れるわ!」
「………」
キャサリンはドレスを片手にガッツポーズをしている妹に冷めた視線を送りつつ、
「王子より金貨……。あんたって、ほんっと変わり者よね……」
こっそりとため息をついたのだった。
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