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レオナードの友人
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祭りは明日からだというので、晩餐までのひと時は庭を見てすごした。
夜になると執事のデビットが呼びに来て、エリザベスは一階の居間に案内された。
居間の雰囲気は、今から百年ほどは前の装いではないかと思うほど骨董的だった。
天井から吊り下げられたシャンデリアからは無数の蝋燭の炎が揺れている。石壁には等間隔に埋め込まれたランプが並び、縦に長いテーブルの上座にはすでにオリバーが腰を下ろしていた。
オリバーの斜め前に座っている女性が、彼の婚約者のドーリー伯爵令嬢だろうか。オリバーより二つ年下だそうだが、化粧が濃く、もっと年上のように見える。くるくると巻かれた濃いブラウンの髪が印象的だった。彼女は襟ぐりの大きく開いたクリームイエローのドレスを着ていた。
エリザベスがレオナードにエスコートされて席に着くと、彼女は興味深そうにエリザベスを見やった。
「あなたが噂のエリザベス?」
噂が何なのかわからないが、エリザベスは頷いた。
「エリザベス・ファージです」
すると彼女は、ふふんと意地悪な笑みを浮かべた。
「そう。田舎育ちの庶民が招かれるなんて、おじい様には感謝しないとね」
「キャリー」
オリバーが咎めるような口調でドーリー子爵令嬢の名を呼んだが、彼女はつんとして答えた。
「あら、事実ではありませんの。社交界はこの話題で持ちきりですわ。誰が田舎のじゃじゃ馬娘を射止めるか。……レオナード様が名乗りをあげられたのは、意外でしたけど」
キャリーは一転して優雅な笑みを浮かべると、レオナードに視線を向けた。
「みんな噂していますのよ。レオナード様のようにおもてになられる方が、どうしてこんな娘と婚約なんて……。まあ、エーデルワイド伯爵家の名前は、魅力的かもしれませんが」
レオナードはキャリーに微笑み返した。
「キャリー嬢、どうかその辺で」
キャリーはもう一度エリザベスに視線を戻すと、まあいいわとつまらなそうに言って口を閉ざした。
(……なによ)
エリザベスはテーブルの下で拳を握りしめた。
いくらエリザベスでも、ここで言い返したらいけないのはわかっている。だから我慢して黙っていた。でも――
(少しはかばってくれたっていいじゃないの)
ここで言い返せるのは、おそらくレオナードただ一人だ。キャリーを言い負かせとは言わないが、仮にも「婚約者」だの「結婚」だの言うくらいなのだから、多少なりともかばうような発言をしてもいいではないか。
レオナードがほしいのはエリザベスの持つ「エーデルワイド伯爵家」の権利なのだから、エリザベスがいくら貶められても関係ないと言うことなのだろうか。
エリザベスがもやもやしながら口を引き結んでいた時、慌ただしく居間の入口から誰かが入ってきた。
「いや、お待たせしてしまいましたかな?」
そうして駆け込んできた二人組の男は、到底貴族には見えなかった。
夜になると執事のデビットが呼びに来て、エリザベスは一階の居間に案内された。
居間の雰囲気は、今から百年ほどは前の装いではないかと思うほど骨董的だった。
天井から吊り下げられたシャンデリアからは無数の蝋燭の炎が揺れている。石壁には等間隔に埋め込まれたランプが並び、縦に長いテーブルの上座にはすでにオリバーが腰を下ろしていた。
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「あなたが噂のエリザベス?」
噂が何なのかわからないが、エリザベスは頷いた。
「エリザベス・ファージです」
すると彼女は、ふふんと意地悪な笑みを浮かべた。
「そう。田舎育ちの庶民が招かれるなんて、おじい様には感謝しないとね」
「キャリー」
オリバーが咎めるような口調でドーリー子爵令嬢の名を呼んだが、彼女はつんとして答えた。
「あら、事実ではありませんの。社交界はこの話題で持ちきりですわ。誰が田舎のじゃじゃ馬娘を射止めるか。……レオナード様が名乗りをあげられたのは、意外でしたけど」
キャリーは一転して優雅な笑みを浮かべると、レオナードに視線を向けた。
「みんな噂していますのよ。レオナード様のようにおもてになられる方が、どうしてこんな娘と婚約なんて……。まあ、エーデルワイド伯爵家の名前は、魅力的かもしれませんが」
レオナードはキャリーに微笑み返した。
「キャリー嬢、どうかその辺で」
キャリーはもう一度エリザベスに視線を戻すと、まあいいわとつまらなそうに言って口を閉ざした。
(……なによ)
エリザベスはテーブルの下で拳を握りしめた。
いくらエリザベスでも、ここで言い返したらいけないのはわかっている。だから我慢して黙っていた。でも――
(少しはかばってくれたっていいじゃないの)
ここで言い返せるのは、おそらくレオナードただ一人だ。キャリーを言い負かせとは言わないが、仮にも「婚約者」だの「結婚」だの言うくらいなのだから、多少なりともかばうような発言をしてもいいではないか。
レオナードがほしいのはエリザベスの持つ「エーデルワイド伯爵家」の権利なのだから、エリザベスがいくら貶められても関係ないと言うことなのだろうか。
エリザベスがもやもやしながら口を引き結んでいた時、慌ただしく居間の入口から誰かが入ってきた。
「いや、お待たせしてしまいましたかな?」
そうして駆け込んできた二人組の男は、到底貴族には見えなかった。
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