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#72 蒼天の風に帰ろう
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「では、俺たちはこれで。 今回も世話になった」
「こちらこそ、とても有意義な時間でした。 またいつでもお待ちしております」
潮騒の花の前で、ここへ来た時同様、ジルバートとパナセアが握手をしていた。
沿海州での長いようで短かった1週間が終わり、蒼天の風のメンバーはヤタサの街に帰るため、荷物を持って潮騒の花の入口で見送りを受けていた。
「シュージさん、お世話になったっす! 教えてもらったレシピ、沢山使わせてもらうっすね!」
「次会う時までに、もっと料理の腕を磨いておきます」
「セリアさん、ミドリさん、こちらこそありがとうございました。 また会えるのを楽しみにしています」
「今度来るまで待ちきれないっすねー。 もっと色々教わりたかったっす」
「それなら、僕達がシュージさんの下へ行けばいいんじゃ無いですか?」
「あっ、それ名案!」
「はは、それもいいですね。 いつでもお待ちしてますよ」
同じ冒険者ギルドで料理を任されているセリアとミドリとは、この1週間でかなり仲良くなった。
もし今言っていたように、ヤタサの街に2人が来るなら、今度は海鮮料理以外の料理も色々と一緒に作りたいなと内心シュージは思っていた。
「よし、では馬車で帰る者は馬車に。 シュージ、キリカ、ミノリは転移門だから、また3日後くらいにな」
「はい。 ジルさん達は帰り道、お気をつけて」
「ああ」
今回、シュージはやる人がいない蒼天の風の掃除などをするために、キリカはイザベラに任せきりの事務の仕事を、そしてミノリは装備作りの依頼があるので、先に転移門で帰る事になっていた。
「では、皆さんお元気で」
「はい! また来るっすよー!」
「いつでも待ってます」
それからジル達とは別で、シュージ達も潮騒の花のメンバーに別れの挨拶をして、この街の転移門へと向かっていった。
そんなシュージ達の姿が見えなくなるまで、潮騒の花のメンバーは最後まで手を振って別れを惜しむ声をかけて見送ってくれるのであった。
*
「ただいま戻りました」
「おや、シュージ。 それに、キリカとミノリも。 帰って来たんだね」
それからシュージは、転移門を使ってあっという間にヤタサの街へと帰って来た。
転移門を使うのは初めてだったが、門を通る時に一瞬浮遊感を感じただけで、特に問題なく初めての転移は終わった。
そんなシュージ達を、受付にいたイザベラが出迎えてくれた。
「どうだった? 沿海州は」
「いやー、本当に楽しかったです」
「そうかそうか」
「イザベラさん、ちゃんと仕事してくれてました?」
「そんな心配しなくとも、ちゃんとやってたよ。 ま、依頼を受けるメンバーがいないから、そんなやる事無かったけどね」
「そうですか。 留守番ありがとうございました」
「そんじゃ、アタシは荷物置いてオジキのとこ行こうかなー。 お土産買って来たし!」
ミノリはそう言って、お土産の一升瓶とおつまみを持って鍛冶場の方へ歩いていった。
「食事とかは大丈夫でしたか?」
「あー、まぁ、不自由はしてなかったよ。 シュージが置いてるレシピ帳があったしね」
蒼天の風の厨房には、シュージがこれまで作ったものや、これから作ろうと思っているもののレシピが書かれたレシピ帳が置いてある。
自由に見てもいいと沿海州に行く前に伝えておいたので、シュージが留守の間はそれを活用してくれていたようだ。
「私もシドもジンバも別に料理ができないわけじゃないから、レシピ通りに作ればそれなりに美味しいものは作れた。 ただ、なんか違うんだよねぇ」
「なにがです?」
「なんか、味とか食感とかの細かいところもそうなんだが、どこか物足りないんだよねぇ。 シュージが作ってくれるご飯と比べると」
前世ではお袋の味という言葉があったように、同じ料理でも、昔からその人の料理をよく食べていると、なんか違うなとなることがある。
今回のイザベラ達もそうだったようで、どうやらシュージの料理が恋しかったらしい。
「イザベラさん、もうお昼は食べました?」
「いや、まだだね」
「では、僕達もまだなので、何か作りますね」
「おや、それは助かるよ。 けど、疲れてないかい?」
「全然大丈夫ですよ。 転移門で帰って来ましたから」
「そうかい。 じゃあ、楽しみにしてるよ」
という事で、シュージは手早くご飯を作る事にした。
折角なら買って来た新鮮な魚料理を作ろうと思い、収納袋からカツオの切り身を取り出した。
昼に誰かが食べようと思っていたのか、ライスも既に炊かれていたので、主食はそれを使う事にする。
ちなみに、今日の朝も潮騒の花を出る前に市場に寄り、その前の日からも大量の海産物を買い込んだので、この先数ヶ月は保つくらいの量が収納袋には入っている。
これで海まで距離のあるこの街でも、美味しい海鮮料理が食べれるようになったので、シュージ的には大満足の遠征だった。
そんな市場で買ったカツオを、最近手に入れたガスバーナーのような魔道具で炙っていく。
しっかりと表面から香ばしい匂いが出てくるぐらいまで炙ったら、それをお刺身サイズに切り分けて、スライスした玉ねぎを大量に並べたお皿に盛り付け、上から手作りのポン酢をかけたら、カツオのたたきの完成だ。
あとは味噌汁も手早く作り、集まって来たメンバーに出来た料理を渡していく。
「おお、シュージ。 1週間ぶりじゃな」
「お疲れ様です……」
「ジンバさん、シドさん、1週間ぶりです」
「これは向こうで買って来た魚か?」
「はい。 沢山海産物を買って来ました」
「いただきますね……」
早速皆んなで出来立てのカツオを口に運ぶと、独特の風味と旨味が口の中に広がり、さっぱりとしたポン酢と玉ねぎと一緒に食べると、パクパク食べれてしまうくらいには食べやすい仕上がりになっていた。
「やっぱり美味いの、シュージの飯は」
「魚料理もこんな美味しく作れるんですね……」
「はは、そう言ってもらえて良かったです」
1週間ほど離れていただけだったが、やはり蒼天の風で仲間達と食べるご飯は何だかいつもより美味しく感じられた。
それは留守番していたイザベラ達や、シュージと一緒に沿海州に行っていたキリカやミノリも同じだったのか、皆んな笑顔でそれぞれこの1週間何をしていたのかを語り合いながら、美味しい食事に舌鼓を打つのであった。
「こちらこそ、とても有意義な時間でした。 またいつでもお待ちしております」
潮騒の花の前で、ここへ来た時同様、ジルバートとパナセアが握手をしていた。
沿海州での長いようで短かった1週間が終わり、蒼天の風のメンバーはヤタサの街に帰るため、荷物を持って潮騒の花の入口で見送りを受けていた。
「シュージさん、お世話になったっす! 教えてもらったレシピ、沢山使わせてもらうっすね!」
「次会う時までに、もっと料理の腕を磨いておきます」
「セリアさん、ミドリさん、こちらこそありがとうございました。 また会えるのを楽しみにしています」
「今度来るまで待ちきれないっすねー。 もっと色々教わりたかったっす」
「それなら、僕達がシュージさんの下へ行けばいいんじゃ無いですか?」
「あっ、それ名案!」
「はは、それもいいですね。 いつでもお待ちしてますよ」
同じ冒険者ギルドで料理を任されているセリアとミドリとは、この1週間でかなり仲良くなった。
もし今言っていたように、ヤタサの街に2人が来るなら、今度は海鮮料理以外の料理も色々と一緒に作りたいなと内心シュージは思っていた。
「よし、では馬車で帰る者は馬車に。 シュージ、キリカ、ミノリは転移門だから、また3日後くらいにな」
「はい。 ジルさん達は帰り道、お気をつけて」
「ああ」
今回、シュージはやる人がいない蒼天の風の掃除などをするために、キリカはイザベラに任せきりの事務の仕事を、そしてミノリは装備作りの依頼があるので、先に転移門で帰る事になっていた。
「では、皆さんお元気で」
「はい! また来るっすよー!」
「いつでも待ってます」
それからジル達とは別で、シュージ達も潮騒の花のメンバーに別れの挨拶をして、この街の転移門へと向かっていった。
そんなシュージ達の姿が見えなくなるまで、潮騒の花のメンバーは最後まで手を振って別れを惜しむ声をかけて見送ってくれるのであった。
*
「ただいま戻りました」
「おや、シュージ。 それに、キリカとミノリも。 帰って来たんだね」
それからシュージは、転移門を使ってあっという間にヤタサの街へと帰って来た。
転移門を使うのは初めてだったが、門を通る時に一瞬浮遊感を感じただけで、特に問題なく初めての転移は終わった。
そんなシュージ達を、受付にいたイザベラが出迎えてくれた。
「どうだった? 沿海州は」
「いやー、本当に楽しかったです」
「そうかそうか」
「イザベラさん、ちゃんと仕事してくれてました?」
「そんな心配しなくとも、ちゃんとやってたよ。 ま、依頼を受けるメンバーがいないから、そんなやる事無かったけどね」
「そうですか。 留守番ありがとうございました」
「そんじゃ、アタシは荷物置いてオジキのとこ行こうかなー。 お土産買って来たし!」
ミノリはそう言って、お土産の一升瓶とおつまみを持って鍛冶場の方へ歩いていった。
「食事とかは大丈夫でしたか?」
「あー、まぁ、不自由はしてなかったよ。 シュージが置いてるレシピ帳があったしね」
蒼天の風の厨房には、シュージがこれまで作ったものや、これから作ろうと思っているもののレシピが書かれたレシピ帳が置いてある。
自由に見てもいいと沿海州に行く前に伝えておいたので、シュージが留守の間はそれを活用してくれていたようだ。
「私もシドもジンバも別に料理ができないわけじゃないから、レシピ通りに作ればそれなりに美味しいものは作れた。 ただ、なんか違うんだよねぇ」
「なにがです?」
「なんか、味とか食感とかの細かいところもそうなんだが、どこか物足りないんだよねぇ。 シュージが作ってくれるご飯と比べると」
前世ではお袋の味という言葉があったように、同じ料理でも、昔からその人の料理をよく食べていると、なんか違うなとなることがある。
今回のイザベラ達もそうだったようで、どうやらシュージの料理が恋しかったらしい。
「イザベラさん、もうお昼は食べました?」
「いや、まだだね」
「では、僕達もまだなので、何か作りますね」
「おや、それは助かるよ。 けど、疲れてないかい?」
「全然大丈夫ですよ。 転移門で帰って来ましたから」
「そうかい。 じゃあ、楽しみにしてるよ」
という事で、シュージは手早くご飯を作る事にした。
折角なら買って来た新鮮な魚料理を作ろうと思い、収納袋からカツオの切り身を取り出した。
昼に誰かが食べようと思っていたのか、ライスも既に炊かれていたので、主食はそれを使う事にする。
ちなみに、今日の朝も潮騒の花を出る前に市場に寄り、その前の日からも大量の海産物を買い込んだので、この先数ヶ月は保つくらいの量が収納袋には入っている。
これで海まで距離のあるこの街でも、美味しい海鮮料理が食べれるようになったので、シュージ的には大満足の遠征だった。
そんな市場で買ったカツオを、最近手に入れたガスバーナーのような魔道具で炙っていく。
しっかりと表面から香ばしい匂いが出てくるぐらいまで炙ったら、それをお刺身サイズに切り分けて、スライスした玉ねぎを大量に並べたお皿に盛り付け、上から手作りのポン酢をかけたら、カツオのたたきの完成だ。
あとは味噌汁も手早く作り、集まって来たメンバーに出来た料理を渡していく。
「おお、シュージ。 1週間ぶりじゃな」
「お疲れ様です……」
「ジンバさん、シドさん、1週間ぶりです」
「これは向こうで買って来た魚か?」
「はい。 沢山海産物を買って来ました」
「いただきますね……」
早速皆んなで出来立てのカツオを口に運ぶと、独特の風味と旨味が口の中に広がり、さっぱりとしたポン酢と玉ねぎと一緒に食べると、パクパク食べれてしまうくらいには食べやすい仕上がりになっていた。
「やっぱり美味いの、シュージの飯は」
「魚料理もこんな美味しく作れるんですね……」
「はは、そう言ってもらえて良かったです」
1週間ほど離れていただけだったが、やはり蒼天の風で仲間達と食べるご飯は何だかいつもより美味しく感じられた。
それは留守番していたイザベラ達や、シュージと一緒に沿海州に行っていたキリカやミノリも同じだったのか、皆んな笑顔でそれぞれこの1週間何をしていたのかを語り合いながら、美味しい食事に舌鼓を打つのであった。
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