バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

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魔剣争奪戦編

第38話 戦闘は突然に……

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 Sランク冒険者がギルドに召集された日から四日後、タロー、タマコ、そして先日クマの姿になれるようになった怠惰の魔剣ベルフェゴールことプーの3人は、タイタンから離れた森に来ていた。

「お、あったあった」

 タローは木の下に生えていたキノコを手に取ると、タマコに確認をしてもらう。

「うむ。確かにこれは"アナタヲナオシタイダケ"じゃな」

 目的の物だと判明すると、タマコは紙のリストに書いてある項目に丸を付けた。
 なぜこんなことをしているかというと、現在タローたちはとある依頼を受けているからだ。

【難度C 中回復薬の材料採取】

 難度Cと言えど回復薬は冒険者にとって必須のアイテムだ。
 材料採取は採取クエストの中ではかなり人気のある依頼であったが、たまたま残っていたのでタローたちが受注することにしたのだ。
 最近はなぜかモンスターの討伐クエストも少なくなってきていたので、タローたちが戦闘する機会も減っているのが現状だった。

「しっかし採取ってメンドーだな……俺そこらへんで寝てちゃダメ?」

「駄目じゃ」

「(`・ω・′)」
(訳:頑張りましょう!)

「クソが」

 ここの所、面倒くさがりという性格なのに働きっぱなしの主人公タロー
 この設定はお飾りなのだろうか? と疑問に思えてきた。
 だが、仕方ない。
 タローは社会人なので働くしかないのだ。
 まったく、働かなくてもいい時代になればいいのに!
 あ、これは作者の声ね。

「で、中回復薬の残りの材料は?」タローが訊く。

「あとは"ナニカシラキキ草"と"ワリトナオルワ"だな。あ、2番目は川魚じゃな」

「なんなんだよ、さっきからそのふざけた名前……」

「(′・ω・`)」
(訳:あんまり治る気しないですね……)

 文句を言いだすタローとプー。
 そんな二人にタマコは溜息をつく。

「文句を言うんじゃない。"ナニカシラキキ草"は私が探すから、お前らは"ワリトナオルワ"を捕まえてこい」

「……りょ」

「(^・ω・^)」
(訳:頑張ります……)

「頼むぞ、プータロー」

「略すなや」

「(`・ω・′)」
(訳:略さないでください!)



 ***



 少し歩き川辺へと場所を移したプータロー。

 プーを縫いぐるみから釣り竿へと変形させると、川に釣り糸を垂らす。
 ちなみにエサは無かったのでルアーごと再現している。

「……暇だな」

 プーと一緒にいるときは遊んで時間をつぶせるのだが、それは縫いぐるみの時の話。
 それ以外のときに意思疎通ができないのがネックであった。

「川の音ってなんか眠たくなるんだよな~……」

 大きなあくびを一つする。
 川のせせらぎを聞きつつ糸を垂らしのんびり待つ。
 タローにとっては寝ろと言われているようなものである。
 そしてそれは時間が経てばたつほど思うものだ。

「このまま寝ちまおうかな……」

 我慢できず仰向けに寝転がった。そんな時だ――


「だったら永遠に寝させてやろうか?」


 聞きなれない男の声だった。
 しかしタローはその声より早くに反応していた。
 彼の、強い殺気に――

「おっと」

 その場から跳ね起きると、先ほどまで頭置いていた位置に強烈な踵落としが降ってきた。
 あまりの威力で岩が砕け散り、衝撃で川に波が起こり、木々が揺れた。
 砕けた岩が宙に舞い上がり振ってくる。
 タローは怠惰の魔剣ベルフェゴールを釣り竿から棍棒へ変化させる。
 落ちてきた岩を棍棒ではじいたり、バク転を駆使して躱していく。
 全てを避けきったところで、襲撃者は口を開いた。

「なんだ、案外動けるじゃねぇかよ」

 声が聞こえたほうに目を向ける。

「隙だらけなもんだから、一撃で終わらせられると思ったぜ」

「……だれ、アンタ?」

 目の前に現れたのは、耳や鼻にピアスを着け、さらにネックレスや指輪などのアクセサリーに溢れた男。
 赤みがかった髪の毛。ギラギラした目つき。
 上半身は裸でロングコートを羽織っている。
 そこから見える鍛えこまれた肉体は同性であっても息をのむほど見事だった。
 男は口角をいやというほど上げ、狂気的な笑みを浮かべた。

「俺はSランク冒険者、アキラ・アマミヤだ。お前と戦いたくて来た!」

 その男――アキラはタローを睨みつける。
 彼は無類の喧嘩愛好家バトルジャンキーで、強者との戦いに目が無かった。
 ドラムスからBランクと聞いても、彼にとってはどうでもいいこと。
 大事なのは、タローが魔王を使い魔にできるほどの実力者だと言うことだけだ。

「さぁ俺と戦え! 冒険者タローッ!」

 いま、異常な男タローSランク冒険者アキラ・アマミヤの戦いが――


「……いやですけど」


 始まらなかった。
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