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目に見えない愛
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アスヴィルは、魔王の城の中に用意されている自分の部屋の中を、先ほどからうろうろと歩き回っていた。
思い出すのは、久しぶりに見たミリアムの顔だ。
彼女はここのところずっと部屋に籠っていて、まったく顔を出してくれなかった。おかげでアスヴィルは、愛する彼女の顔をずっと拝めていなかったのだ。
しかし、せっかくミリアムの顔を見られたというのに、昨日のあの状況はまずかった。
ガーネットはおよそ十一年前、アスヴィルが親に言われて見合いをした相手だった。
この十一年、まったく音沙汰がなかったというのに、彼女は昨日、突然アスヴィルを訪れたのだ。
アスヴィルは知らなかったのだが、どうやら、見合いこそ失敗したものの、ガーネットはまだ、アスヴィルの婚約候補者の一人であるらしい。
ミリアムに振られた時の保険に、グノーがガーネットに断りをいれていなかったそうなのだ。
昨日、それを聞かされたアスヴィルは衝撃を受け、ガーネットには丁重に結婚の意思がないことを伝えたが、アスヴィルがそう言うのは想定内だったようで、彼女はこう切り返した。
――あと五年くらい、待てますわ。
つまり、あとおよそ五年のうちに、ミリアムを口説き落とせなかった場合、グノーとの約束により、アスヴィルはほかの誰かと結婚しなければいけない。その時誰と結婚するのかなんて考えたくもないが、確かに、父の中で彼女が有力候補であることは間違いないのだろう。
五年後も結婚する意志はないと言えるほどの自信が、アスヴィルにはなかった。五年以内に、ミリアムが振り向いてくれるという自信が、どこにもないのだ。
あるのは、ミリアムのことを諦めないという自信だけだ。だから、
――ミリアム様のことを諦めなくても、わたくし、かまいませんわ。
そういう彼女を突っぱねることは、アスヴィルにはできなかったのである。
なぜなら、たとえミリアムに振り向いてもらえず、五年後に別の女性と結婚する羽目になったとしても、アスヴィルはきっとミリアムを忘れられないからだ。それなら、諦めなくてもいいと言ってくれる女性を候補として置いておいた方が、将来的にいいのではないか――という打算的で後ろ向きな考えが頭の中をよぎってしまった。
「ミリアムに見られた……」
アスヴィルはドクドクと嫌な音を立てながら早い鼓動を打つ心臓の上を抑え、部屋の中を右往左往する。
「最悪だ。ミリアムに……」
アスヴィルの思い過ごしかもしれないが、一瞬見えたミリアムの顔は、アスヴィルのことを軽蔑しているように見えた。まるで、アスヴィルの臆病で汚い内面を見透かされたかのように思えたのだ。
「ミリアムに、嫌われる……」
今でも充分すぎるほど嫌われている自覚はあるが、これ以上嫌われたら、どうしていいのかわからない。
好きなのだ。
どうしようもなく、大好きなのだ。
それなのに、ミリアムとアスヴィルの間には深い溝があり、どれだけ頑張っても一向にその溝が埋まる気がしない。これ以上嫌われたら、それこそ溝が谷に変わって、その下に川まで流れはじめて、どれだけ土を落とそうと、絶対に埋まらなくなってしまう。
「そんなの、絶対に嫌だ……!」
アスヴィルはいてもたってもいられなくなって、部屋を飛び出すと、シヴァのもとに飛んで行った。
シヴァの部屋を訪れると、彼ははうんざりとしたような声を出した。
「今度はなんだ」
青い顔をしてやってきた友人は、シヴァの顔を見るなり「ミリアムに嫌われます!」と叫んだが、もともと嫌われているくせにいまさら何を言うんだとシヴァはあきれた。
「ガーネットといるところ見られたんです!」
「ガーネット? モーリスの妹のガーネットか?」
「そうです!」
「で、ガーネットと一緒にいるところを見られたからと言ってなんだというんだ」
シヴァが問えば、アスヴィルは頭を抱えながら部屋の中をうろうろしはじめた。
「ガーネットは、俺の婚約者候補らしいんです!」
「そうなのか?」
「そうです! 十一年前の見合いのあと、父上が答えを保留にしていたらしいんです!」
「ああ、十一年前の見合いの相手はガーネットだったのか」
部屋の端から端までをうろうろと歩き回るアスヴィルに気が散って、シヴァは書類から顔を上げると、仕事を続けるのを諦めて友人の話を聞いてやることにした。
「それで、そのガーネットと一緒にいて、何が悪い?」
「大いに悪いです! ミリアムに浮気を疑われます!!」
「……浮気?」
恋人関係でもないのに、なぜそこで浮気を疑われるのか、シヴァにはさっぱりわからなかったが、どうやら混乱していてまともな思考回路の状態ではなさそうなアスヴィルに、それを言ってもどうしようもないだろう。
シヴァはその妙な単語を聞き流し、続きを促した。
「それで、疑われたらなんだ」
「ミリアムに軽蔑されます!!」
アスヴィルはぴたりと足を止めると、すがるような目でシヴァを見た。
「弁解したいです」
「は?」
「俺にはミリアムだけだと、弁解したいんです!!」
「……」
アスヴィルは小走りで執務机の前までやってくると、机の上に手をついて、身を乗り出した。
「お願いです。ミリアムに会わせてください。十五分、いいえ、十分でも五分でも構いません! ミリアムから十メートル以内の距離に近づく許可をください!」
ミリアム接近禁止令が解けるまで、あと一週間である。だが、アスヴィルはその一週間も待てないようだった。
しかしシヴァは、にべもなく告げた。
「それは無理だ」
「シヴァ様!」
アスヴィルが悲痛な声を上げる。
シヴァはアスヴィルの顔を見て、ため息交じりにこう告げた。
「ミリアムは今朝、城を出て行った。しばらく戻らないらしい。だから、無理なんだ」
それを聞いたアスヴィルは、まるで、死刑宣告を聞いたかのように絶望した表情で立ち尽くしたのだった。
思い出すのは、久しぶりに見たミリアムの顔だ。
彼女はここのところずっと部屋に籠っていて、まったく顔を出してくれなかった。おかげでアスヴィルは、愛する彼女の顔をずっと拝めていなかったのだ。
しかし、せっかくミリアムの顔を見られたというのに、昨日のあの状況はまずかった。
ガーネットはおよそ十一年前、アスヴィルが親に言われて見合いをした相手だった。
この十一年、まったく音沙汰がなかったというのに、彼女は昨日、突然アスヴィルを訪れたのだ。
アスヴィルは知らなかったのだが、どうやら、見合いこそ失敗したものの、ガーネットはまだ、アスヴィルの婚約候補者の一人であるらしい。
ミリアムに振られた時の保険に、グノーがガーネットに断りをいれていなかったそうなのだ。
昨日、それを聞かされたアスヴィルは衝撃を受け、ガーネットには丁重に結婚の意思がないことを伝えたが、アスヴィルがそう言うのは想定内だったようで、彼女はこう切り返した。
――あと五年くらい、待てますわ。
つまり、あとおよそ五年のうちに、ミリアムを口説き落とせなかった場合、グノーとの約束により、アスヴィルはほかの誰かと結婚しなければいけない。その時誰と結婚するのかなんて考えたくもないが、確かに、父の中で彼女が有力候補であることは間違いないのだろう。
五年後も結婚する意志はないと言えるほどの自信が、アスヴィルにはなかった。五年以内に、ミリアムが振り向いてくれるという自信が、どこにもないのだ。
あるのは、ミリアムのことを諦めないという自信だけだ。だから、
――ミリアム様のことを諦めなくても、わたくし、かまいませんわ。
そういう彼女を突っぱねることは、アスヴィルにはできなかったのである。
なぜなら、たとえミリアムに振り向いてもらえず、五年後に別の女性と結婚する羽目になったとしても、アスヴィルはきっとミリアムを忘れられないからだ。それなら、諦めなくてもいいと言ってくれる女性を候補として置いておいた方が、将来的にいいのではないか――という打算的で後ろ向きな考えが頭の中をよぎってしまった。
「ミリアムに見られた……」
アスヴィルはドクドクと嫌な音を立てながら早い鼓動を打つ心臓の上を抑え、部屋の中を右往左往する。
「最悪だ。ミリアムに……」
アスヴィルの思い過ごしかもしれないが、一瞬見えたミリアムの顔は、アスヴィルのことを軽蔑しているように見えた。まるで、アスヴィルの臆病で汚い内面を見透かされたかのように思えたのだ。
「ミリアムに、嫌われる……」
今でも充分すぎるほど嫌われている自覚はあるが、これ以上嫌われたら、どうしていいのかわからない。
好きなのだ。
どうしようもなく、大好きなのだ。
それなのに、ミリアムとアスヴィルの間には深い溝があり、どれだけ頑張っても一向にその溝が埋まる気がしない。これ以上嫌われたら、それこそ溝が谷に変わって、その下に川まで流れはじめて、どれだけ土を落とそうと、絶対に埋まらなくなってしまう。
「そんなの、絶対に嫌だ……!」
アスヴィルはいてもたってもいられなくなって、部屋を飛び出すと、シヴァのもとに飛んで行った。
シヴァの部屋を訪れると、彼ははうんざりとしたような声を出した。
「今度はなんだ」
青い顔をしてやってきた友人は、シヴァの顔を見るなり「ミリアムに嫌われます!」と叫んだが、もともと嫌われているくせにいまさら何を言うんだとシヴァはあきれた。
「ガーネットといるところ見られたんです!」
「ガーネット? モーリスの妹のガーネットか?」
「そうです!」
「で、ガーネットと一緒にいるところを見られたからと言ってなんだというんだ」
シヴァが問えば、アスヴィルは頭を抱えながら部屋の中をうろうろしはじめた。
「ガーネットは、俺の婚約者候補らしいんです!」
「そうなのか?」
「そうです! 十一年前の見合いのあと、父上が答えを保留にしていたらしいんです!」
「ああ、十一年前の見合いの相手はガーネットだったのか」
部屋の端から端までをうろうろと歩き回るアスヴィルに気が散って、シヴァは書類から顔を上げると、仕事を続けるのを諦めて友人の話を聞いてやることにした。
「それで、そのガーネットと一緒にいて、何が悪い?」
「大いに悪いです! ミリアムに浮気を疑われます!!」
「……浮気?」
恋人関係でもないのに、なぜそこで浮気を疑われるのか、シヴァにはさっぱりわからなかったが、どうやら混乱していてまともな思考回路の状態ではなさそうなアスヴィルに、それを言ってもどうしようもないだろう。
シヴァはその妙な単語を聞き流し、続きを促した。
「それで、疑われたらなんだ」
「ミリアムに軽蔑されます!!」
アスヴィルはぴたりと足を止めると、すがるような目でシヴァを見た。
「弁解したいです」
「は?」
「俺にはミリアムだけだと、弁解したいんです!!」
「……」
アスヴィルは小走りで執務机の前までやってくると、机の上に手をついて、身を乗り出した。
「お願いです。ミリアムに会わせてください。十五分、いいえ、十分でも五分でも構いません! ミリアムから十メートル以内の距離に近づく許可をください!」
ミリアム接近禁止令が解けるまで、あと一週間である。だが、アスヴィルはその一週間も待てないようだった。
しかしシヴァは、にべもなく告げた。
「それは無理だ」
「シヴァ様!」
アスヴィルが悲痛な声を上げる。
シヴァはアスヴィルの顔を見て、ため息交じりにこう告げた。
「ミリアムは今朝、城を出て行った。しばらく戻らないらしい。だから、無理なんだ」
それを聞いたアスヴィルは、まるで、死刑宣告を聞いたかのように絶望した表情で立ち尽くしたのだった。
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