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魔剣争奪戦編
第104話 ヒーローは遅れてやって来る
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出し惜しみをしている余裕は無い。
タマコは疲労を押し殺して再び不死鳥の羽を広げると、猛スピードでハザードへ迫った。
「炎脚!」
魔王アンブレラの皮膚すら貫いた爪をくらわせた。
しかしハザードは片手で受け止めると、タマコを投げ飛ばした。
「炎歌!」
タマコは投げ飛ばされ際に技を発動。
歌に乗せて放たれた炎はハザードの腕に引火した。
「大層な炎だ……が、甘ぇな」
ハザードが腕に一瞬だけ強い魔力を流すと、青炎は瞬く間に姿を消した。
「なっ!?」
アンブレラでさえ消すことが出来なかった炎が消えたことにタマコが驚くのも無理はない。
するとハザードは静かに語る。
「昔、アルバートと"フェニックスの炎"について考察したことがあった。
色々な意見を出したが、俺たちは『フェニックスの炎は内側から燃やしているのではないか?』という答えに落ち着いた……」
ハザードとアルバートが議論し、出した結論は正しかった。
フェニックスがどんな攻撃を受けても瞬く間に再生できるのは、『魂』そのものに干渉できるからである。
いくら身体を傷つけようとも、『魂』に記録された肉体情報を自在に引き出すことで、何度でも肉体を再生させることが出来る。
それが"不死鳥"と呼ばれる所以であった。
"魂に干渉する"という能力は炎にも適用されており、青炎は『肉体』という外側ではなく、『魂』という内側に作用する効果を持っていたのだ。
どんな環境にも対応できるケルベロスだが、『魂』を燃やす炎を体の温度調節ではどうすることもできなかったのだ。
「大出力の魔力を内側から外側へと追い出すようにして放出することで、この青い炎に対抗できる――っていうわけだ」
それはハザードとて確証はなく、あくまで理論上の話だった。
だがタマコの炎を直に受けて確信を得たことにより、ハザードは難なく対処できたのだ。
そしてそれは、不死鳥の炎は効かないことを意味している。
「ならば――」
タマコは魔方陣から黒弦刀を取り出す。
今度はヴァンパイアの力で対抗しようとしたのだ。
魔力は残り少ないため、撃てる魔法は限られてしまう。
武器で翻弄しつつ、隙を見て魔法を使うつもりだ。
素早い動きで刀を振るうタマコに、ハザードはニヤリと笑うと、刃を片手で受け止めた。
「ははは、中々強ぇな。お前俺の嫁になるか?」
「……生憎、絶賛片思い中でな。今はソイツを振り向かせるのに必死なんじゃ!」
「そうか、そいつぁ残念だ」
返答を聞くとハザードは乱暴に握った刃をタマコごと投げ飛ばした。
タマコは苛立っていた。
戦闘中に相手を口説く余裕が相手にあるということに、だ。
ハザードにとって、タマコは肩慣らしであり暇つぶしでしかないのである。
「ハア…ハア…ハア…ハア…」
息切れの間が段々と早くなっていくのがわかる。
いよいよ限界は近い。
(倒せはしなくても、手負いにして主殿へと繋がなければ!)
実力がかけ離れすぎている相手に勝利は見込めない。
タマコはそれをしっかりと認識していた。
だからといって、それは何もしなくてもいい理由にはならない。
勝てはしなくても、ハザードに少しでも傷をつけてタローへとパスすることが、今できる最善だった。
黒弦刀の弦を弾いて音を纏わせる。それを何度も繰り返してチャージした。
「斬音旋律!」
ありったけの魔力をつぎ込み幾重にも放たれたのは音の斬撃だ。
遠隔操作も可能でハザードを半円球状に囲むように襲い掛かった。
上、前後、左右に逃げ場はない。
「炎心、スタート」
ハザードが一言呟くと、防御もしないまま前へと進んだ。
容赦なく斬撃は襲い掛かるが、当たる瞬間に身体から赤く熱い魔力が放出された。
魔力は斬撃を全て弾き飛ばし、ハザードは何事もなく歩みを進めた。
「――ッ!?」
タマコは何もハザード相手に通用するとは思っていなかった。
だが、傷の一つは付けられなかったのは予想外で、完全にハザードを見誤ってしまったのである。
魔力は今ので空になり、もう魔法は使えなくなってしまった。
「あと数年経っていたら……手傷を負わせられたかもしれないな」
ハザードがタマコの前で口を開いた。
才能は感じるものの、まだまだハザードには届かない。
「さて――タローはどこだ?」
「ぐっ!」
ハザードがタマコの首を掴んで持ち上げた。
黒弦刀で腕を斬り落とそうとするが、防御力を貫通することはできず火花が散るのみ。
諦めずに何度も振るうがハザードはタマコの手を掴み、容赦なく握り潰した。
「~~~ッッあ゛あ゛あぁぁッ!」
痛みで刀を離してしまい地面に突き刺さる。
その間もハザードは手を緩めず、首を絞める手に力を入れた。
「どうしても言わねぇか……だったらお前を殺せばあっちから出てくるかぁ?」
威圧、圧倒的実力差、疲労状態の身体、空の魔力。
全てが重なり合い、タマコは段々と力が入らなくなっていった。
(た、タロー……)
意識が朦朧とし気を失う寸前だった。
タマコにとって、もっとも安心する声が耳に届く。
「――おい」
ハザードは後ろから強烈な殺気を感じた。
タマコを掴んでいた手を離すと、すぐさま腕を交差させて防御する。
次の瞬間、ハザードの腕に感じたことの無い威力の衝撃が響いた。
鈍い音が聞こえると、ハザードは地面にめり込む勢いで叩き潰されたのだった。
「あっ――」
ハザードの手から解放されたタマコを抱きかかえる腕があった。
その腕の人物は持っていた棍棒をハザードに向けて言い放つ。
「誰の使い魔に手ぇだしてんだよ」
最強の魔王の前に、タローは堂々と現れたのだった。
タマコは疲労を押し殺して再び不死鳥の羽を広げると、猛スピードでハザードへ迫った。
「炎脚!」
魔王アンブレラの皮膚すら貫いた爪をくらわせた。
しかしハザードは片手で受け止めると、タマコを投げ飛ばした。
「炎歌!」
タマコは投げ飛ばされ際に技を発動。
歌に乗せて放たれた炎はハザードの腕に引火した。
「大層な炎だ……が、甘ぇな」
ハザードが腕に一瞬だけ強い魔力を流すと、青炎は瞬く間に姿を消した。
「なっ!?」
アンブレラでさえ消すことが出来なかった炎が消えたことにタマコが驚くのも無理はない。
するとハザードは静かに語る。
「昔、アルバートと"フェニックスの炎"について考察したことがあった。
色々な意見を出したが、俺たちは『フェニックスの炎は内側から燃やしているのではないか?』という答えに落ち着いた……」
ハザードとアルバートが議論し、出した結論は正しかった。
フェニックスがどんな攻撃を受けても瞬く間に再生できるのは、『魂』そのものに干渉できるからである。
いくら身体を傷つけようとも、『魂』に記録された肉体情報を自在に引き出すことで、何度でも肉体を再生させることが出来る。
それが"不死鳥"と呼ばれる所以であった。
"魂に干渉する"という能力は炎にも適用されており、青炎は『肉体』という外側ではなく、『魂』という内側に作用する効果を持っていたのだ。
どんな環境にも対応できるケルベロスだが、『魂』を燃やす炎を体の温度調節ではどうすることもできなかったのだ。
「大出力の魔力を内側から外側へと追い出すようにして放出することで、この青い炎に対抗できる――っていうわけだ」
それはハザードとて確証はなく、あくまで理論上の話だった。
だがタマコの炎を直に受けて確信を得たことにより、ハザードは難なく対処できたのだ。
そしてそれは、不死鳥の炎は効かないことを意味している。
「ならば――」
タマコは魔方陣から黒弦刀を取り出す。
今度はヴァンパイアの力で対抗しようとしたのだ。
魔力は残り少ないため、撃てる魔法は限られてしまう。
武器で翻弄しつつ、隙を見て魔法を使うつもりだ。
素早い動きで刀を振るうタマコに、ハザードはニヤリと笑うと、刃を片手で受け止めた。
「ははは、中々強ぇな。お前俺の嫁になるか?」
「……生憎、絶賛片思い中でな。今はソイツを振り向かせるのに必死なんじゃ!」
「そうか、そいつぁ残念だ」
返答を聞くとハザードは乱暴に握った刃をタマコごと投げ飛ばした。
タマコは苛立っていた。
戦闘中に相手を口説く余裕が相手にあるということに、だ。
ハザードにとって、タマコは肩慣らしであり暇つぶしでしかないのである。
「ハア…ハア…ハア…ハア…」
息切れの間が段々と早くなっていくのがわかる。
いよいよ限界は近い。
(倒せはしなくても、手負いにして主殿へと繋がなければ!)
実力がかけ離れすぎている相手に勝利は見込めない。
タマコはそれをしっかりと認識していた。
だからといって、それは何もしなくてもいい理由にはならない。
勝てはしなくても、ハザードに少しでも傷をつけてタローへとパスすることが、今できる最善だった。
黒弦刀の弦を弾いて音を纏わせる。それを何度も繰り返してチャージした。
「斬音旋律!」
ありったけの魔力をつぎ込み幾重にも放たれたのは音の斬撃だ。
遠隔操作も可能でハザードを半円球状に囲むように襲い掛かった。
上、前後、左右に逃げ場はない。
「炎心、スタート」
ハザードが一言呟くと、防御もしないまま前へと進んだ。
容赦なく斬撃は襲い掛かるが、当たる瞬間に身体から赤く熱い魔力が放出された。
魔力は斬撃を全て弾き飛ばし、ハザードは何事もなく歩みを進めた。
「――ッ!?」
タマコは何もハザード相手に通用するとは思っていなかった。
だが、傷の一つは付けられなかったのは予想外で、完全にハザードを見誤ってしまったのである。
魔力は今ので空になり、もう魔法は使えなくなってしまった。
「あと数年経っていたら……手傷を負わせられたかもしれないな」
ハザードがタマコの前で口を開いた。
才能は感じるものの、まだまだハザードには届かない。
「さて――タローはどこだ?」
「ぐっ!」
ハザードがタマコの首を掴んで持ち上げた。
黒弦刀で腕を斬り落とそうとするが、防御力を貫通することはできず火花が散るのみ。
諦めずに何度も振るうがハザードはタマコの手を掴み、容赦なく握り潰した。
「~~~ッッあ゛あ゛あぁぁッ!」
痛みで刀を離してしまい地面に突き刺さる。
その間もハザードは手を緩めず、首を絞める手に力を入れた。
「どうしても言わねぇか……だったらお前を殺せばあっちから出てくるかぁ?」
威圧、圧倒的実力差、疲労状態の身体、空の魔力。
全てが重なり合い、タマコは段々と力が入らなくなっていった。
(た、タロー……)
意識が朦朧とし気を失う寸前だった。
タマコにとって、もっとも安心する声が耳に届く。
「――おい」
ハザードは後ろから強烈な殺気を感じた。
タマコを掴んでいた手を離すと、すぐさま腕を交差させて防御する。
次の瞬間、ハザードの腕に感じたことの無い威力の衝撃が響いた。
鈍い音が聞こえると、ハザードは地面にめり込む勢いで叩き潰されたのだった。
「あっ――」
ハザードの手から解放されたタマコを抱きかかえる腕があった。
その腕の人物は持っていた棍棒をハザードに向けて言い放つ。
「誰の使い魔に手ぇだしてんだよ」
最強の魔王の前に、タローは堂々と現れたのだった。
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