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孫娘懐柔計画 4
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「カーラちゃーん!」
「ばーばー!」
はぐっ!
可愛いお尻をふりふりしながらとてとてとちょっと危なげに走って来たカーラが、イアナの胸にぽすっとダイブする。
ステファーニ公爵家に嫁いで一か月。
ついに、人見知りの孫娘カーラが自分からイアナに抱き着くまで懐いてくれた。
(ああっ、幸せ!)
無理に近づこうとはせず、こつこつとおやつの時間にお菓子を手作りして会いに行っていたが、そのおかげか、イアナのことを安全な人間と認識してくれたようだ。お菓子の力、すごい。
「ぼくもー!」
カーラをぎゅーっと抱きしめていると、ルクレツィオも走って来てぎゅっとイアナに抱き着き、きゃっきゃと笑う。ここは天国だろうか。
(お孫ちゃん可愛いっ、可愛いっ、可愛すぎるっ!)
両手に小さな孫二人を抱きしめてほわーっと酔いしれていると、その光景を眺めていたフェルナンドがくすくすと笑った。
朝ごはんを食べた後でフェルナンドと庭を散歩していたら、カーラとルクレツィオがアリーチャに手を引かれてやってきたのだ。
その後カーラがイアナに抱き着き、ルクレツィオが続いて今の状況に至るというわけである。
季節はすっかり夏になった。
ステファーニ公爵邸の広大な庭には季節の花や木が植えられている。今はジニアが花の見頃を迎えていた。
ほかにも、ブルーベリーとスモモがそろそろ収穫時期を迎えようとしている。
ステファーニ公爵邸は、正確にはステファーニ公城である。
今は近隣諸国との関係は良好で戦争の気配なんてないが、この城が建てられた三百年前は戦の絶えない時代だったらしい。
ゆえに、城の周りは分厚い外壁に覆われていた。
見張りをおく尖塔も東西南北に一つずつある。
そして広大な庭には、当時の名残から、食べられる植物を植えており、特に果物の木はたくさん植えられていた。戦時中に食べ物が枯渇した際に少しでも足しになればという考え方だそうだ。
さすがに三百年も果物の木が残っているとは思わないので、間で何度か植え替えられているのだろうが、有事の際の備えは平和な今でも怠らないようにしているという。
花や果実で季節を感じられる庭は、イアナにしてみたら最高のデートコースだ。
「カーラ、ルッツィ、ブルーベリーを収穫してケーキにする?」
「「するー!」」
アリーチャについて来ていたメイドが、子供たちの返事を聞いて籠を取りに行った。
メイドが持って来た籠をイアナが受け取ったので、カーラとルクレツィオはフェルナンドが抱き上げる。それぞれの腕に軽々と一人ずつ抱え上げるフェルナンドがカッコいい。
ブルーベリーの木に到着すると、フェルナンドが二人を地面に下ろした。
ブルーベリーの木はそれほど背が高くないのだが子供にはまだ手が届かない。アリーチャがカーラを、フェルナンドがルクレツィオを収穫しやすい高さまで抱え上げると、二人は小さな手でぷちぷちと黒く色づいたブルーベリーを収穫してはイアナの持つ籠の中に入れていく。半分くらい潰れるのはご愛敬だ。
二人だけでは収穫が追いつかないのでイアナも手伝い、今日使う分だけ収穫を終えた頃にはカーラたちの手はブルーベリーの汁で赤紫色に染まっていた。
「二人ともおててを拭きましょうね」
イアナは籠をメイドに預けてハンカチでカーラとルクレツィオの手を拭く。拭くだけでは綺麗に落ちなかったので、邸に戻ったら手を洗わせよう。
赤紫色に染まった指先を見て笑っている孫にイアナがときめいていると、公爵家の騎士が一人、慌ただしく近づいてきた。
「どうした?」
公爵家の騎士は、普段は家族の団欒に不用意に邪魔するような無粋なことはしない。きっと何かが起こったのだ。
「おくつろぎのところ申し訳ございません。北の山で魔獣を目撃したと報告が」
魔獣と聞いてアリーチャがひゅっと息を呑む。
イアナも眉を寄せた。
人間同様、獣の中にも稀に魔力を持って生まれる個体が現れる。
その個体は魔獣と呼ばれ、中には大人しい子もいるのだが、獣の種類によっては凶暴性を増すものもいるのだ。
ヴァリーニ国では、特に熊や狼、猪、ヘラジカなどの魔獣は危険とされている。他国ではほかにも危険視される魔獣がいるが、ヴァリーニ国に生息している動物の中ではこの四種類が特別指定警戒魔獣だ。
「なんの魔獣だ」
「目撃情報によれば、ヘラジカだと。体長は四メートルを超えているという情報です」
魔獣化すると、動物の本来の大きさよりも大きく成長する傾向にある。四メートルのヘラジカの魔獣なんてゾッとする。突進してこられたらひとたまりもないだろう。
「間違いなく討伐対象だな。急いで討伐隊を結集しろ。それから近隣住民の避難に討伐隊とは別に騎士と兵を動かすように。私も出る」
「旦那様⁉」
当主自ら出陣するとは思わず、イアナはギョッとした。
すると、フェルナンドが目を細めて微笑む。
「これでも若い頃は魔獣の討伐に出向いていたんだ。年を取ってからは控えるようにしていたが、今なら問題ないだろう? この外見だから私だと気づかれないだろうし、エラルドが作った防御の魔術具も持って行くから心配しなくていい。……それよりも、恐らく討伐後は近くの村か町で祭りになるだろうから、出かける準備をしておいで」
「お祭り?」
命を懸けた討伐からお祭り騒ぎになる理由がわからずイアナが首をひねると、フェルナンドに報告に来ていた騎士が笑顔で頷く。
「大型の魔獣を討伐した後は、たいていお祭りになるんです。期待していてください、ヘラジカの魔獣の肉はうまいですよ」
(食べるの⁉)
ヘラジカの肉が食べられるのは知っていたが、魔獣化したヘラジカを食べると言われればさすがに驚く。
「アントネッラ伯爵家では討伐後の祭りはしなかったか? 魔獣化した獣の肉は普通の肉よりうまいんだ。もちろん危険生物なので発生しないに越したことはないのだが……」
「領民の中には魔獣の肉が食べたいからと魔獣の発生を心待ちにしている者もいますよねえ」
イアナは唖然とした。
アリーチャがおっとりと頬に手を当てた。
「魔獣は怖いですけど、公爵家の騎士や兵士たちは強いですから、領民が安心しているのもあるでしょうね。この時間なら、お祭りは今日は間に合いませんね。明日の夕方でしょうか」
「そうだな。カーラとルクレツィオはさすがに連れて行けないだろうが、肉を少し分けてもらってこよう。アリーチャはどうする?」
「わたくしは、エラルド様に聞いてみますわ。研究に熱中しているので、今回は行かないと言うかもしれませんし」
わたくしはもう三回も参加していますので、とアリーチャが笑う。
危険な魔獣討伐のはずが、美味しいお肉の収穫みたいな感じの雰囲気になっているのはどうしてだろう。
「ヘラジカの魔獣なら、ツノは武器に、毛皮は防具になりますね。四メートル以上の巨体なら期待できそうです」
騎士がほくほく顔で言う。
フェルナンドも騎士も余裕そうな表情をしているので、イアナは「危険なので」と言ってフェルナンドを止めることができなくなってしまった。
自分の中の常識がガラガラと崩れていく音を聞きながら、少しだけ引きつった笑みでフェルナンドを見上げる。
「ええっと……気を付けて、行ってきてくださいね?」
フェルナンドは楽しそうな顔で「ああ」と頷いた。
もしかして、フェルナンドは穏やかな顔をして意外と好戦的な性格なのだろうか。
夫の新たな一面を見た気がして、イアナはこれはときめいていいのか心配していいのかわからないなと肩をすくめた。
「ばーばー!」
はぐっ!
可愛いお尻をふりふりしながらとてとてとちょっと危なげに走って来たカーラが、イアナの胸にぽすっとダイブする。
ステファーニ公爵家に嫁いで一か月。
ついに、人見知りの孫娘カーラが自分からイアナに抱き着くまで懐いてくれた。
(ああっ、幸せ!)
無理に近づこうとはせず、こつこつとおやつの時間にお菓子を手作りして会いに行っていたが、そのおかげか、イアナのことを安全な人間と認識してくれたようだ。お菓子の力、すごい。
「ぼくもー!」
カーラをぎゅーっと抱きしめていると、ルクレツィオも走って来てぎゅっとイアナに抱き着き、きゃっきゃと笑う。ここは天国だろうか。
(お孫ちゃん可愛いっ、可愛いっ、可愛すぎるっ!)
両手に小さな孫二人を抱きしめてほわーっと酔いしれていると、その光景を眺めていたフェルナンドがくすくすと笑った。
朝ごはんを食べた後でフェルナンドと庭を散歩していたら、カーラとルクレツィオがアリーチャに手を引かれてやってきたのだ。
その後カーラがイアナに抱き着き、ルクレツィオが続いて今の状況に至るというわけである。
季節はすっかり夏になった。
ステファーニ公爵邸の広大な庭には季節の花や木が植えられている。今はジニアが花の見頃を迎えていた。
ほかにも、ブルーベリーとスモモがそろそろ収穫時期を迎えようとしている。
ステファーニ公爵邸は、正確にはステファーニ公城である。
今は近隣諸国との関係は良好で戦争の気配なんてないが、この城が建てられた三百年前は戦の絶えない時代だったらしい。
ゆえに、城の周りは分厚い外壁に覆われていた。
見張りをおく尖塔も東西南北に一つずつある。
そして広大な庭には、当時の名残から、食べられる植物を植えており、特に果物の木はたくさん植えられていた。戦時中に食べ物が枯渇した際に少しでも足しになればという考え方だそうだ。
さすがに三百年も果物の木が残っているとは思わないので、間で何度か植え替えられているのだろうが、有事の際の備えは平和な今でも怠らないようにしているという。
花や果実で季節を感じられる庭は、イアナにしてみたら最高のデートコースだ。
「カーラ、ルッツィ、ブルーベリーを収穫してケーキにする?」
「「するー!」」
アリーチャについて来ていたメイドが、子供たちの返事を聞いて籠を取りに行った。
メイドが持って来た籠をイアナが受け取ったので、カーラとルクレツィオはフェルナンドが抱き上げる。それぞれの腕に軽々と一人ずつ抱え上げるフェルナンドがカッコいい。
ブルーベリーの木に到着すると、フェルナンドが二人を地面に下ろした。
ブルーベリーの木はそれほど背が高くないのだが子供にはまだ手が届かない。アリーチャがカーラを、フェルナンドがルクレツィオを収穫しやすい高さまで抱え上げると、二人は小さな手でぷちぷちと黒く色づいたブルーベリーを収穫してはイアナの持つ籠の中に入れていく。半分くらい潰れるのはご愛敬だ。
二人だけでは収穫が追いつかないのでイアナも手伝い、今日使う分だけ収穫を終えた頃にはカーラたちの手はブルーベリーの汁で赤紫色に染まっていた。
「二人ともおててを拭きましょうね」
イアナは籠をメイドに預けてハンカチでカーラとルクレツィオの手を拭く。拭くだけでは綺麗に落ちなかったので、邸に戻ったら手を洗わせよう。
赤紫色に染まった指先を見て笑っている孫にイアナがときめいていると、公爵家の騎士が一人、慌ただしく近づいてきた。
「どうした?」
公爵家の騎士は、普段は家族の団欒に不用意に邪魔するような無粋なことはしない。きっと何かが起こったのだ。
「おくつろぎのところ申し訳ございません。北の山で魔獣を目撃したと報告が」
魔獣と聞いてアリーチャがひゅっと息を呑む。
イアナも眉を寄せた。
人間同様、獣の中にも稀に魔力を持って生まれる個体が現れる。
その個体は魔獣と呼ばれ、中には大人しい子もいるのだが、獣の種類によっては凶暴性を増すものもいるのだ。
ヴァリーニ国では、特に熊や狼、猪、ヘラジカなどの魔獣は危険とされている。他国ではほかにも危険視される魔獣がいるが、ヴァリーニ国に生息している動物の中ではこの四種類が特別指定警戒魔獣だ。
「なんの魔獣だ」
「目撃情報によれば、ヘラジカだと。体長は四メートルを超えているという情報です」
魔獣化すると、動物の本来の大きさよりも大きく成長する傾向にある。四メートルのヘラジカの魔獣なんてゾッとする。突進してこられたらひとたまりもないだろう。
「間違いなく討伐対象だな。急いで討伐隊を結集しろ。それから近隣住民の避難に討伐隊とは別に騎士と兵を動かすように。私も出る」
「旦那様⁉」
当主自ら出陣するとは思わず、イアナはギョッとした。
すると、フェルナンドが目を細めて微笑む。
「これでも若い頃は魔獣の討伐に出向いていたんだ。年を取ってからは控えるようにしていたが、今なら問題ないだろう? この外見だから私だと気づかれないだろうし、エラルドが作った防御の魔術具も持って行くから心配しなくていい。……それよりも、恐らく討伐後は近くの村か町で祭りになるだろうから、出かける準備をしておいで」
「お祭り?」
命を懸けた討伐からお祭り騒ぎになる理由がわからずイアナが首をひねると、フェルナンドに報告に来ていた騎士が笑顔で頷く。
「大型の魔獣を討伐した後は、たいていお祭りになるんです。期待していてください、ヘラジカの魔獣の肉はうまいですよ」
(食べるの⁉)
ヘラジカの肉が食べられるのは知っていたが、魔獣化したヘラジカを食べると言われればさすがに驚く。
「アントネッラ伯爵家では討伐後の祭りはしなかったか? 魔獣化した獣の肉は普通の肉よりうまいんだ。もちろん危険生物なので発生しないに越したことはないのだが……」
「領民の中には魔獣の肉が食べたいからと魔獣の発生を心待ちにしている者もいますよねえ」
イアナは唖然とした。
アリーチャがおっとりと頬に手を当てた。
「魔獣は怖いですけど、公爵家の騎士や兵士たちは強いですから、領民が安心しているのもあるでしょうね。この時間なら、お祭りは今日は間に合いませんね。明日の夕方でしょうか」
「そうだな。カーラとルクレツィオはさすがに連れて行けないだろうが、肉を少し分けてもらってこよう。アリーチャはどうする?」
「わたくしは、エラルド様に聞いてみますわ。研究に熱中しているので、今回は行かないと言うかもしれませんし」
わたくしはもう三回も参加していますので、とアリーチャが笑う。
危険な魔獣討伐のはずが、美味しいお肉の収穫みたいな感じの雰囲気になっているのはどうしてだろう。
「ヘラジカの魔獣なら、ツノは武器に、毛皮は防具になりますね。四メートル以上の巨体なら期待できそうです」
騎士がほくほく顔で言う。
フェルナンドも騎士も余裕そうな表情をしているので、イアナは「危険なので」と言ってフェルナンドを止めることができなくなってしまった。
自分の中の常識がガラガラと崩れていく音を聞きながら、少しだけ引きつった笑みでフェルナンドを見上げる。
「ええっと……気を付けて、行ってきてくださいね?」
フェルナンドは楽しそうな顔で「ああ」と頷いた。
もしかして、フェルナンドは穏やかな顔をして意外と好戦的な性格なのだろうか。
夫の新たな一面を見た気がして、イアナはこれはときめいていいのか心配していいのかわからないなと肩をすくめた。
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