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いざ舞踏会へ!
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舞踏会がはじまって少し経ったころ。
お目当ての王子様がいまだ現れず肩を落としていたカレンに、バーバリーがこっそりと耳打ちした。
「カレン。静かに聞いてね。有力な情報を入手したの」
「有力な情報?」
「そうよ。ちょっとこっち」
バーバリーはカレンの手を引いて会場の隅に連れて行く。
不思議そうに首をひねるカレンの耳に唇を寄せて、バーバリーは、
「実はね、王子様は中庭にいらっしゃるかもしれないわ」
「中庭?」
「そう。小耳にはさんだ情報だと、王子様はいつも舞踏会をさぼ――いえ、ご遠慮なさって、中庭ですごされることが多いんですって。これはチャンスよ、カレン」
パチンと片目をつむって見せるバーバリーに、カレンはぱっと顔を輝かせた。
「じゃあ、そこに行けば――」
「うまくすれば王子様とダンスが踊れるかも」
「金貨五十枚!」
「え……、あ、そうね。金貨五十枚が手に入るかもね」
バーバリーが引きつった笑みを浮かべたことなど気づきもせず、カレンはぐっと拳を握りしめた。
「こうしちゃいられないわ! 待っていて、わたしの金貨!」
カレンがぱたぱたと会場から出て行くと、バーバリーは「はー」と大きく息を吐きだした。
「やっぱり、お姉様が正しかったわ……」
あの子を王子様に近づけたら不敬罪で逮捕される――と、バーバリーはつい昨日のことを思い出す。
カレンの部屋を二人で盗み見ていた昨日――。
キャサリンは青い顔をしてバーバリーを連れてカレンの部屋をあとにすると、自室でため息をつきながらこう言った。
「だめよ。あの子を絶対に王子様から遠ざけなくては」
「あらでもお姉様、あの子、王子様とのダンス――もとい、賞金の金貨を楽しみにしているんだもの、邪魔なんてしたらどれだけ怒るか……」
「だから、邪魔しているとあの子に気づかれずに邪魔するのよ」
「いくら何でもそれは可哀そうなんじゃ……」
「甘いわ!」
キャサリンは真剣な表情になった。
「いい? これはあの子のためなのよ。よくよく考えなさい。あの子の目的は金貨。お金が絡んだ時のあの子の見境のなさはわかっているでしょ? 何をするかわからないわ。もしもそれで、王子様に対して失礼があったりしたら」
「どうなるの?」
「最悪不敬罪で逮捕されてもおかしくないわ」
「……。それは、まずいわ」
「そうでしょう?」
「そうよ。変な噂が立つだけでも困るけど、あの子が逮捕なんてことになったらお母様が卒倒するわ。わたしだって心配よ! もちろんあの子の手から王子様をお守りしなくちゃっていうのもあるけど、なによりあの子が大切だわ!」
キャサリンもバーバリーも、少々――いやかなり貧乏性で守銭奴の嫌いのある妹のことを、大切に思っている。
そもそも、昔はあんな妹ではなかったのだ。
どちらかと言えばおっとりとしていて、ふわふわと愛らしく微笑む可愛い妹だった。
母の再婚でできた妹のことを、キャサリンもバーバリーもすぐに大好きになったのだ。
それなのに――
「貧乏のせいで心がすさんじゃったのね。あの子には幸せな結婚をして、貧乏とは無縁な生活を送ってほしいわ。そのためには、王子様を遠ざけないと――」
「確かにそうね。わかったわお姉様。協力するわ」
もしも不敬罪で逮捕ということになれば、一生その汚点がついてまわる。幸せな結婚などできるはずもない。そこは姉として、何としても回避しなければ。
キャサリンとバーバリーは、真剣な顔で硬く手を握り合った。
お目当ての王子様がいまだ現れず肩を落としていたカレンに、バーバリーがこっそりと耳打ちした。
「カレン。静かに聞いてね。有力な情報を入手したの」
「有力な情報?」
「そうよ。ちょっとこっち」
バーバリーはカレンの手を引いて会場の隅に連れて行く。
不思議そうに首をひねるカレンの耳に唇を寄せて、バーバリーは、
「実はね、王子様は中庭にいらっしゃるかもしれないわ」
「中庭?」
「そう。小耳にはさんだ情報だと、王子様はいつも舞踏会をさぼ――いえ、ご遠慮なさって、中庭ですごされることが多いんですって。これはチャンスよ、カレン」
パチンと片目をつむって見せるバーバリーに、カレンはぱっと顔を輝かせた。
「じゃあ、そこに行けば――」
「うまくすれば王子様とダンスが踊れるかも」
「金貨五十枚!」
「え……、あ、そうね。金貨五十枚が手に入るかもね」
バーバリーが引きつった笑みを浮かべたことなど気づきもせず、カレンはぐっと拳を握りしめた。
「こうしちゃいられないわ! 待っていて、わたしの金貨!」
カレンがぱたぱたと会場から出て行くと、バーバリーは「はー」と大きく息を吐きだした。
「やっぱり、お姉様が正しかったわ……」
あの子を王子様に近づけたら不敬罪で逮捕される――と、バーバリーはつい昨日のことを思い出す。
カレンの部屋を二人で盗み見ていた昨日――。
キャサリンは青い顔をしてバーバリーを連れてカレンの部屋をあとにすると、自室でため息をつきながらこう言った。
「だめよ。あの子を絶対に王子様から遠ざけなくては」
「あらでもお姉様、あの子、王子様とのダンス――もとい、賞金の金貨を楽しみにしているんだもの、邪魔なんてしたらどれだけ怒るか……」
「だから、邪魔しているとあの子に気づかれずに邪魔するのよ」
「いくら何でもそれは可哀そうなんじゃ……」
「甘いわ!」
キャサリンは真剣な表情になった。
「いい? これはあの子のためなのよ。よくよく考えなさい。あの子の目的は金貨。お金が絡んだ時のあの子の見境のなさはわかっているでしょ? 何をするかわからないわ。もしもそれで、王子様に対して失礼があったりしたら」
「どうなるの?」
「最悪不敬罪で逮捕されてもおかしくないわ」
「……。それは、まずいわ」
「そうでしょう?」
「そうよ。変な噂が立つだけでも困るけど、あの子が逮捕なんてことになったらお母様が卒倒するわ。わたしだって心配よ! もちろんあの子の手から王子様をお守りしなくちゃっていうのもあるけど、なによりあの子が大切だわ!」
キャサリンもバーバリーも、少々――いやかなり貧乏性で守銭奴の嫌いのある妹のことを、大切に思っている。
そもそも、昔はあんな妹ではなかったのだ。
どちらかと言えばおっとりとしていて、ふわふわと愛らしく微笑む可愛い妹だった。
母の再婚でできた妹のことを、キャサリンもバーバリーもすぐに大好きになったのだ。
それなのに――
「貧乏のせいで心がすさんじゃったのね。あの子には幸せな結婚をして、貧乏とは無縁な生活を送ってほしいわ。そのためには、王子様を遠ざけないと――」
「確かにそうね。わかったわお姉様。協力するわ」
もしも不敬罪で逮捕ということになれば、一生その汚点がついてまわる。幸せな結婚などできるはずもない。そこは姉として、何としても回避しなければ。
キャサリンとバーバリーは、真剣な顔で硬く手を握り合った。
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