白狼 白起伝

松井暁彦

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合従軍戦

 三

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 議堂の扉の前で、白起は待っていた。

「戦か?」
 心なしか、白起の声はいつもより上気しているように聞こえる。彼を一瞥することもなく、宮門へと憤然ふんぜんとした足取りで進む。

「五百だ」

「は?」

「五百の兵馬の選別をしろ」

「俺が指揮していいのか?」
 白起がせいぜい指揮を執ったことはあるのは十人隊。だが、彼には生来からの感覚がある。不思議と指揮能力において、不安に思う心はない。

「年齢は問わん。餓鬼でもいい。お前がこれはと思う男を集めろ」

「いいんだな。好きにやっても」

「くどい。その代わり、趙の騎馬隊に匹敵するほどの小隊を作り上げろ」

「了解」
 白起は白い髪を靡かせて、宮門へと続く階段を先に駆け下りた。

「おい!」
 呼び止め、振り向いた白起の顔は、相変わらず無感動であったが、双眸の奥に迸る闘志が走っていた。

「初陣は大戦になる。覚悟しておけ」
 ただじっと此方を見つめ、白起は小さく肯首した。
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