156 / 198
最終章・転生勇者編
第144話 ヤバい奴
しおりを挟む
強くなっている。それも急激な成長だ。
手合わせしなくても見ただけでそれが理解できるほど、ユウシの雰囲気はがらりと変わっていた。
だったらどうする? 逃げる?
もちろん答えはNOだ。
強くなったから逃げるなんて有り得ない。
何しろランとジードは――
「「いいね……そっちのほうが燃えるよッッ!」」
目を輝かせて純粋無垢な笑みを浮かべた。
龍人は全身に青龍之雷・纏を発動させた。
そして、自身の出せる最速のスピードでユウシに突撃する。
「「青龍雷迅爪!」」
両腕に雷を纏った爪。強靭な刃を備えたその爪を立てると、トップスピードのまま攻撃を仕掛ける。
瞬間移動かと見紛うほどのスピード。
蒼雷の軌跡が無ければ、走って移動したと信じることはできないだろう。
まるで見切れるとは思えない最速の一撃だった。
が、それを嘲笑うかのように、黄金の刃は一閃した。
「――お前のスピードは、もう超えさせてもらった」
刹那、龍人は悪寒を感じた。
直感に従い腕を引っ込めたい。しかし繰り出された攻撃は、すでにキャンセル不可能な状態だ。
その直感は正しく、ザシュ! と切断される音が響いた。
龍人の最速を超えるスピードで振るわれた剣が、雷の爪ごと両手首を斬り落としたのだ。
そして、刃はそのまま龍人の首元へと迫るのだった。
その瞬間、勝敗が決した。
「……ボクたちの負けだ」
「降参するッス」
龍人からジードとランに戻ると、二人は白旗を上げた。
***
降参したのを確認すると、ユウシも剣と盾を指輪に戻した。
ユウシが一息つくと、そこへ仲間の4人が駆け付ける。
すると、4人同時に「大丈夫か!?」と心配され、キララがすぐさま回復魔法をかけた。
そうして仲間たちが勝利に喜ぶ中、ユウシは確かな強さに手ごたえを感じていた。
(いいぞ……確実に強くなっている……ッ!)
手を強く握り、その力を噛みしめる。
そして仲間から一気にレベルが4つ上がったことを知ると、スキル:階位昇格の能力を改めて理解した。
(相手が強いほど、レベルは数段飛びで上昇するのか!)
今まで、魔王級の強敵と対峙したことが無かったからわからなかった真実。
この事実が本当なら、あとは簡単だ
これまで通りSランク冒険者との戦いをすれば、魔王タイラントと戦う頃には圧倒的な差で勝利できるのだから。
勝利への地図が完成し、ユウシが有頂天になっていると、横からランが声をかけてきた。
「いやー、やっぱ転生者はつえーッスね。
あの人の次くらいに強敵だったっスわ!」
はっはっは! と大口を開けて笑うランに、ジードは「ラン、はしたないよ」と注意する。
だが、ユウシはある言葉に引っかかった。
「あの人とは誰のことだ? おれより強いのか?」
聞き捨てならぬその言葉。
思い返せばアキラも誰かのことを言っていたような……。
「あぁ、彼かい? 彼は、何というか……ねぇ?」
「あー、そうッスねー……直接会ったほうがわかると思うッスよ?」
何だかジードとランは言いづらそう。いや、説明しづらそうだった。
そしてそれを最後に、二人はこの場を去ろうとした。
「ちょ、ちょっと待て! ソイツは何者なんだ!?」
ユウシはその人物が気になり、二人を無理矢理呼び止める。
すると二人は揃って口を開き、同じことを言った。
「ヤバい奴だ」
「ヤバい人ッス!」
手合わせしなくても見ただけでそれが理解できるほど、ユウシの雰囲気はがらりと変わっていた。
だったらどうする? 逃げる?
もちろん答えはNOだ。
強くなったから逃げるなんて有り得ない。
何しろランとジードは――
「「いいね……そっちのほうが燃えるよッッ!」」
目を輝かせて純粋無垢な笑みを浮かべた。
龍人は全身に青龍之雷・纏を発動させた。
そして、自身の出せる最速のスピードでユウシに突撃する。
「「青龍雷迅爪!」」
両腕に雷を纏った爪。強靭な刃を備えたその爪を立てると、トップスピードのまま攻撃を仕掛ける。
瞬間移動かと見紛うほどのスピード。
蒼雷の軌跡が無ければ、走って移動したと信じることはできないだろう。
まるで見切れるとは思えない最速の一撃だった。
が、それを嘲笑うかのように、黄金の刃は一閃した。
「――お前のスピードは、もう超えさせてもらった」
刹那、龍人は悪寒を感じた。
直感に従い腕を引っ込めたい。しかし繰り出された攻撃は、すでにキャンセル不可能な状態だ。
その直感は正しく、ザシュ! と切断される音が響いた。
龍人の最速を超えるスピードで振るわれた剣が、雷の爪ごと両手首を斬り落としたのだ。
そして、刃はそのまま龍人の首元へと迫るのだった。
その瞬間、勝敗が決した。
「……ボクたちの負けだ」
「降参するッス」
龍人からジードとランに戻ると、二人は白旗を上げた。
***
降参したのを確認すると、ユウシも剣と盾を指輪に戻した。
ユウシが一息つくと、そこへ仲間の4人が駆け付ける。
すると、4人同時に「大丈夫か!?」と心配され、キララがすぐさま回復魔法をかけた。
そうして仲間たちが勝利に喜ぶ中、ユウシは確かな強さに手ごたえを感じていた。
(いいぞ……確実に強くなっている……ッ!)
手を強く握り、その力を噛みしめる。
そして仲間から一気にレベルが4つ上がったことを知ると、スキル:階位昇格の能力を改めて理解した。
(相手が強いほど、レベルは数段飛びで上昇するのか!)
今まで、魔王級の強敵と対峙したことが無かったからわからなかった真実。
この事実が本当なら、あとは簡単だ
これまで通りSランク冒険者との戦いをすれば、魔王タイラントと戦う頃には圧倒的な差で勝利できるのだから。
勝利への地図が完成し、ユウシが有頂天になっていると、横からランが声をかけてきた。
「いやー、やっぱ転生者はつえーッスね。
あの人の次くらいに強敵だったっスわ!」
はっはっは! と大口を開けて笑うランに、ジードは「ラン、はしたないよ」と注意する。
だが、ユウシはある言葉に引っかかった。
「あの人とは誰のことだ? おれより強いのか?」
聞き捨てならぬその言葉。
思い返せばアキラも誰かのことを言っていたような……。
「あぁ、彼かい? 彼は、何というか……ねぇ?」
「あー、そうッスねー……直接会ったほうがわかると思うッスよ?」
何だかジードとランは言いづらそう。いや、説明しづらそうだった。
そしてそれを最後に、二人はこの場を去ろうとした。
「ちょ、ちょっと待て! ソイツは何者なんだ!?」
ユウシはその人物が気になり、二人を無理矢理呼び止める。
すると二人は揃って口を開き、同じことを言った。
「ヤバい奴だ」
「ヤバい人ッス!」
0
あなたにおすすめの小説
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
『おっさんの元勇者』~Sランクの冒険者はギルドから戦力外通告を言い渡される~
川嶋マサヒロ
ファンタジー
ダンジョン攻略のために作られた冒険者の街、サン・サヴァン。
かつて勇者とも呼ばれたベテラン冒険者のベルナールは、ある日ギルドマスターから戦力外通告を言い渡される。
それはギルド上層部による改革――、方針転換であった。
現役のまま一生を終えようとしていた一人の男は途方にくれる。
引退後の予定は無し。備えて金を貯めていた訳でも無し。
あげく冒険者のヘルプとして、弟子を手伝いスライム退治や、食肉業者の狩りの手伝いなどに精をだしていた。
そして、昔の仲間との再会――。それは新たな戦いへの幕開けだった。
イラストは
ジュエルセイバーFREE 様です。
URL:http://www.jewel-s.jp/
お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜
双葉 鳴
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。
勇者としての役割、与えられた力。
クラスメイトに協力的なお姫様。
しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。
突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。
そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。
なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ!
──王城ごと。
王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された!
そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。
何故元の世界に帰ってきてしまったのか?
そして何故か使えない魔法。
どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。
それを他所に内心あわてている生徒が一人。
それこそが磯貝章だった。
「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」
目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。
幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。
もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。
そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。
当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。
日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。
「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」
──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。
序章まで一挙公開。
翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。
序章 異世界転移【9/2〜】
一章 異世界クラセリア【9/3〜】
二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】
三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】
四章 新生活は異世界で【9/10〜】
五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】
六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】
七章 探索! 並行世界【9/19〜】
95部で第一部完とさせて貰ってます。
※9/24日まで毎日投稿されます。
※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。
おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。
勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。
ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。
異世界での異生活
なにがし
ファンタジー
役職定年を迎えた男が事故に巻き込まれケガをする。病院に運ばれ治療をしていたはずなのに、なぜか異世界に。しかも、女性の衣服を身に着け、宿屋の一室に。最低な異世界転移を迎えた男が、異世界で生きるために頑張る物語です。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました
久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。
魔法が使えるようになった人類。
侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。
カクヨム公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる