Vengeance Crown ―復讐の王冠

SNOW❄️

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第4章:帝国決戦

Episode15:王の選択――灰の王冠

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夜明けは、
救いをもたらさなかった。 

北部領の空は、鉛色に沈み、
煙の匂いだけが残っていた。

帝国軍は、制圧を完了した。

「反帝国勢力、殲滅」

淡々とした報告。  

そこに、
“人”の数は含まれていない。



リネルは、
一人、村に戻っていた。

救ったはずの場所。 

守ったはずの命。

だが――焼け落ちた家屋。

地に伏した人影。 

踏み荒らされた畑。 

遅かった。 

ほんの半日。

それだけで、
すべては終わっていた。

「……俺が、選んだ結果か」

膝が、崩れ落ちる。

(帝国に従えば、守れると思った)

(力を借りれば、血は流れないと――)

流石に甘かった。

あまりにも。



背後で、足音が止まる。

「見るに耐えんな」 

ダリウス・グランディア。

「だが、これが戦争だ」 

リネルは、立ち上がらなかった。

「……あんたは、
最初から分かってたな」

「当然だ」
即答。

「反乱の芽は、
早く潰すほどいい」

「村人ごと、ですか」 

「区別する意味があるか?」

ダリウスは、
本気で理解していない。

その事実が、リネルの中で
最後の何かを壊した。



「……俺は」
声が、震える。

「俺は、王族だ」

初めて、はっきりと口にした。

ダリウスの目が、細くなる。

「ほう」

「民を踏みにじる王なら、
最初から必要ない」

リネルは、立ち上がり、
剣を握った。 

「俺は、帝国の剣にはならない」 
空気が、凍りつく。

周囲の兵が、
一斉に身構えた。

「――反逆だな」 
ダリウスが、静かに言う。 

「構いません」

リネルは、一歩、前に出た。

「俺は、
民を見捨てるくらいなら、
王などでなくていい」

「……いや」

ダリウスは、
わずかに笑った。

「その覚悟こそ、王だ」
次の瞬間。 



衝撃。
地が、砕ける。

ダリウスの剣が、
リネルを吹き飛ばした。 

「ぐっ……!」
圧倒的な差。

力も、技も、経験も。
違いすぎる。

「覚えておけ」

ダリウスは、
剣を振り下ろさない。

「今のお前では、何も守れん」

「生き延びろ」  

「力を得ろ」

「そして――」

冷たい瞳。 

「王として、俺を殺しに来い」

⸻ 

リネルは、
血を吐きながら、地を這った。

セリスとイリスが、駆け寄る。

「撤退だ!」

「今は、生きろ!」

煙の中、
三人の姿が消える。

ダリウスは、追わなかった。 

「……いい」 

「育ててやろう」

灰色の空の下。

帝国最強の将軍は、
確信していた。

――この男は、必ず戻ってくる。


遠く。山の稜線。 

リネルは、振り返らなかった。

もう、故郷はない。

だが――

「……奪われたなら」

彼は、剣を握り直す。 

「取り戻すだけだ」 

灰王の血は、静かに、
だが確かに燃えていた。

王として。

復讐者として。

そして――
民に選ばれる存在として。
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