降る雪は沈む蒼の心を優しく包む〜冴えない根暗な陰キャぼっちの成り上がりリア充化プロジェクト〜

朔月カイト

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第十一章 欺瞞

80.進路について、仁さん、そして、怜愛と


 三者面談を円滑に終えた俺は、学校帰りに、いつものバスケットコートのある公園に寄った。

 コートでフリースローシュートを放っている仁さんを見掛けたからだ。

 父さんは、あの後仕事があるからと、すぐに帰っていった。相変わらず忙しいみたいだ。


「仁さん、お疲れ様です」

 俺が声を掛けると、仁さんは俺に向き直り、

「蒼介か。今日は早いじゃねぇか」
「今日は三者面談があったんですよ」
「三者面談かぁ。もう二年生の冬だもんなぁ。そろそろ進路について真剣に考えないといけない時期か。俺は大学へはスポーツ推薦で入ったから、ほとんど悩まなかったけどな」
「仁さんにも学生時代があったんですね」
「そりゃそうよ。俺だって、人の子だからな。甘酸っぱい青春──今風に言うとアオハルってやつか? そいつを経験したもんだ。いやぁ、あの頃は若かった。パチンコいったり、馬券買ったり」

 過去を追憶するように目を細める。ただ、ろくでもない内容だが。

「それ、ちゃんと二十歳超えてからやってます? もしかして、法に触れるような事しちゃいませんよね?」

 気になった点を指摘した。

「そうだ! お前、俺の母校に来いよ」

 それには取り合おうとしない仁さん。

「話を逸らしましたね?」
「俺はこれでも名の知れた存在だからな。顔が利くから色々と便宜を図ってやれるぜ?」
「仁さんの出身大学って、どこでしたっけ?」
「俺は青山だ」
「GMARCHの一角ですね。一応候補には入れておきます」
「青山にくる事があったら、俺の後輩達を紹介してやるよ。お前、大学じゃバスケの部活やサークルに入ったりはしないのか?」
「ないですね。組織の枠組みの中で競い合う気はありません」
「お前なら、伝説のポイントガードと呼ばれる俺の後継者になれるんだがなぁ」
「仁さんにダブルスコアで惨敗する俺が、そんな大役を担える訳ないでしょう。後、その伝説の──っていうのは初耳なんですけど。誰がそう呼んでるんです?」
「細かい事は気にすんな。よし! 久しぶりに、1on1やるぞ!」
「はいはい。また俺が負けてジュースを奢らされる流れですね」


   §


 仁さんにまたしても惨敗して、ジュースを奢らされて帰宅した後。

 夕食は、父さんが持ってきてくれた有名店監修のラーメン詰め合わせセットを作って食べた。
 魚介の出汁がよく出ていて、普段食べる味気ないカップ麺とは違う高級な味がして美味かった。

 夜になり、緩やかに時間が流れる中、今俺はRainで怜愛と進路についてのトークをしている。

 それに華を添えているのは、back numberの『水平線』──。

 挫折や困難に直面した人達の喪失を埋め、その心に寄り添って励ます応援ソングだ。
 歌詞もメロディもシンプルに美しく綺麗だと思える。

ねーじゅ『蒼介君は、GMARCHを目指してるんだね』
ブルー『ああ。俺の学力ならA判定がもらえるだろうしな。美作先生も、今日の三者面談で問題ないと太鼓判を押してくれたよ』
ねーじゅ『そうなると、私達、大学も一緒に通えるかもね。私の志望もGMARCHだし』
ブルー『そうなのか? 二年生になって急激に成績が伸びた俺よりも、一年生の頃から成績上位だった君なら、もっと上が目指せるんじゃないか? 早慶上智とか』
ねーじゅ『美作先生にも同じような事言われたけどね。私、大学のレベルには拘ってないし、程々でいいよ』
ブルー『そうか。じゃあ、同じ大学に通えるといいな』
ねーじゅ『うん。ねぇ、君は、大学にいったら、何をしてみたい?』
ブルー『そうだなぁ⋯⋯月並みだけど、どこかサークルに入ってみたいかな』
ねーじゅ『おぉ、あの陰に潜むスタイルを好む蒼介君が、人の輪に入って真面な青春を送ろうとしている』
ブルー『とは言っても、大人しい活動をする文化系の文学サークルだぞ。揚羽が所属している『ライターズシエスタ』みたいにな。陽キャがウェイウェイするような運動系のインカレサークルなんかには、死んでも入らない』
ねーじゅ『またバイアスが掛かった偏見でものを語ってる』
ブルー『やつらは害悪だ。死滅すればいい』
ねーじゅ『君のダークサイドは華麗にスルーさせてもらって、私は、君の言うその陽キャがウェイウェイするようなインカレのテニスサークルなんかどうかなぁと思ってるんだよね』
ブルー『待て、早まるな! あれは淫らな行為に及ぶ事を目的とした獣の集まりだ! 君みたいに魅力的な女の子は、酒に薬を混入されて眠っているところを襲われてしまうぞ!』
ねーじゅ『どこでそんなえっちぃ漫画みたいな知識を仕入れてきたの? 心配しないでも、冗談だよ。実は私も、文学サークルに興味があるんだ。この前文芸同人誌を作ったのが、思いの外楽しくてね。商業じゃ中々やれない事を試せるし、売り子をやって、読者と直に交流するっていうのもいい』
ブルー『驚かせるなよ⋯⋯でもそうか、それなら、同じ文学サークルに入れば、また一緒に作品を作ったりも出来るんだな』
ねーじゅ『楽しそうだよね。その作品を、大学の文化祭で売ったりとかさ』
ブルー『そのためには、先ず大学に無事合格出来るように、これから本格化していく受験勉強を頑張らないとな』
ねーじゅ『お互い、小説の執筆もあるけど、どっちも手を抜きたくはないよね』
ブルー『ああ。俺の『ふるリア』の読者も増えてきているし、踏ん張りどころだな』
ねーじゅ『私の『変調愛テロル』三巻も、新キャラが加わって更に盛り上がってきてるからね。君のアイデアのおかげで、自分でも納得の仕上がりになってるから、明日の誕生日は期待しててね』
ブルー『楽しみにしてるよ。今から、読むのが待ち切れない』

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