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社交デビュー 1
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「旦那様、タウンハウスに届いたお茶会やパーティーの招待状が転送されてきました」
庭のリンゴの木になっている実がほんのりと色づきはじめた頃、執事が大量の手紙の束を持ってフェルナンドの書斎にやって来た。
書類にサインをしていたフェルナンドは顔を上げ「もうそんな時期か」とつぶやいた。
フェルナンドたちはまだステファーニ公爵領のカントリーハウスに滞在していたが、そろそろ社交シーズンをどう過ごすかを決めなければならないようだ。
とはいえ、二十歳の姿のフェルナンドが、去年までと同じように社交場に顔を出すわけにもいかない。
公務は今のところ甥の国王に事情を説明して回避しているが、いつまでもこのままではいられないだろう。
「エラルドは?」
「今年の社交は冬以降に検討する、とのことです」
「冬以降に検討……。あいつは王都に戻るつもりがなさそうだな」
「アリーチャ様もお子様が小さいのでエラルド様が戻らないのなら王都には戻らないとおっしゃっていますが、旦那様はどうなさいますか?」
「エラルドが動かないのならば私が行くしかないだろう。とはいえ社交は悩ましいな。イアナ宛の茶会の招待状もあるが、彼女を一人で行かせるのは不安だ」
王都にはイアナの妹ジョルジアナがいる。アントネッラ伯爵夫妻も社交シーズンには王都の邸に戻るだろう。そうなると、茶会やパーティーで鉢合わせする可能性があり、イアナに金の無心をするかもしれない。
イアナは賢い女性なのでのらりくらりかわすとは思うが、嫌な思いはするだろう。
フェルナンドが隣にいればさすがにアントネッラ伯爵たちも強気に出れないだろうから、社交場には一緒に参加したい。
(エラルドが私の外見について対策を考えると言っていたが、研究の進捗具合はどうなのだろうか)
今年の社交はエラルドの研究結果次第になりそうだ。フェルナンドは手紙の束を書斎机の上に置き、地下のエラルドの研究室へ向かうことにした。
廊下に出ると、ルクレツィオとカーラの笑い声が聞こえる。イアナとアリーチャと遊んでいるのだろう。
イアナは子供の相手がうまい。庭を散歩しながら植物についてルクレツィオに教えているのを見たことがあるし、最近ではおやつの数を数えてから食べさせるという遊びと教育を織り交ぜたこともやっていた。
ルクレツィオはもともと賢い子だったが、イアナのおかげか、三歳にしてすでに二桁の数字を理解している。五歳になったら家庭教師を探そうとエラルドが言っていたが、五歳児が学ぶことはイアナがあっという間に教えてしまいそうだ。
地下へ続く階段を降りてエラルドの研究室の扉を叩くと、中から生返事が返って来た。
「エラルド、私だ。入るぞ」
扉を開けたフェルナンドは唖然とした。相変わらず乱雑に散らかった部屋だ。ゴミなのか必要なものなのかもわからない。かろうじて動線は確保されているが、それ以外は足の踏み場もないほどだった。
「エラルド、いい加減部屋を片付けなさい。いるものといらないものの判断はお前しかできないのだから、お前が片付けない限り散らかり続けるぞ」
「そのうち片付けますよ。それより、ちょうどいいところに。父上、ちょっと実験に……」
「断る」
エラルドの実験に関わるとろくなことにならない。二十歳まで若返る羽目になったフェルナンドは、もう二度とエラルドの実験台にならないぞと決めていた。今はイアナという可愛い妻がいるのだ。妻を置いて先に逝きたくない。
「そんな! 父上が協力してくれないと困ります。父上の外見対策の魔術具を作っているんですから!」
「外見対策の魔術具?」
今回はおかしな薬ではないらしい。
しかし、魔術具で外見対策とはどういうことなのだろう。
「若返りの薬は実験台がいないので諦めました。代わりに錯覚の魔術を応用して外見だけ若返ったり年を取ったりする魔術具を作ったんです。体自体が若返ったり年を取ったりするわけではなく、見ている人間の目にそう見えるだけなので人体に影響はありません。たぶん」
「たぶんでは困るんだが」
とはいえ、その魔術具には興味がある。外見問題が解決できれば、今年の社交シーズンの問題もなんとかなるし、公務も可能だ。
「まずはどんな魔術具なのかを教えなさい。それによって実験に協力するかどうか考えよう」
「わかりました。今回試験的に作ったのはこの指輪の魔術具です。父上の、この肖像画の情報を魔術具に取り込むことで、父上が指輪をはめているときは、周囲の人間は父上がこの肖像画に描かれた外見ほどの年齢の姿に見えます」
エラルドが見せたのは去年描いてもらった六十二歳の時のフェルナンドの肖像画だ。イアナが持っている絵姿はこの肖像画を複製したものである。
「この魔術具の欠点は、それぞれ専用に作らないといけないってことなんですよね。父上専用に作ったこの指輪は、父上を六十二歳の姿に見せる専用です。他の人間が使っても意味がありません」
「なるほど? つまりうっかり落としても、私以外の人間にはただの指輪ということか」
「そうです。で、これを応用して、伯父上の五十代のときの肖像画を使えば、外見だけ若返ることが可能となるはずです。実際に肉体が若返るわけではありませんが、これで我慢してもらいましょう」
フェルナンドも、若返りの薬よりは外見だけそう見えるように変化させる指輪の方がいいと思う。自分が若返ったからわかるが、若返りの薬は危険だ。生活に支障が出るし、薬の存在を世間に知られたら大騒ぎになるだろう。
公爵領でフェルナンドが若返ったことを知る人間にも、一部の使用人を除いて、若返りの薬のことは伏せてある。エラルドがおかしな魔術実験をした結果、魔術が暴発してフェルナンドが若返った、と誤魔化しておいたのだ。エラルドが魔術実験をするのはいつものことなので、苦しい言い訳だったのに意外と信じてくれた。
「薬よりは安全そうだな。そういうことなら実験に協力してやろう」
フェルナンドは指輪を受け取り、左手の中指に嵌めた。
「どうだ?」
鏡がないので自分ではわからないため、エラルドに確認してみる。
エラルドが満面の笑みで頷いた。
「成功です! さすが僕! 天才だ!」
「自画自賛はやめなさい。でもこれで社交は何とかなるな。……ふむ」
フェルナンドは指輪を見つめてちょっと考えた。むくむくと悪戯心が沸き起こって来る。
「エラルド、これは私専用なのだから私がもらってもいいのだろう?」
「もちろんです」
「わかった。じゃあな」
イアナたちは今、庭で遊んでいる。
(ちょっと驚かせてみるか)
なんだか童心に返ったようで楽しいなと、フェルナンドは足取り軽く庭へ向かった。
庭のリンゴの木になっている実がほんのりと色づきはじめた頃、執事が大量の手紙の束を持ってフェルナンドの書斎にやって来た。
書類にサインをしていたフェルナンドは顔を上げ「もうそんな時期か」とつぶやいた。
フェルナンドたちはまだステファーニ公爵領のカントリーハウスに滞在していたが、そろそろ社交シーズンをどう過ごすかを決めなければならないようだ。
とはいえ、二十歳の姿のフェルナンドが、去年までと同じように社交場に顔を出すわけにもいかない。
公務は今のところ甥の国王に事情を説明して回避しているが、いつまでもこのままではいられないだろう。
「エラルドは?」
「今年の社交は冬以降に検討する、とのことです」
「冬以降に検討……。あいつは王都に戻るつもりがなさそうだな」
「アリーチャ様もお子様が小さいのでエラルド様が戻らないのなら王都には戻らないとおっしゃっていますが、旦那様はどうなさいますか?」
「エラルドが動かないのならば私が行くしかないだろう。とはいえ社交は悩ましいな。イアナ宛の茶会の招待状もあるが、彼女を一人で行かせるのは不安だ」
王都にはイアナの妹ジョルジアナがいる。アントネッラ伯爵夫妻も社交シーズンには王都の邸に戻るだろう。そうなると、茶会やパーティーで鉢合わせする可能性があり、イアナに金の無心をするかもしれない。
イアナは賢い女性なのでのらりくらりかわすとは思うが、嫌な思いはするだろう。
フェルナンドが隣にいればさすがにアントネッラ伯爵たちも強気に出れないだろうから、社交場には一緒に参加したい。
(エラルドが私の外見について対策を考えると言っていたが、研究の進捗具合はどうなのだろうか)
今年の社交はエラルドの研究結果次第になりそうだ。フェルナンドは手紙の束を書斎机の上に置き、地下のエラルドの研究室へ向かうことにした。
廊下に出ると、ルクレツィオとカーラの笑い声が聞こえる。イアナとアリーチャと遊んでいるのだろう。
イアナは子供の相手がうまい。庭を散歩しながら植物についてルクレツィオに教えているのを見たことがあるし、最近ではおやつの数を数えてから食べさせるという遊びと教育を織り交ぜたこともやっていた。
ルクレツィオはもともと賢い子だったが、イアナのおかげか、三歳にしてすでに二桁の数字を理解している。五歳になったら家庭教師を探そうとエラルドが言っていたが、五歳児が学ぶことはイアナがあっという間に教えてしまいそうだ。
地下へ続く階段を降りてエラルドの研究室の扉を叩くと、中から生返事が返って来た。
「エラルド、私だ。入るぞ」
扉を開けたフェルナンドは唖然とした。相変わらず乱雑に散らかった部屋だ。ゴミなのか必要なものなのかもわからない。かろうじて動線は確保されているが、それ以外は足の踏み場もないほどだった。
「エラルド、いい加減部屋を片付けなさい。いるものといらないものの判断はお前しかできないのだから、お前が片付けない限り散らかり続けるぞ」
「そのうち片付けますよ。それより、ちょうどいいところに。父上、ちょっと実験に……」
「断る」
エラルドの実験に関わるとろくなことにならない。二十歳まで若返る羽目になったフェルナンドは、もう二度とエラルドの実験台にならないぞと決めていた。今はイアナという可愛い妻がいるのだ。妻を置いて先に逝きたくない。
「そんな! 父上が協力してくれないと困ります。父上の外見対策の魔術具を作っているんですから!」
「外見対策の魔術具?」
今回はおかしな薬ではないらしい。
しかし、魔術具で外見対策とはどういうことなのだろう。
「若返りの薬は実験台がいないので諦めました。代わりに錯覚の魔術を応用して外見だけ若返ったり年を取ったりする魔術具を作ったんです。体自体が若返ったり年を取ったりするわけではなく、見ている人間の目にそう見えるだけなので人体に影響はありません。たぶん」
「たぶんでは困るんだが」
とはいえ、その魔術具には興味がある。外見問題が解決できれば、今年の社交シーズンの問題もなんとかなるし、公務も可能だ。
「まずはどんな魔術具なのかを教えなさい。それによって実験に協力するかどうか考えよう」
「わかりました。今回試験的に作ったのはこの指輪の魔術具です。父上の、この肖像画の情報を魔術具に取り込むことで、父上が指輪をはめているときは、周囲の人間は父上がこの肖像画に描かれた外見ほどの年齢の姿に見えます」
エラルドが見せたのは去年描いてもらった六十二歳の時のフェルナンドの肖像画だ。イアナが持っている絵姿はこの肖像画を複製したものである。
「この魔術具の欠点は、それぞれ専用に作らないといけないってことなんですよね。父上専用に作ったこの指輪は、父上を六十二歳の姿に見せる専用です。他の人間が使っても意味がありません」
「なるほど? つまりうっかり落としても、私以外の人間にはただの指輪ということか」
「そうです。で、これを応用して、伯父上の五十代のときの肖像画を使えば、外見だけ若返ることが可能となるはずです。実際に肉体が若返るわけではありませんが、これで我慢してもらいましょう」
フェルナンドも、若返りの薬よりは外見だけそう見えるように変化させる指輪の方がいいと思う。自分が若返ったからわかるが、若返りの薬は危険だ。生活に支障が出るし、薬の存在を世間に知られたら大騒ぎになるだろう。
公爵領でフェルナンドが若返ったことを知る人間にも、一部の使用人を除いて、若返りの薬のことは伏せてある。エラルドがおかしな魔術実験をした結果、魔術が暴発してフェルナンドが若返った、と誤魔化しておいたのだ。エラルドが魔術実験をするのはいつものことなので、苦しい言い訳だったのに意外と信じてくれた。
「薬よりは安全そうだな。そういうことなら実験に協力してやろう」
フェルナンドは指輪を受け取り、左手の中指に嵌めた。
「どうだ?」
鏡がないので自分ではわからないため、エラルドに確認してみる。
エラルドが満面の笑みで頷いた。
「成功です! さすが僕! 天才だ!」
「自画自賛はやめなさい。でもこれで社交は何とかなるな。……ふむ」
フェルナンドは指輪を見つめてちょっと考えた。むくむくと悪戯心が沸き起こって来る。
「エラルド、これは私専用なのだから私がもらってもいいのだろう?」
「もちろんです」
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