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春爛漫。
そんな言葉がよく似合う、春の盛りのよく晴れた朝。
ステファーニ公爵領の領都にある教会には、領内の大勢の貴族が集まっていた。
今日は、ステファーニ公爵夫妻の結婚式なのだ。
華やかに飾り付けられた教会の外にも、領民たちが大勢駆けつけている。
「ばぁばー、おめでとうございます」
「おめでとうございまちゅ」
花嫁の控室に、可愛らしく着飾ったルクレツィオとカーラが、頬を上気させて挨拶に来た。
小さな花束をそれぞれ抱えて、「はい!」と差し出してくれる姿にきゅんとなる。
「ありがとう、ルッツィ、カーラ!」
二人まとめて抱きしめると、幼い二人はきゃっきゃと楽しそうに声を上げた。
「今日はよろしくね、二人とも」
「「うん!」」
ルクレツィオとカーラは、本日ベールボーイとベールガールを務めてくれるのだ。
「お義母様、そろそろですよ」
「あら、もうそんな時間なんですね」
孫二人とおしゃべりしていたら、アリーチャが時計を確認して教えてくれる。
二人の手を引いて歩き出すと、クロエとマーラがドレスの裾とベールを持って後ろをついて歩く。ドレスのトレーンもベールも長いので、歩きにくいためだ。
教会の入り口に立つと、クロエとマーラがドレスの裾が綺麗に見えるように整えてくれた。ベールの裾は、ルクレツィオとカーラがそれぞれ小さな手できゅっと握る。
「ではお義母様、わたくしは会場に入りますね。ルクレツィオとカーラをよろしくお願いします」
アリーチャが息子と娘の頭を順番に撫でて、教会の中に消えた。
しばらくすると、教会の中からパイプオルガンの音色が響き、両開きの扉が開かれる。
イアナは緊張している孫二人を振り返った。
「さあ、ルッツィ、カーラ、行くわよ。ばぁばがついているから、安心してちょうだい」
「「うんっ」」
二人が強張った顔で頷く。大勢の人に見守られての大役だ。しかも二人はまだ幼い。クロエとマーラがそれぞれ側について歩いてくれるとはいえ不安は大きいはずだ。
幼い子供たちの歩幅に合わせて、イアナがゆっくりと歩き出す。
最前列の席で、アリーチャとエラルドがハラハラしながら子供たちを見守っているのが見えた。
祭壇前に立つフェルナンドも、固唾を飲んでイアナと孫二人を見守っている。結婚式に臨む新郎の顔じゃないなと、イアナは笑いそうになった。
たっぷり時間をかけて祭壇前に到着すると、ルクレツィオとカーラが両親に連れられて席に向かう。
それを見届けた後で、イアナはフェルナンドに向き合った。
「途中で転ばないか冷や冷やしたよ」
「あとで二人をたくさん褒めてあげてくださいませ」
結婚式というよりは、孫のはじめての発表会を見に来た祖父母の感覚で笑いあっていると、こほんと司祭が小さく咳ばらいをする。
「これより、ステファーニ公爵夫妻の結婚式を執り行わせていただきます」
司祭の言葉を聞きながら、イアナはフェルナンドを見上げる。
大勢の人が集まるため、今日のフェルナンドは指輪をはめて、若返る前の姿に戻っている。
結婚式のそれこそ前日まで、フェルナンドが指輪をはめるか否かで悩んでいたことを思い出して、イアナはちょっと笑いそうになってしまった。
相変わらず、フェルナンドは自分の年老いた姿に嫉妬するのだ。
(どんな外見だって、わたしは旦那様が大好きなのにね)
誓いのキスをと司祭に促されて、フェルナンドがイアナのベールを持ち上げた。
指輪をはめた姿でイアナにキスをしないと以前言っていたが、今日この場で誓いのキスをしないわけにはいかないだろう。
期待と、それからちょっぴりの悪戯心を胸にフェルナンドを見上げると、彼が微苦笑を浮かべて囁いた。
「今日は特別」
「ふふっ」
そっと唇が重なり合う。
次にこの姿でキスをしてくれるのは、四十年後かしらねと、イアナは笑った。
そんな言葉がよく似合う、春の盛りのよく晴れた朝。
ステファーニ公爵領の領都にある教会には、領内の大勢の貴族が集まっていた。
今日は、ステファーニ公爵夫妻の結婚式なのだ。
華やかに飾り付けられた教会の外にも、領民たちが大勢駆けつけている。
「ばぁばー、おめでとうございます」
「おめでとうございまちゅ」
花嫁の控室に、可愛らしく着飾ったルクレツィオとカーラが、頬を上気させて挨拶に来た。
小さな花束をそれぞれ抱えて、「はい!」と差し出してくれる姿にきゅんとなる。
「ありがとう、ルッツィ、カーラ!」
二人まとめて抱きしめると、幼い二人はきゃっきゃと楽しそうに声を上げた。
「今日はよろしくね、二人とも」
「「うん!」」
ルクレツィオとカーラは、本日ベールボーイとベールガールを務めてくれるのだ。
「お義母様、そろそろですよ」
「あら、もうそんな時間なんですね」
孫二人とおしゃべりしていたら、アリーチャが時計を確認して教えてくれる。
二人の手を引いて歩き出すと、クロエとマーラがドレスの裾とベールを持って後ろをついて歩く。ドレスのトレーンもベールも長いので、歩きにくいためだ。
教会の入り口に立つと、クロエとマーラがドレスの裾が綺麗に見えるように整えてくれた。ベールの裾は、ルクレツィオとカーラがそれぞれ小さな手できゅっと握る。
「ではお義母様、わたくしは会場に入りますね。ルクレツィオとカーラをよろしくお願いします」
アリーチャが息子と娘の頭を順番に撫でて、教会の中に消えた。
しばらくすると、教会の中からパイプオルガンの音色が響き、両開きの扉が開かれる。
イアナは緊張している孫二人を振り返った。
「さあ、ルッツィ、カーラ、行くわよ。ばぁばがついているから、安心してちょうだい」
「「うんっ」」
二人が強張った顔で頷く。大勢の人に見守られての大役だ。しかも二人はまだ幼い。クロエとマーラがそれぞれ側について歩いてくれるとはいえ不安は大きいはずだ。
幼い子供たちの歩幅に合わせて、イアナがゆっくりと歩き出す。
最前列の席で、アリーチャとエラルドがハラハラしながら子供たちを見守っているのが見えた。
祭壇前に立つフェルナンドも、固唾を飲んでイアナと孫二人を見守っている。結婚式に臨む新郎の顔じゃないなと、イアナは笑いそうになった。
たっぷり時間をかけて祭壇前に到着すると、ルクレツィオとカーラが両親に連れられて席に向かう。
それを見届けた後で、イアナはフェルナンドに向き合った。
「途中で転ばないか冷や冷やしたよ」
「あとで二人をたくさん褒めてあげてくださいませ」
結婚式というよりは、孫のはじめての発表会を見に来た祖父母の感覚で笑いあっていると、こほんと司祭が小さく咳ばらいをする。
「これより、ステファーニ公爵夫妻の結婚式を執り行わせていただきます」
司祭の言葉を聞きながら、イアナはフェルナンドを見上げる。
大勢の人が集まるため、今日のフェルナンドは指輪をはめて、若返る前の姿に戻っている。
結婚式のそれこそ前日まで、フェルナンドが指輪をはめるか否かで悩んでいたことを思い出して、イアナはちょっと笑いそうになってしまった。
相変わらず、フェルナンドは自分の年老いた姿に嫉妬するのだ。
(どんな外見だって、わたしは旦那様が大好きなのにね)
誓いのキスをと司祭に促されて、フェルナンドがイアナのベールを持ち上げた。
指輪をはめた姿でイアナにキスをしないと以前言っていたが、今日この場で誓いのキスをしないわけにはいかないだろう。
期待と、それからちょっぴりの悪戯心を胸にフェルナンドを見上げると、彼が微苦笑を浮かべて囁いた。
「今日は特別」
「ふふっ」
そっと唇が重なり合う。
次にこの姿でキスをしてくれるのは、四十年後かしらねと、イアナは笑った。
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毎日楽しみに拝読させていただいてました(^^)
ハッピーエンドでよかったですが、終わっちゃったのがちょっと寂しいです。
まだエピソードあるかな…o(^_^)oと期待していたので。
次回も期待しています。
執筆お疲れ様でした*\(^o^)/*
ありがとうございます!
少し間が空くかもしれませんが、仕事の方が落ち着きましたら新作を書こうと思っておりますのでまたよろしくお願いいたします(*^^*)
完結ですね!
とっても面白かったです。
すごくどのキャラも好きなので、後日談なんかも読みたい気持ちも‥
ほのぼのとした雰囲気のとても素敵な作品でした。
次作も楽しみにしてます!
ありがとうございます!楽しんでいただけて幸いです(#^^#)
次回作はもしかしたら少しお時間をいただくかもしれませんが(書籍等の作業でばたついておりまして)
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