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1巻
1-3
2 別れとこれから
ピーーーーッ!
「ん? 何、この音?」
突然、リビングにタイマー音のようなものが鳴り響いた。
「これは、もうすぐで一時間ですよっていうお知らせね。女神さんが言ってたわ」
僕の疑問に母さんが答えてくれる。
そうか……話に夢中で忘れかけていたな。
もともと、両親に会えるのは一時間が限界なんだった。
そのことを思い出した途端、先程までは晴れやかな気持ちだったのに、悲しくて寂しい気持ちになってしまう。
二人と、もっと話していたい。
初めて家族三人での時間を過ごして、僕は初めて両親の愛を知った。
その時間がもう終わってしまうと考えると、どうしようもなく悲しい気持ちになってくる。
そう思っていると、父さんが少し笑いながら僕の頭を撫でてきた。
「そんな顔すんじゃねぇよ」
「そうよ。もう二度と会えないと思っていたのに、こんなに沢山話せたんだから」
母さんもそう言って、僕の頭を撫でてくれた。
二人は、笑っている。
僕との再会を本当に喜んでいるのが、その表情からありありと伝わってきた。
その時間がほんのひと時であったとしても。
……そうだ、折角会えたのに、最後に二人を不安にさせるわけにはいかない。
そう思った僕は、顔を上げて二人をしっかりと見据え、改めて思いをぶつけることにした。
「父さん、母さん、さっきも言ったけど、ありがとう。本当に感謝してる。産んでくれたこと、育ててくれたこと、見守っていてくれたこと。そして、どこまでも、深く、深く、愛してくれてありがとう。僕も、父さんと母さんのことが……大好きです……! 二人の……子供で僕は、本当に……ほん、とに……幸せです……!」
僕はなんとか二人にそう告げた。
最後の方は涙を堪えられなくて、途切れ途切れになってしまったけど。
ただ、この涙は別れの悲しみから来るものじゃなく、二人が、沢山の愛をくれたことへの感謝から来るものだ。
もう悲しくはない。
あるのは、二人への感謝だけ。
母さんも、僕の言葉を聞いて、涙を流していた。
そしてそのまま、しっかりと抱きしめてくれる。
父さんは少し目を潤ませながら、僕のことを、母さんごと優しく抱きしめた。
少しの間、僕達はそのままでいた。
言葉すらいらない、ただただ家族同士の愛を感じられる時間を全力で享受したんだ。
やがて、空間が徐々に光に包まれ、リビングの風景が少しずつ薄れていく。
両親の体も少しずつ透けていく。
約束の一時間が終わろうとしていた。
父さんと母さんは別れを惜しむように、僕の体からゆっくりと体を離した。
そして、父さんが口を開く。
「匠真。さっき言ってくれたこと、とても、とても嬉しかった。こちらこそありがとう。母さんが死んで、二人で暮らしていた頃、色々と家のことをやってくれて、感謝している。お前は俺達にもらってばかりだと思っていたみたいだが、そんなことはない。俺も母さんも、お前には沢山のものをもらったよ。本当にありがとう」
父さんは男の僕でも見惚れるような、かっこいい大人の笑みを浮かべながら、更に言葉を続ける。
「この先、何があってもお前は自分の意思で生きればいい。お前がしっかりと悩み、考えて選べば、それがお前にとって、一番いい選択になるはずだ。だから、強く生きろよ。これからの匠真の未来がどこまでも幸せであることを、願っている」
父さんのその言葉に、僕は涙を流しながら強く頷いた。
「私も、お父さんと同じ気持ちよ。本当にありがとう。匠真が私のお腹の中にいるって分かった時は本当に嬉しかったの。生まれてくる時が本当に楽しみでしょうがなかった。病院で無事に生まれて、声を聞いて、抱きしめた時のことは今でも鮮明に憶えているわ」
母さんは昔を懐かしむような表情でそんな風に言ってくれた。
「一緒に生きることは出来なかったけど、ここから匠真を見守っていた時に、強く生きている様子を見て、とても嬉しかった。私達の子として生まれてきてくれてありがとう。私達はいつまでも、匠真の心の中にいる。そして、見守ってるから幸せになりなさい。匠真の生きる世界の全てに、幸せが溢れることを願っているわ」
母さんも、父さんと同じように優しさと子を想う気持ちを前面に出した表情で、気持ちを伝えてくれた。
二人は、これからも僕の中にいて、ずっと見守ってくれる。
それはとても心強い事実だ。
「父さん、母さん、ありがとう。……いってきます!」
「「いってらっしゃい」」
最後に笑いながらそう言い合うと、父さんと母さんはその空間と共に光の粒子となって消えていった。
さようならは言わない。
死んでからまた会って話すことが出来たんだ。
いつか、また会えることだってあると思う。
そうしたら、今度は迷わずに最初に言おう。
ただいま、と。
*
「両親との再会はどうでしたか?」
後ろから声がしたので振り返ると、そこにはフォルティが立っていた。
「……その表情を見る限り、とても有意義な時間だったみたいですね」
「……うん、かけがえのない時間になったよ。ありがとう、フォルティ。あ、協力してくれた神様にも、僕がお礼を言ってたって伝えてほしいな」
「ふふっ、分かりました。必ず伝えますね」
出来れば、直接お礼を言いたいところだけど、会えないものはしょうがない。
彼女ならしっかり伝えてくれると思うしね。
「それで、母さん達と話してて、ちょっと気になることがあったんだけど……」
「はい、なんでしょうか?」
「このあと、僕ってどうなるの?」
父さんも母さんも何やら意味深なことを言っていたけどどうなるんだろう?
そう思ってした質問に、フォルティが答えてくれる。
「しっかりと説明させてもらいます。あなたが両親と会う前に話すか迷ったのですが、一時間という短い時間だったので、教えることで本来話したかったことが話せなくなるかもしれないと思い、後回しにさせていただいたんです」
「なるほど。たしかにその方がよかったと思う」
「ならよかったです。それでですね、匠真さんには、選択肢が二つあります」
「二つ?」
「そうです。一つ目は、地球とは別の世界に転生して、新たな人生を歩んでもらうことです。転生といっても、記憶は残りますし、姿形もそのままなので、転生というより転移に近いかもしれませんが」
おお、これってアレだ! 異世界転生ってやつだ!
ラノベでよくあったやつ。
「匠真さん、生前にそのような題材の物語をよく読まれていましたよね。イメージとしてはそれにかなり近いです」
「ちょっと待って。なんで知ってんの?」
「見ていましたから。お父様、お母様も見てましたよ」
マジか……たしかに僕のことを見守っていたとは言っていたけど、そんなところまで見られていたの!?
……プライバシーとは一体?
なんとなくそれ以上突っ込んだらやぶ蛇な気がするので話を逸らし、二つ目の選択肢を聞くことにした。
「……もう一つは?」
「もう一つは、匠真さんに我々と同じ神になっていただくという選択肢です」
「転生でお願いします」
即答した。
するとフォルティは怒るでもなく、クスッと笑って「断られると思っていました」と言う。
僕が神なんて、悪い冗談だ。
そんな資格、僕にあるわけがない。
「一応、理由があってですね? 匠真さんの心――厳密に言えば魂は、神として求められるものをしっかりと満たしているんです。それ故に神に相応しいと私と私以外の最高神達が判断したんですよ」
「そもそも、そんなに簡単に神になれるもんなの?」
「いえいえ、決して簡単ではないんですよ? 死んでしまった人の魂の転生先は、生前の行いを考慮して決めます。その時に神に相応しいと判断されたら神になれるわけですが……私が憶えている限りだと、神になった人間は神々の歴史の中でも、両手の指で数えられるくらいしかいなかったような」
神々の歴史て。
いくらなんでもスケールが壮大すぎる。
「……自分がそんな大層な人間だなんて、思えないけど」
「ふふ、匠真さんがそう思ってなくてもいいんです。大事なのは周りがどう感じるかですから」
……そういうものだろうか。
自分が素晴らしい人間だと言われて、はいそうですかと受け入れられる程、僕は素直じゃない。
むしろ、小心者だって評価された方がしっくりくる。
神からの高い評価に応えられる人間じゃないって思っているから、さっきの言葉を聞いて嬉しいより怖いが勝つもの。
「まぁ、改めて言うけど、神様になるっていうのは遠慮するよ」
「そうですか。匠真さんが同じ神になってくれたら少し楽しそうだと思ったんですけどね」
フォルティはそう言って悪戯っぽく笑う。
断られると思ってたみたいだ。
「そうなると、転生ですね。匠真さんの転生先は匠真さんが楽しんで暮らせるようにこちらで選びました。転生予定の世界は魔法やステータス、スキルがあって、人は自分の職業を活かして、冒険したり、何かを生み出したりして生活しています。匠真さんが好きそうな世界を選んだのですけれど、どうでしょうか?」
なんだ、その夢の世界は。
どうしよう、話を聞いていて、めちゃくちゃ楽しみになっている自分がいる。
だって、ラノベの世界観が好きで憧れていた僕にとって、天国じゃないか。
「うん。とても楽しそうな世界だね。ちょっと楽しみになってきたよ!」
「ふふっ、そうですか。それは選んだ甲斐があったというものです。この転生は匠真さんの人生を壊してしまった謝罪の意味を込めているので、なるべく楽しんでほしいし、何より幸せになってほしいんです。あ、もちろん、匠真さんの不幸体質は改善した上で転生させるので安心してください」
それを聞いて安心した。
またあの不幸体質に悩まされるのは勘弁してほしいからね。
「それで、転生してしたいこととか、こういう職業が欲しいとか、希望はありますか?」
そうだな……したいことが出来るなら、ずっと憧れていたものがある。
「フォルティも知っているかもしれないけど、僕の父さんは鍛冶師だったんだ。僕もそれに憧れていたから、父さんが生きていたら仕事を教えてもらいたいって思ってた。だから、転生したら色んなものを作れるようになりたいかな」
「なるほど……いいと思います! じゃあ、匠真さんの職業は色々なものを作れる職業にしましょう」
「ちなみにどんなものが作れるの?」
「それは向こうに行った時のお楽しみということで!」
まぁ、たしかに全部分かった状態で転生しても、面白くないか。
「分かったよ」
「それで、他に希望はあります?」
「希望ではないんだけど、質問してもいい? 魔法って、使う必要があるの? 戦わないといけない理由でもあるの?」
「もちろん戦わなくても生きてはいけますよ? ただ、向こうの世界には魔物という危険な生物がいて、それを討伐することで生計を立てている者もいます」
ますますファンタジーの世界だな。
そんな生物がいるとなると、多少は戦えないとダメだよなぁ……
「あ、そうだ。ちなみに、職業は複数持つことも可能です。ファンタジー作品が好きな匠真さんならご存じかもしれませんが、この場合の職業はあちらの世界での意味とは少し異なります。それを持っていることで、高い能力を発揮出来るようになる役職のようなものだと考えてください。ですが、沢山の職業を持っているからといって、必ず能力が上がるわけではありません。その職業がどのようなものかを理解し、使いこなすことが何よりも重要なんです」
「なるほど……多い人でどのくらいの職業を持っているの?」
「五個くらいですかね? ただそれぐらい職業を沢山持っているとバレると、軽い騒ぎになるでしょうね。それが有用な職業であれば特に」
んー、あまり目立ちたくはないかな……
「ちなみにフォルティ」
「はい? なんでしょう?」
「僕にも魔法って使える?」
「はい、もちろんです! ふふっ、匠真さんも男の子なんですね。魔法適性が高くなる職業もつけますか?」
「ちょっと憧れているのは否定しないよ……そうだね、出来れば使ってみたいな」
男の子は魔法とかに憧れを抱いちゃうんです。
「じゃあ、魔法が使えるようになる職業も追加しますね。他にも何か希望はありますか? 遠慮しないでどんどん言ってください!」
「いやいや、結構わがまま言ったつもりなんだけど?」
「こんなもんじゃ全然、お詫びになってませんよ! ほら、他にも何かないですか?」
そう食い気味にフォルティが聞いてくる。
うーん、他に何かあるかな?
「向こうでの強さって、やっぱり職業の強さとかによって決まるの?」
「職業自体の強さというより、それらのレベルの高さですね。一見使えなさそうなスキルでも、使いこなせば凄い力を発揮出来ますから」
「んー、もうちょっと具体的に聞きたいな」
「ちょっと長くなりますよ?」
「大丈夫、むしろよく知らないことで後悔したくないし」
「分かりました。たとえば魔法使いという職業を、レベル1までしか育てていない人がいるとします。その人は職業スキルとして火魔法、風魔法、水魔法などのスキルをスキルレベル1の威力ではありますが、使うことが出来ます」
「ふむふむ」
「ただ、戦闘職業を新たに得ることはとても難しいです。魔法使いの職業の人が戦士の職業を得るために修業しても、剣術スキルは身につきますが、戦士の職業は中々身につきません。それに持っている職業もしばらく鍛錬を怠ると、レベルが下がってしまいます」
「前世で言う運動能力とか学力みたいな感じだね」
「概ねそんな感じです! そうですね……スキルに関してはそれなりに修練を積めば身につけることが出来るんですけど、匠真さんに関しては別の方法でもスキルを得られるようにしておきますね」
「ありがとう」
「ちなみに、強さの指標としては、剣術スキルがレベル1だと、ガタイのいい一般人が剣を持ったレベルの強さで、レベル3になれば中堅冒険者くらいです。なので先の『職業自体の強さというより、それらのレベルの高さ』という発言に繋がるのですが、鍛錬には時間もかかるので、何をどう育成したらより強くなれるかを考えて生きる必要があるんです」
「レベルが高くないと、そこまで威力は発揮されないんだね。想像していた以上に難しいや」
「そうですね。スキルの最高レベルは10ですけど、神の領域と言われていて、そこまでのレベルの職業を持つ者は向こうの世界でもごく僅かです」
「そうなんだ」
でも、目指す目標があるのはとてもいいな。
「職業レベルを上げると、別の職業スキルを得られることもあるので、職業レベルはどんどん上げるといいと思います! ……ここまで話したことが基本的な知識です! あとは向こうに行って色々と試行錯誤してみてください!」
「うん、大体分かったよ。ありがとう」
今の話を聞いて、より異世界に行くのが楽しみになってきた。
簡単すぎたら攻略のしがいがないわけだし。
あとは向こうで色々と試してみよう。
「いえいえ。それで他に要望や質問は大丈夫ですか?」
「そうだね……あ、じゃああと一つだけいい?」
「はい! 一つでも百個でもいいですよ!」
「いや、一つでいいから。それで、戦う手段がいるみたいだし、魔法だけだとちょっと不安だから、近接戦闘用の職業をつけておいてくれない? 具体的なイメージはないんだけど、それなりに武器を扱えるようになりたいな……って感じ。具体的な職業はフォルティに任せるよ」
「分かりました! じゃあ、近接用の戦闘職をつけておきますね! 他にはもうないんですか?」
「うん、もう十分すぎるほどだよ。あとは自分で頑張ってみる」
「こちらとしてはもっと要求してくれていいんですけど……匠真さんは欲がないというか謙虚というか……」
「いやいや、大分いい条件だと思うよ? それに最初から恵まれすぎていたらそれはそれでつまらなさそうだし」
「そうですか? まぁ、何か向こうで分からないことがあったら教会に私の像があると思うので、その前で私に呼びかけてみてください! いつでもお答えしますので! あ、そのために私の加護を匠真さんにつけときますね。私と話すための神託スキルをつけて……他人から見えないように隠蔽もしておいて……他にも何点か匠真さんに役立つ効果をつけておきます!」
「なんか至れり尽くせりで申し訳なくなってくるんだけど……?」
「いいんです! これは私がしたいことなので! むしろ受け取ってくれないと困ります!」
「困るって……」
「ほ、ほら! 神様からの加護なんですから、逆に受け取らないと、神罰が下っちゃいますよ!?」
「何その脅し!? 怖いんだけど!」
「じゃあ、受け取ってください!」
半ば強引に加護をもらってしまった……
いいのか、こんなんで加護授けちゃって。
ピーーーーッ!
「ん? 何、この音?」
突然、リビングにタイマー音のようなものが鳴り響いた。
「これは、もうすぐで一時間ですよっていうお知らせね。女神さんが言ってたわ」
僕の疑問に母さんが答えてくれる。
そうか……話に夢中で忘れかけていたな。
もともと、両親に会えるのは一時間が限界なんだった。
そのことを思い出した途端、先程までは晴れやかな気持ちだったのに、悲しくて寂しい気持ちになってしまう。
二人と、もっと話していたい。
初めて家族三人での時間を過ごして、僕は初めて両親の愛を知った。
その時間がもう終わってしまうと考えると、どうしようもなく悲しい気持ちになってくる。
そう思っていると、父さんが少し笑いながら僕の頭を撫でてきた。
「そんな顔すんじゃねぇよ」
「そうよ。もう二度と会えないと思っていたのに、こんなに沢山話せたんだから」
母さんもそう言って、僕の頭を撫でてくれた。
二人は、笑っている。
僕との再会を本当に喜んでいるのが、その表情からありありと伝わってきた。
その時間がほんのひと時であったとしても。
……そうだ、折角会えたのに、最後に二人を不安にさせるわけにはいかない。
そう思った僕は、顔を上げて二人をしっかりと見据え、改めて思いをぶつけることにした。
「父さん、母さん、さっきも言ったけど、ありがとう。本当に感謝してる。産んでくれたこと、育ててくれたこと、見守っていてくれたこと。そして、どこまでも、深く、深く、愛してくれてありがとう。僕も、父さんと母さんのことが……大好きです……! 二人の……子供で僕は、本当に……ほん、とに……幸せです……!」
僕はなんとか二人にそう告げた。
最後の方は涙を堪えられなくて、途切れ途切れになってしまったけど。
ただ、この涙は別れの悲しみから来るものじゃなく、二人が、沢山の愛をくれたことへの感謝から来るものだ。
もう悲しくはない。
あるのは、二人への感謝だけ。
母さんも、僕の言葉を聞いて、涙を流していた。
そしてそのまま、しっかりと抱きしめてくれる。
父さんは少し目を潤ませながら、僕のことを、母さんごと優しく抱きしめた。
少しの間、僕達はそのままでいた。
言葉すらいらない、ただただ家族同士の愛を感じられる時間を全力で享受したんだ。
やがて、空間が徐々に光に包まれ、リビングの風景が少しずつ薄れていく。
両親の体も少しずつ透けていく。
約束の一時間が終わろうとしていた。
父さんと母さんは別れを惜しむように、僕の体からゆっくりと体を離した。
そして、父さんが口を開く。
「匠真。さっき言ってくれたこと、とても、とても嬉しかった。こちらこそありがとう。母さんが死んで、二人で暮らしていた頃、色々と家のことをやってくれて、感謝している。お前は俺達にもらってばかりだと思っていたみたいだが、そんなことはない。俺も母さんも、お前には沢山のものをもらったよ。本当にありがとう」
父さんは男の僕でも見惚れるような、かっこいい大人の笑みを浮かべながら、更に言葉を続ける。
「この先、何があってもお前は自分の意思で生きればいい。お前がしっかりと悩み、考えて選べば、それがお前にとって、一番いい選択になるはずだ。だから、強く生きろよ。これからの匠真の未来がどこまでも幸せであることを、願っている」
父さんのその言葉に、僕は涙を流しながら強く頷いた。
「私も、お父さんと同じ気持ちよ。本当にありがとう。匠真が私のお腹の中にいるって分かった時は本当に嬉しかったの。生まれてくる時が本当に楽しみでしょうがなかった。病院で無事に生まれて、声を聞いて、抱きしめた時のことは今でも鮮明に憶えているわ」
母さんは昔を懐かしむような表情でそんな風に言ってくれた。
「一緒に生きることは出来なかったけど、ここから匠真を見守っていた時に、強く生きている様子を見て、とても嬉しかった。私達の子として生まれてきてくれてありがとう。私達はいつまでも、匠真の心の中にいる。そして、見守ってるから幸せになりなさい。匠真の生きる世界の全てに、幸せが溢れることを願っているわ」
母さんも、父さんと同じように優しさと子を想う気持ちを前面に出した表情で、気持ちを伝えてくれた。
二人は、これからも僕の中にいて、ずっと見守ってくれる。
それはとても心強い事実だ。
「父さん、母さん、ありがとう。……いってきます!」
「「いってらっしゃい」」
最後に笑いながらそう言い合うと、父さんと母さんはその空間と共に光の粒子となって消えていった。
さようならは言わない。
死んでからまた会って話すことが出来たんだ。
いつか、また会えることだってあると思う。
そうしたら、今度は迷わずに最初に言おう。
ただいま、と。
*
「両親との再会はどうでしたか?」
後ろから声がしたので振り返ると、そこにはフォルティが立っていた。
「……その表情を見る限り、とても有意義な時間だったみたいですね」
「……うん、かけがえのない時間になったよ。ありがとう、フォルティ。あ、協力してくれた神様にも、僕がお礼を言ってたって伝えてほしいな」
「ふふっ、分かりました。必ず伝えますね」
出来れば、直接お礼を言いたいところだけど、会えないものはしょうがない。
彼女ならしっかり伝えてくれると思うしね。
「それで、母さん達と話してて、ちょっと気になることがあったんだけど……」
「はい、なんでしょうか?」
「このあと、僕ってどうなるの?」
父さんも母さんも何やら意味深なことを言っていたけどどうなるんだろう?
そう思ってした質問に、フォルティが答えてくれる。
「しっかりと説明させてもらいます。あなたが両親と会う前に話すか迷ったのですが、一時間という短い時間だったので、教えることで本来話したかったことが話せなくなるかもしれないと思い、後回しにさせていただいたんです」
「なるほど。たしかにその方がよかったと思う」
「ならよかったです。それでですね、匠真さんには、選択肢が二つあります」
「二つ?」
「そうです。一つ目は、地球とは別の世界に転生して、新たな人生を歩んでもらうことです。転生といっても、記憶は残りますし、姿形もそのままなので、転生というより転移に近いかもしれませんが」
おお、これってアレだ! 異世界転生ってやつだ!
ラノベでよくあったやつ。
「匠真さん、生前にそのような題材の物語をよく読まれていましたよね。イメージとしてはそれにかなり近いです」
「ちょっと待って。なんで知ってんの?」
「見ていましたから。お父様、お母様も見てましたよ」
マジか……たしかに僕のことを見守っていたとは言っていたけど、そんなところまで見られていたの!?
……プライバシーとは一体?
なんとなくそれ以上突っ込んだらやぶ蛇な気がするので話を逸らし、二つ目の選択肢を聞くことにした。
「……もう一つは?」
「もう一つは、匠真さんに我々と同じ神になっていただくという選択肢です」
「転生でお願いします」
即答した。
するとフォルティは怒るでもなく、クスッと笑って「断られると思っていました」と言う。
僕が神なんて、悪い冗談だ。
そんな資格、僕にあるわけがない。
「一応、理由があってですね? 匠真さんの心――厳密に言えば魂は、神として求められるものをしっかりと満たしているんです。それ故に神に相応しいと私と私以外の最高神達が判断したんですよ」
「そもそも、そんなに簡単に神になれるもんなの?」
「いえいえ、決して簡単ではないんですよ? 死んでしまった人の魂の転生先は、生前の行いを考慮して決めます。その時に神に相応しいと判断されたら神になれるわけですが……私が憶えている限りだと、神になった人間は神々の歴史の中でも、両手の指で数えられるくらいしかいなかったような」
神々の歴史て。
いくらなんでもスケールが壮大すぎる。
「……自分がそんな大層な人間だなんて、思えないけど」
「ふふ、匠真さんがそう思ってなくてもいいんです。大事なのは周りがどう感じるかですから」
……そういうものだろうか。
自分が素晴らしい人間だと言われて、はいそうですかと受け入れられる程、僕は素直じゃない。
むしろ、小心者だって評価された方がしっくりくる。
神からの高い評価に応えられる人間じゃないって思っているから、さっきの言葉を聞いて嬉しいより怖いが勝つもの。
「まぁ、改めて言うけど、神様になるっていうのは遠慮するよ」
「そうですか。匠真さんが同じ神になってくれたら少し楽しそうだと思ったんですけどね」
フォルティはそう言って悪戯っぽく笑う。
断られると思ってたみたいだ。
「そうなると、転生ですね。匠真さんの転生先は匠真さんが楽しんで暮らせるようにこちらで選びました。転生予定の世界は魔法やステータス、スキルがあって、人は自分の職業を活かして、冒険したり、何かを生み出したりして生活しています。匠真さんが好きそうな世界を選んだのですけれど、どうでしょうか?」
なんだ、その夢の世界は。
どうしよう、話を聞いていて、めちゃくちゃ楽しみになっている自分がいる。
だって、ラノベの世界観が好きで憧れていた僕にとって、天国じゃないか。
「うん。とても楽しそうな世界だね。ちょっと楽しみになってきたよ!」
「ふふっ、そうですか。それは選んだ甲斐があったというものです。この転生は匠真さんの人生を壊してしまった謝罪の意味を込めているので、なるべく楽しんでほしいし、何より幸せになってほしいんです。あ、もちろん、匠真さんの不幸体質は改善した上で転生させるので安心してください」
それを聞いて安心した。
またあの不幸体質に悩まされるのは勘弁してほしいからね。
「それで、転生してしたいこととか、こういう職業が欲しいとか、希望はありますか?」
そうだな……したいことが出来るなら、ずっと憧れていたものがある。
「フォルティも知っているかもしれないけど、僕の父さんは鍛冶師だったんだ。僕もそれに憧れていたから、父さんが生きていたら仕事を教えてもらいたいって思ってた。だから、転生したら色んなものを作れるようになりたいかな」
「なるほど……いいと思います! じゃあ、匠真さんの職業は色々なものを作れる職業にしましょう」
「ちなみにどんなものが作れるの?」
「それは向こうに行った時のお楽しみということで!」
まぁ、たしかに全部分かった状態で転生しても、面白くないか。
「分かったよ」
「それで、他に希望はあります?」
「希望ではないんだけど、質問してもいい? 魔法って、使う必要があるの? 戦わないといけない理由でもあるの?」
「もちろん戦わなくても生きてはいけますよ? ただ、向こうの世界には魔物という危険な生物がいて、それを討伐することで生計を立てている者もいます」
ますますファンタジーの世界だな。
そんな生物がいるとなると、多少は戦えないとダメだよなぁ……
「あ、そうだ。ちなみに、職業は複数持つことも可能です。ファンタジー作品が好きな匠真さんならご存じかもしれませんが、この場合の職業はあちらの世界での意味とは少し異なります。それを持っていることで、高い能力を発揮出来るようになる役職のようなものだと考えてください。ですが、沢山の職業を持っているからといって、必ず能力が上がるわけではありません。その職業がどのようなものかを理解し、使いこなすことが何よりも重要なんです」
「なるほど……多い人でどのくらいの職業を持っているの?」
「五個くらいですかね? ただそれぐらい職業を沢山持っているとバレると、軽い騒ぎになるでしょうね。それが有用な職業であれば特に」
んー、あまり目立ちたくはないかな……
「ちなみにフォルティ」
「はい? なんでしょう?」
「僕にも魔法って使える?」
「はい、もちろんです! ふふっ、匠真さんも男の子なんですね。魔法適性が高くなる職業もつけますか?」
「ちょっと憧れているのは否定しないよ……そうだね、出来れば使ってみたいな」
男の子は魔法とかに憧れを抱いちゃうんです。
「じゃあ、魔法が使えるようになる職業も追加しますね。他にも何か希望はありますか? 遠慮しないでどんどん言ってください!」
「いやいや、結構わがまま言ったつもりなんだけど?」
「こんなもんじゃ全然、お詫びになってませんよ! ほら、他にも何かないですか?」
そう食い気味にフォルティが聞いてくる。
うーん、他に何かあるかな?
「向こうでの強さって、やっぱり職業の強さとかによって決まるの?」
「職業自体の強さというより、それらのレベルの高さですね。一見使えなさそうなスキルでも、使いこなせば凄い力を発揮出来ますから」
「んー、もうちょっと具体的に聞きたいな」
「ちょっと長くなりますよ?」
「大丈夫、むしろよく知らないことで後悔したくないし」
「分かりました。たとえば魔法使いという職業を、レベル1までしか育てていない人がいるとします。その人は職業スキルとして火魔法、風魔法、水魔法などのスキルをスキルレベル1の威力ではありますが、使うことが出来ます」
「ふむふむ」
「ただ、戦闘職業を新たに得ることはとても難しいです。魔法使いの職業の人が戦士の職業を得るために修業しても、剣術スキルは身につきますが、戦士の職業は中々身につきません。それに持っている職業もしばらく鍛錬を怠ると、レベルが下がってしまいます」
「前世で言う運動能力とか学力みたいな感じだね」
「概ねそんな感じです! そうですね……スキルに関してはそれなりに修練を積めば身につけることが出来るんですけど、匠真さんに関しては別の方法でもスキルを得られるようにしておきますね」
「ありがとう」
「ちなみに、強さの指標としては、剣術スキルがレベル1だと、ガタイのいい一般人が剣を持ったレベルの強さで、レベル3になれば中堅冒険者くらいです。なので先の『職業自体の強さというより、それらのレベルの高さ』という発言に繋がるのですが、鍛錬には時間もかかるので、何をどう育成したらより強くなれるかを考えて生きる必要があるんです」
「レベルが高くないと、そこまで威力は発揮されないんだね。想像していた以上に難しいや」
「そうですね。スキルの最高レベルは10ですけど、神の領域と言われていて、そこまでのレベルの職業を持つ者は向こうの世界でもごく僅かです」
「そうなんだ」
でも、目指す目標があるのはとてもいいな。
「職業レベルを上げると、別の職業スキルを得られることもあるので、職業レベルはどんどん上げるといいと思います! ……ここまで話したことが基本的な知識です! あとは向こうに行って色々と試行錯誤してみてください!」
「うん、大体分かったよ。ありがとう」
今の話を聞いて、より異世界に行くのが楽しみになってきた。
簡単すぎたら攻略のしがいがないわけだし。
あとは向こうで色々と試してみよう。
「いえいえ。それで他に要望や質問は大丈夫ですか?」
「そうだね……あ、じゃああと一つだけいい?」
「はい! 一つでも百個でもいいですよ!」
「いや、一つでいいから。それで、戦う手段がいるみたいだし、魔法だけだとちょっと不安だから、近接戦闘用の職業をつけておいてくれない? 具体的なイメージはないんだけど、それなりに武器を扱えるようになりたいな……って感じ。具体的な職業はフォルティに任せるよ」
「分かりました! じゃあ、近接用の戦闘職をつけておきますね! 他にはもうないんですか?」
「うん、もう十分すぎるほどだよ。あとは自分で頑張ってみる」
「こちらとしてはもっと要求してくれていいんですけど……匠真さんは欲がないというか謙虚というか……」
「いやいや、大分いい条件だと思うよ? それに最初から恵まれすぎていたらそれはそれでつまらなさそうだし」
「そうですか? まぁ、何か向こうで分からないことがあったら教会に私の像があると思うので、その前で私に呼びかけてみてください! いつでもお答えしますので! あ、そのために私の加護を匠真さんにつけときますね。私と話すための神託スキルをつけて……他人から見えないように隠蔽もしておいて……他にも何点か匠真さんに役立つ効果をつけておきます!」
「なんか至れり尽くせりで申し訳なくなってくるんだけど……?」
「いいんです! これは私がしたいことなので! むしろ受け取ってくれないと困ります!」
「困るって……」
「ほ、ほら! 神様からの加護なんですから、逆に受け取らないと、神罰が下っちゃいますよ!?」
「何その脅し!? 怖いんだけど!」
「じゃあ、受け取ってください!」
半ば強引に加護をもらってしまった……
いいのか、こんなんで加護授けちゃって。
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貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
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ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
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気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
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【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
「鑑定しかできない無能」と追放された俺、実は壊れた才能を直せる唯一の神職でした〜捨てられ聖女と辺境村を修理していたら、勇者より先に国を救って
常陸之介寛浩📚️書籍・本能寺から始める
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あらすじ
勇者パーティーの鑑定士レオンは、戦えない、派手な魔法も使えない、ただ物を見て説明するだけの男として仲間たちから軽んじられていた。
「鑑定しかできない無能は、もういらない」
魔王軍との戦いが激化する中、勇者たちはそう言い放ち、レオンをパーティーから追放する。
だが彼らは知らなかった。
レオンのスキル《修復鑑定》は、ただ物の価値を見る力ではない。
壊れた武器、劣化した魔道具、狂った魔力回路、封じられた才能、呪われたスキル――あらゆる“壊れたもの”の原因を見抜き、修復できる唯一無二の神職系スキルだったのだ。
行き場を失ったレオンがたどり着いたのは、王国から見捨てられた辺境の村。
そこで彼は、魔力暴走によって神殿から捨てられた聖女セリアと出会う。
誰にも救えないと言われた彼女の力を、レオンは修復する。
暴走していた魔力は清らかな癒やしへと変わり、枯れた井戸には水が戻り、病に伏せていた村人たちは立ち上がった。
さらに、剣を握れなくなった元天才剣姫。
失敗作として廃棄された魔道人形。
呪いで声を失った竜人少女。
国から不要とされた者たちが、レオンの手によって次々と本来の力を取り戻していく。
一方、レオンを追放した勇者パーティーは、装備の不調、戦術の崩壊、仲間同士の不和に悩まされ始めていた。
彼らの強さを陰で支えていたのが、誰よりも地味だった鑑定士だと気づいた時には、もう遅い。
捨てられた鑑定士は、捨てられた者たちと辺境村を立て直す。
やがてその小さな村は、王都を超える最強の拠点となり、魔王軍侵攻から国を救う希望となっていく。
これは、“無能”と呼ばれた青年が、壊れた才能を直しながら、勇者より先に世界を救ってしまう物語。
