【第一部完結】やり直し魔女は、三度目の人生を大嫌いだった男と生きる

狭山ひびき

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第一部 三回目の人生

アサレア、人生観を語る 2

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 サモラ王国で嫌われているわたしだけど、魔女の血なんて、最初はそれほど特別に思っていなかった。

 五歳の時にふらりと目の前に現れたラロが、魔女の力を使った薬の作り方を教えてくれて、自分ちょっとすごいんじゃない? って思ったこともあったけれど、なんてことはない、それ以外においてほどんと魔女の力は役に立たなかった。

 ただ、使用人が逃げてから食べるものもなくてほとほと困っていたので、魔女の力を使って薬が作れた時は泣くほど嬉しかったけど。いや、実際泣いた。

 空飛ぶ不思議犬ラロは、わたし以外の人間に姿が見えないとか言うくせに、どういうわけかわたしが作った薬をどこかに売りに行くことができたのだ。
 どんな手品だと思ったけれど、「聖獣様に不可能はない」とかドヤ顔で言われたので訊くのをやめた。面倒くさい臭いがプンプンしたからである。

 ともかく、わたしが作った薬を換金し、それで食糧や衣服を調達してくれるラロには、まあ感謝はしている。ときどきウザいけれど、彼がいたから生きてこられたのは事実だ。
 ただ、わたしにできることはその程度。
 だからまさか、死んだ後に過去に戻ってくることができるとは、思いもしなかったわけよ。


 サモラ王国において忌むべき存在であるわたしだけど、そんなわたしを気にかけてくれる変わり者が二人ほどいる。

 一人はクリストバル・オルティス。
 オルティス公爵家の長男でわたしのハトコに当たる。

 わたしより三歳年上のこの男は、まあ、外見はかなりのものだ。
 銀色の髪に、王家の血を引いたものに多いミント色の瞳をしている。
 すらりと背が高く、少し冷たい印象を与える切れ長の目をしているけれど、神が作ったのかと言うほどに非の打ちどころのない顔立ちをしていた。

 が、口が悪い。
 どうしてこの男がわたしの元にちょこちょこやって来るのかは謎だけど、はっきり言おう、わたしはこの男が大嫌いだ!


 そしてもう一人はエミディオ・クベード。
 クベード侯爵家の長男で、わたしの従兄にあたる人物だ。

 彼はわたしの父(顔も覚えてないけど)の妹の息子で、わたしよりも四歳年上だ。
 今わたしは十六歳の時に戻って来たので、現在二十歳である。
 金色の髪に琥珀色の瞳の甘い顔立ちの彼を、わたしは――そう、わたしは、すっごくすっごく大好きで、幼いころからものすっごく懐いていた。
 幼いころから「エミディオ兄様と結婚するの~」と言い、彼にべったべたに甘えていたわたし。

 ……穴があったら入りたい。

 この、わたしが大好きで大好きでどうしようもなかったエミディオ・クベードが、わたしが自分の人生をクソだと表現する元凶となった男である。


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