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帰り道編
最終話 『名前を呼ぶ、それだけで。』
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改札の前は、思ったよりも明るかった。
人は少なくて、
アナウンスの声だけが響いている。
「……じゃあ」
ユキが先に言った。
「……うん」
終わりの言葉は、いつも短い。
でも、今日はそれが少し惜しい。
二人は向かい合う。
さっきまで繋いでいた手は、
自然に離れていた。
「今日さ」
ユキが、少しだけ間を空けて言う。
「私、ずっと楽しかった」
「……俺も」
「イルミネーションも、
カフェも、帰り道も」
「……うん」
「でも一番よかったんは」
ユキは一瞬、
視線を逸らしてから、またユウを見る。
「ユウが、ちゃんと隣におったこと」
胸の奥が、じわっと熱くなる。
「……それだけ?」
「それだけがいいんやん」
そう言って、ユキは笑った。
派手じゃない、いつもの笑顔。
ユウは少し迷ってから、口を開く。
「……四月のとき」
「うん?」
「森山って呼ぶだけで、
精一杯やった」
「知ってる」
「今は……」
言葉が止まる。
「……ユキって、
呼ぶのも普通になった」
一瞬、ユキの目が丸くなる。
「……今、ずるい」
「なにが」
「不意打ち」
「……狙ってない」
「でも、キュンときた」
ユキはそう言って、
小さく息を吐いた。
「じゃあ私も」
「……なに」
「ユウ」
名前を呼ばれる。
それだけで、心臓が跳ねる。
「また、会おうな」
「……うん」
「次は、もっと
寒くない日でもいいし」
「……それでも、冬がいい」
「なんで?」
「今日が、よかったから」
ユキは一瞬黙って、
それから柔らかく笑った。
「じゃあ、また冬も来よ」
「……約束な」
「約束」
電車の音が近づく。
「じゃあね」
「……気をつけて」
ユキは一歩下がって、手を振った。
「ユウ」
「ん」
「今日のタイトルさ」
「……なに」
「『君とイルミネーションで。』
めっちゃ合ってたと思う」
そう言って、
改札の向こうに消えていく。
ユウはその背中を見送りながら、
マフラーに顔を少し埋めた。
——光はもう見えない。
でも、名前を呼ぶだけで、
思い出せる夜がある。
ユウは最後に言った。
「君とイルミネーションで。…かぁ。
来年もまた…。」
完。
人は少なくて、
アナウンスの声だけが響いている。
「……じゃあ」
ユキが先に言った。
「……うん」
終わりの言葉は、いつも短い。
でも、今日はそれが少し惜しい。
二人は向かい合う。
さっきまで繋いでいた手は、
自然に離れていた。
「今日さ」
ユキが、少しだけ間を空けて言う。
「私、ずっと楽しかった」
「……俺も」
「イルミネーションも、
カフェも、帰り道も」
「……うん」
「でも一番よかったんは」
ユキは一瞬、
視線を逸らしてから、またユウを見る。
「ユウが、ちゃんと隣におったこと」
胸の奥が、じわっと熱くなる。
「……それだけ?」
「それだけがいいんやん」
そう言って、ユキは笑った。
派手じゃない、いつもの笑顔。
ユウは少し迷ってから、口を開く。
「……四月のとき」
「うん?」
「森山って呼ぶだけで、
精一杯やった」
「知ってる」
「今は……」
言葉が止まる。
「……ユキって、
呼ぶのも普通になった」
一瞬、ユキの目が丸くなる。
「……今、ずるい」
「なにが」
「不意打ち」
「……狙ってない」
「でも、キュンときた」
ユキはそう言って、
小さく息を吐いた。
「じゃあ私も」
「……なに」
「ユウ」
名前を呼ばれる。
それだけで、心臓が跳ねる。
「また、会おうな」
「……うん」
「次は、もっと
寒くない日でもいいし」
「……それでも、冬がいい」
「なんで?」
「今日が、よかったから」
ユキは一瞬黙って、
それから柔らかく笑った。
「じゃあ、また冬も来よ」
「……約束な」
「約束」
電車の音が近づく。
「じゃあね」
「……気をつけて」
ユキは一歩下がって、手を振った。
「ユウ」
「ん」
「今日のタイトルさ」
「……なに」
「『君とイルミネーションで。』
めっちゃ合ってたと思う」
そう言って、
改札の向こうに消えていく。
ユウはその背中を見送りながら、
マフラーに顔を少し埋めた。
——光はもう見えない。
でも、名前を呼ぶだけで、
思い出せる夜がある。
ユウは最後に言った。
「君とイルミネーションで。…かぁ。
来年もまた…。」
完。
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