それぞれの事情

第七章 雪乃

既婚者なんて～

女性が多い職場に勤めている雪乃は二十四才に為ったばかりだ
容姿は十人並みスタイルも普通
すべてが普通なのだ
恋愛経験は中学時代にあったようたなかったようなそんなものだったし
高校　大学もグループでの交際はあっても個人的なお付き合いまでは発展しなかった

で　職場の男性はほぼ既婚者なのだ　中には不倫関係の人もいるらしいが　不倫は駄目！自分は関係ない！　第一不倫したくなるような男性はここにはいないんだから

｢ねぇ　雪乃は見た？隣の業績部に来た比嘉さん格好良いよ～比嘉なんて苗字きっと沖縄出身だよね｣
まあまあベラベラと良く喋る事
同期の順子はなんでも情報を摑んでくるのが早い
｢それでこのフロアで恒例の飲み会があるからさあ～
ちょっと楽しみ～
でもねその比嘉さんも既婚者なんだって……目の保養だけだけどね｣

なんで既婚者ばかりなのか
理由は簡単だ　うちの会社は中途採用の男性が多いのだ
だからか……経験積む　年行ってる
既婚者が多い
新卒より中途採用営業マンは即戦力　社長の考え方なんだとか～

なんだよ既婚者かぁ関係ないわ～
ふっと溜息つきハンカチを仕舞いながら化粧室を出るとドスンと誰かとぶつかってしまった
｢すいません！大丈夫ですか？｣
何と優しい声だろう
雪乃は思わず声が上擦ってしまった
｢はい～大丈夫で…す｣
一瞬目が合う
わあ～綺麗な顔立ちですよ～誰？
思わず雪乃は見惚れてしまった
その男性は軽く一礼してエレベーターの方へ歩いて行ってしまった