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拾ったわんこ(狼)が可愛すぎてモフりまくってたら襲われた(R18)
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嫁き遅れるなんて、失礼しちゃうわ!
わたしはまだ十七歳なのに。まあ、十七歳から二十歳までが結婚適齢期とか言われているから、まだ婚約者が決まっていないわたしに、お父様が焦る気持ちもわかるけれど。
「結婚かぁー」
わたしは私室の部屋の絨毯の上にべたっと座って、寝そべったアレクサンダーを背もたれにしてゴロゴロしていた。
こんな様子を家庭教師のローザ夫人に見られたら一時間くらいお説教を食らいそうだけど、今日はお勉強がお休みだから見られる心配はない。
「アレクサンダー、一緒に行けるお家があるといいわね」
もふもふと彼の背中を撫でると、べろんと顔が舐められる。わたしは笑って身をよじると、アレクサンダーにぎゅっと抱きついた。
本当はわかっているの。
いつまでもこの条件を突き付けて縁談がまとまらなかったらお家が困るってことも。
だから、いつかは妥協しなくてはいけない。そうなったらアレクサンダーとはお別れだ。頻繁に実家に帰るわけにもいかないから、滅多に会うことができなくなる。
「ずっと一緒にいられればいいのに……」
ぽつんとつぶやいたわたしを、アレクサンダーの真っ赤な瞳がじっと見つめていた。
願いはかなうものだ。
「本当ですかお父様!」
先日お父様が持って来た縁談。その方がなんと、アレクサンダーと一緒でもいいとおっしゃっているらしい。
わたしはぱあっと顔を輝かせると、思わずお父様に抱きついた。
「なんて素敵な方! そのお話、お受けいたしますわ!」
どこの誰かもまったく聞いていない相手だが、こんな好条件は二度とないかもしれない。二つ返事で了承したわたしにお父様は少し複雑そうだが、お父様もこれを逃すと娘の嫁き遅れ確率がぐーんと上がることを充分わかっていて、先方にはお話を進めていただけるようにご連絡してくださるそうだ。
「それで、その方はどんな方ですの?」
縁談を決めてから相手のことを聞くのはいささか順番が逆な気がするが、例え相手がおじいちゃんであってもわたしは断る気はないのだから、べつにいい。
「ブラッドリー伯爵だよ」
「ブラッドリー伯爵?」
その名前はわたしも知っていた。
人嫌いで有名で、王都へは滅多にやってこない。いつも遠く離れた辺境の領地でおすごしとか。そのせいで、そのお姿を見た人はほとんどいない。謎に包まれたお方だった。
そんな方がどうしてわたしに縁談? と思わなくもなかったが、ブラッドリー伯爵とともに領地で暮らすことになるのであれば、王都よりも自由に走り回れてアレクサンダーも嬉しいはずだ。うん、お受けしてよかった。
お父様のお話だと、ブラッドリー伯爵の人嫌いは本当らしく、結婚式も上げたくないと言われているらしい。でも、大丈夫! ウエディングドレスにそれほど憧れはないし、政略結婚での結婚式の誓いなんて、心のこもっていない儀礼的なもの。むしろ面倒ごとがなくてラッキーだわ。
お父様はわたしのウエディングドレス姿がみたかったとかなんとかブツブツ言っているけれども、わたしはきれいさっぱり聞かなかったことにする。これからもアレクサンダーと一緒にいられることに大満足だった。
わたしはまだ十七歳なのに。まあ、十七歳から二十歳までが結婚適齢期とか言われているから、まだ婚約者が決まっていないわたしに、お父様が焦る気持ちもわかるけれど。
「結婚かぁー」
わたしは私室の部屋の絨毯の上にべたっと座って、寝そべったアレクサンダーを背もたれにしてゴロゴロしていた。
こんな様子を家庭教師のローザ夫人に見られたら一時間くらいお説教を食らいそうだけど、今日はお勉強がお休みだから見られる心配はない。
「アレクサンダー、一緒に行けるお家があるといいわね」
もふもふと彼の背中を撫でると、べろんと顔が舐められる。わたしは笑って身をよじると、アレクサンダーにぎゅっと抱きついた。
本当はわかっているの。
いつまでもこの条件を突き付けて縁談がまとまらなかったらお家が困るってことも。
だから、いつかは妥協しなくてはいけない。そうなったらアレクサンダーとはお別れだ。頻繁に実家に帰るわけにもいかないから、滅多に会うことができなくなる。
「ずっと一緒にいられればいいのに……」
ぽつんとつぶやいたわたしを、アレクサンダーの真っ赤な瞳がじっと見つめていた。
願いはかなうものだ。
「本当ですかお父様!」
先日お父様が持って来た縁談。その方がなんと、アレクサンダーと一緒でもいいとおっしゃっているらしい。
わたしはぱあっと顔を輝かせると、思わずお父様に抱きついた。
「なんて素敵な方! そのお話、お受けいたしますわ!」
どこの誰かもまったく聞いていない相手だが、こんな好条件は二度とないかもしれない。二つ返事で了承したわたしにお父様は少し複雑そうだが、お父様もこれを逃すと娘の嫁き遅れ確率がぐーんと上がることを充分わかっていて、先方にはお話を進めていただけるようにご連絡してくださるそうだ。
「それで、その方はどんな方ですの?」
縁談を決めてから相手のことを聞くのはいささか順番が逆な気がするが、例え相手がおじいちゃんであってもわたしは断る気はないのだから、べつにいい。
「ブラッドリー伯爵だよ」
「ブラッドリー伯爵?」
その名前はわたしも知っていた。
人嫌いで有名で、王都へは滅多にやってこない。いつも遠く離れた辺境の領地でおすごしとか。そのせいで、そのお姿を見た人はほとんどいない。謎に包まれたお方だった。
そんな方がどうしてわたしに縁談? と思わなくもなかったが、ブラッドリー伯爵とともに領地で暮らすことになるのであれば、王都よりも自由に走り回れてアレクサンダーも嬉しいはずだ。うん、お受けしてよかった。
お父様のお話だと、ブラッドリー伯爵の人嫌いは本当らしく、結婚式も上げたくないと言われているらしい。でも、大丈夫! ウエディングドレスにそれほど憧れはないし、政略結婚での結婚式の誓いなんて、心のこもっていない儀礼的なもの。むしろ面倒ごとがなくてラッキーだわ。
お父様はわたしのウエディングドレス姿がみたかったとかなんとかブツブツ言っているけれども、わたしはきれいさっぱり聞かなかったことにする。これからもアレクサンダーと一緒にいられることに大満足だった。
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