マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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#333 ライリーの義足と街案内

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「どうじゃ?」

「お、おぉ……! 凄いなこれは……!」


 蒼天の風の庭にて。

 そこでは本日、試作されたライリーの義足のチェックが行われていた。


「まだ数日しか経っていないのに、ここまでのものを作れるなんて……」

「まだガワだけじゃがの」

「もうちょっと機能面をなんとかしたいよねー」


 実際に着けて歩いてみたライリーは、これまで使っていた自作の義足より遥かに歩きやすい試作の義足に感動していたが、作った本人達であるジンバとミノリ的にはまだまだ納得がいってないらしい。


「形はもう本物の足のようですね」


 横で見ていたシュージの言葉通り、試作品の義足の形はまんま人間の足の形で、使われた素材は木をベースにして一部金属が使われていた。

 ライリーが歩くと、ギシギシと軽くしなっているような音が聞こえ、かなり伸縮性の高い素材だということが分かる。


「かなりしなるから、地面を踏みしめている感覚があっていいな」

「うーん、でもちょっと音が大きいね」

「シドが作っているという緩衝材に期待じゃな」

「あと多分、耐久性もちょっと物足りないよねー。 思いっきり魔物とか蹴ったりしても壊れないようにしたいな」

「いっそ木と金属を混ぜた新素材を作ってみるか」


 ライリーが絶賛する横で、ミノリとジンバはそんな風に改良案について話していた。


「俺からしたらもう十分すぎるくらいだが……」

「ジンバさんもミノリさんも職人さんですから、一度作り出したら納得いくものが作れないと気が済まないみたいですよ」

「とりあえず、ライリーはそのままその義足を着けて生活しとくれ。 何か気になった事があれば、その都度言ってくれていい」

「ああ、分かった。 これで皆んなの手伝いとかも捗りそうだよ」


 ライリーがそう礼を言うと、ジンバとミノリはひとまず喜んでくれた事に嬉しそうな表情を浮かべ、新たな作業をするべく鍛冶場へと戻っていった。


「そうしたら、少し歩く練習してみるか」

「お、良いですね」

「あれ、お父さんとシュージ、なにしてるのー?」


 すると、ジンバ達と入れ替わる形で偶然通りがかったリリスが庭にやってきた。


「ジンバさん達が新しい義足作ってくれたから、少し歩く練習とかしようと思ってな」

「わ、本当だ! かっこいいね!」


 そう言われてリリスもライリーの義足が変わっている事に気付き、無邪気な感想を述べた。


「じゃあ、僕もお散歩する!」

「それなら折角ですし、買い物がてら市場にでも行きますか」


 まだライリーはこの街に来て日も浅いので、義足のチェック兼、買い物兼、街の案内でシュージ達は市場に行く事にした。


「おおー、お父さん、普通に歩けてるね?」

「ああ。 前までは杖が無いと安定しなかったが、杖無しでもほぼ違和感なく歩けてるよ」


 一応杖は手に持っているものの、新しい義足はしっかりとライリーに馴染んでいるようで、杖を使わずとも普通に歩く事ができていた。


「本当にジンバさんとミノリには頭が上がらないな……」


 ライリーがふとそう口にするのも無理はなく、ジンバとミノリはライリー達家族が再会できた事へのお祝いで、折角なら一緒の部屋で住めた方がいいだろうと、リリスとクリスが元々使っていた部屋の隣の二部屋の壁をぶち抜き、家族三人で余裕を持って暮らせる部屋を作ってくれたのだ。

 しかも、リリスとクリスが使う武器なんかも現在製作中との事なので、ライリーからするともう本当に感謝してもしきれないくらいの事をしてくれている。


「お、シュージさんじゃないか」

「おや、ダダンさん」


 それから市場への道を歩いていると、この街の代表であるダダンとばったり出くわした。


「ダダンおじさん、こんにちは!」

「お、リリスの嬢ちゃんも一緒か。 それと…… 知らない人もいるな」

「この人は僕のお父さんだよ! 色々あって離れ離れになっちゃってたけど、再会できたんだ!」

「ほお、そうなのか。 初めまして。 俺はこの街の取りまとめをしているダダンだ」

「俺はライリーだ。 つい先日からこの街に来て、まだ知らない事ばかりだが、この街は凄く活気に満ちていて良い街だな」

「お、新たにこの街に来た人にそう言ってもらえるのは、俺としては鼻が高いな」


 実際、ヤタサの街はシュージが来る前から中々に栄えてはいたが、シュージが来てから一年と少しで目覚ましい発展をしている。


「リリスの嬢ちゃんと初めて会った時に行った裏路地通りも、良い感じに再開発が進められそうだしな。 まだまだこの街は良くなるぜ」

「そうなんだ!」

「街と共に人も良い感じに変わってってるのも俺としては嬉しい事だ。 リリスの嬢ちゃんも、スリなんかしてた時よりもよっぽど良い顔するようになったな」

「……スリ?」

「あっ」


 ダダンのリリスがスリをしていたという発言に、ライリーは驚き、リリスの方を見た。


「あれ、知らなかったのか?」

「ああ、初耳だな」

「え、えっとね、お父さん? 僕、お母さんが倒れた時に騙されてスリしちゃって……」

「そうか…… ちゃんと反省はしたんだな?」

「うんっ。 お母さんにもうすっごい怒られた……」

「はは、そうか。 ならパパからは特に言う事ないよ。 そうさせたのは俺のせいでもあるからな…… リリスにそんな事二度とさせないで済むよう、俺も頑張らないと」

「この街の代表の俺としても、子供がそんな事しないで済むよう、色々と福祉やら警備やらの体制を整えないとな。 それじゃ、俺は仕事があるから行くわ! またな!」


 そうダダンは言うと、足早に仕事先へと向かっていった。


「僕達も行きましょうか」

「ああ」

「うん!」


 それからシュージ達も目的地の市場に向かい、色々と買い物をしたり、それを終えたら少し街の重要な施設を見て回ったりもしていった。

 それを見たライリーは、改めてこの街の良さを認識し、父親と共に過ごせてリリスもとても楽しそうにしてくれていたので、来て良かったなと内心思うシュージなのであった。

 なお、ライリーの義足はそれなりに歩いたが特に問題は起きず、ライリー本人も非常に満足していた。

 だが、作った職人達は全く満足しておらず、その後も定期的に改良がなされていくのだが、それはまた別のお話。
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