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カフェ編
第6話 『元気の理由、静かな本音。』
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カフェの中は、
思ったよりも落ち着いていた。
流れている音楽も控えめで、
カップの置かれる音がやけに
大きく聞こえる。
ユキはホットココアを一口飲んで、
ふうっと息を吐いた。
「……落ち着くなぁ」
「さっきまで、
あんなに元気やったのに」
「ギャップってやつ?」
「自分で言う?」
「言う言う」
そう笑いながらも、
ユキの声は穏やかだった。
テンションが下がったというより、
素に戻った感じ。
ユウはカフェラテを一口飲んでから、
少し迷って口を開く。
「……今日、なんであんな元気やったん」
「え?」
「駅でも、イルミネーションでも」
「うるさかった?」
「いや、そうじゃなくて……珍しいなって」
ユキは少し考えるように視線を落とす。
カップの縁を指でなぞってから、
ぽつりと言った。
「……緊張してたんよ」
「え」
「意外?」
「うん。全然見えんかった」
「見せてないもん」
ユキは小さく笑う。
「四月のときもさ、
私、めっちゃ平気な顔してたやろ?」
「……してた」
「内心、心臓やばかったで」
「そうなん……」
「だから今日も同じ。
楽しみすぎると、
逆に落ち着かんくなる」
ユウは少しだけ納得した。
「……元気なのは、理由あったんやな」
「うん。ユウと過ごすクリスマス、
初めてやし」
その言葉で、胸の奥がじんとする。
「……俺も、緊張してる」
「ほんま?」
「うん。ずっと」
「顔に出てないのすごいな」
「出し方わからんだけ」
ユキがくすっと笑った。
「そういうとこ、安心する」
「……なんで」
「騒がなくても、ちゃんと一緒に
おってくれる感じするから」
ユウは言葉に詰まって、
視線をラテに落とす。
「……それは」
「大橋ユウの長所やと思う」
名字付きで言われて、
少しだけ昔を思い出す。
「……今さら名字呼び?」
「たまには。初心忘れず、みたいな」
「やめて……」
「照れてる?」
「……否定はせん」
ユキは満足そうに頷いた。
窓の外では、イルミネーションが
静かに瞬いている。
さっきほど派手じゃない。
でも、今の二人にはちょうどいい。
「なぁ、ユウ」
「なに」
「今日さ、
もうちょい一緒におらん?」
「……帰る気やったん?」
「違う。このあとも、って意味」
ユウは少しだけ考えてから、頷いた。
「……うん」
「即答やん」
「……たまには」
ユキは嬉しそうに笑った。
元気な時間も、静かな時間も。
どっちも、ちゃんと一緒にある。
——それが、今の二人だった。
思ったよりも落ち着いていた。
流れている音楽も控えめで、
カップの置かれる音がやけに
大きく聞こえる。
ユキはホットココアを一口飲んで、
ふうっと息を吐いた。
「……落ち着くなぁ」
「さっきまで、
あんなに元気やったのに」
「ギャップってやつ?」
「自分で言う?」
「言う言う」
そう笑いながらも、
ユキの声は穏やかだった。
テンションが下がったというより、
素に戻った感じ。
ユウはカフェラテを一口飲んでから、
少し迷って口を開く。
「……今日、なんであんな元気やったん」
「え?」
「駅でも、イルミネーションでも」
「うるさかった?」
「いや、そうじゃなくて……珍しいなって」
ユキは少し考えるように視線を落とす。
カップの縁を指でなぞってから、
ぽつりと言った。
「……緊張してたんよ」
「え」
「意外?」
「うん。全然見えんかった」
「見せてないもん」
ユキは小さく笑う。
「四月のときもさ、
私、めっちゃ平気な顔してたやろ?」
「……してた」
「内心、心臓やばかったで」
「そうなん……」
「だから今日も同じ。
楽しみすぎると、
逆に落ち着かんくなる」
ユウは少しだけ納得した。
「……元気なのは、理由あったんやな」
「うん。ユウと過ごすクリスマス、
初めてやし」
その言葉で、胸の奥がじんとする。
「……俺も、緊張してる」
「ほんま?」
「うん。ずっと」
「顔に出てないのすごいな」
「出し方わからんだけ」
ユキがくすっと笑った。
「そういうとこ、安心する」
「……なんで」
「騒がなくても、ちゃんと一緒に
おってくれる感じするから」
ユウは言葉に詰まって、
視線をラテに落とす。
「……それは」
「大橋ユウの長所やと思う」
名字付きで言われて、
少しだけ昔を思い出す。
「……今さら名字呼び?」
「たまには。初心忘れず、みたいな」
「やめて……」
「照れてる?」
「……否定はせん」
ユキは満足そうに頷いた。
窓の外では、イルミネーションが
静かに瞬いている。
さっきほど派手じゃない。
でも、今の二人にはちょうどいい。
「なぁ、ユウ」
「なに」
「今日さ、
もうちょい一緒におらん?」
「……帰る気やったん?」
「違う。このあとも、って意味」
ユウは少しだけ考えてから、頷いた。
「……うん」
「即答やん」
「……たまには」
ユキは嬉しそうに笑った。
元気な時間も、静かな時間も。
どっちも、ちゃんと一緒にある。
——それが、今の二人だった。
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