シンデレラは貧乏性~結婚に必要な条件は『金銭感覚』です!~

狭山ひびき

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いざ舞踏会へ!

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 キャサリンとバーバリーは、扉の影からそっと部屋の中を覗き込んでいた。

 今は貧乏でも、昔はそれなりに栄えたアッピヤード伯爵家。邸はそれなりに広い。広大な庭はいまやカレンのステキな家庭菜園場と化してしまって以前の優美さは見る影もないが、いくら調度品を売り払ったからと言っても、優雅な曲線を描く邸の内装はまだ貴族の矜持を保っているように見えた。

 だが――

 二階の東の端。

 カレンが利用している一室である。

 その部屋の主であるカレンは、先ほどからうきうきと鼻歌を歌いながら、虫に食われたバーバリーの絹のショールを補修している。

 これだけ見ると、心優しい妹に姉であるバーバリーは涙がちょちょぎれそうになるのだが、しかし。

「金貨がいっちまーい、金貨がにまーい、うふふふふ、王子とダンスで五十まーい」

「………」

「………お姉様」

「言わなくていいわバーバリー」

「そうね……」

 二人は乱心したとしか思えない血のつながりのない妹の様子に、青ざめた顔を見合わせた。

 城の舞踏会は明日。

 今まで社交界デビューもせず、家のことをせっせとこなしてくれた妹が舞踏会に参加することを一時は喜んだ二人であるが、今ではこの妹を城へ連れて行っていいものかと真剣に悩んでいる。

「あの子……、きっと王子様がお金にしか見えていないわね」

「間違いないわ。恐ろしい子……」

「そりゃああの子は美人だし、きっと王子様と並んだらそれはそれは見栄えもするでしょけど……、どうしてかしら、あの子を近づけたら王子様が汚されそうな気がするの」

「お姉様、わたしも同感よ……」

 すっごいいい笑顔でチクチクと針を動かしているカレンに、二人の姉は頭を抱えそうになる。

 確かに悪かった。いくら自分たちに才能がないからと言って、カレン一人に家計の管理をさせていた自分たちが悪かった。でもまさか――

「こんな守銭奴になるなんて……。死んだお義父様に申し訳が立たないわ」

「確かにそうだけど、お姉様、ここは王子様よ。あの子、絶対に手段を選ばないわよ」

「そうね……。何としてもお守りしなくちゃね」

「そうよ。でないと、あの子に変な噂が立って、あのへんな娘の姉って言われて婚期が遅れるわ。それでなくても、わたしもお姉様も適齢期ぎりぎりなのに」

「それは困るわね」

 キャサリンとバーバリーは顔を見合わせて、はーっと盛大なため息をついた。
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