マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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#136 剣術大会の予選を観戦

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『さぁー、やって参りました! 将軍家主催の剣術大会! 今年は誰が勝ち上がるんだー!?』

「盛り上がってますねぇ」

「ん、人がいっぱい」


 時刻はお昼過ぎ。

 屋台を切り上げたシュージとネルとアンネリーゼは、屋台で買った昼ご飯を片手に、剣術大会の会場までやって来ていた。

 今は司会の男によるルール説明が行われているところだ。


『今回の参加者は100名だ! これを4つのグループに分け、乱戦を行ってもらう!』

「ふむ、バトルロイヤルなんですね」

『参加者にはそれぞれ、この守りの護符が渡されている! これは一定の攻撃を防いでくれる優れものだが、何度も攻撃を受けたり、威力の高い攻撃を食らうと壊れちまう! で、俺が今立ってるこのフィールドは特殊な結界魔法がかけてあって、この護符を持っていないと入れない! つまり、こいつが壊れると……』


 司会の男がそう言って護符をビリッと破くと、司会の男はポーンっと不思議な力でフィールドから弾き出された。


『おっとっと! って、こんな感じでフィールドから弾き出されて、そいつは失格だ! もちろん、護符を持っててもフィールドから落ちたら失格だから注意しろよ!』

「安全面はちゃんと考えられてるんですね」

「まぁ、そうじゃないと、一般人は観に来れないわ」

「確かに」

『ルールはこんなもんだ! あとは好きに戦ってくれ! 剣術大会とは言ってるが、近接武器ならなんでもOKだからな!』

「なら、シュージも参加できたね」

「まぁ、そうかもしれませんけど、僕はこういうのは大丈夫ですかね」

「参加したら結構良いところまでいけそうだけどね?」

「はは、ありがとうございます」

『それじゃあ早速、第一グループから始めていくぞー!』


 ルール説明も終わり、早速参加者の第一グループに属する者達がフィールドに上がってきて、大きな銅鑼の音と同時に乱戦が始まった。


「おお、見応えありますねぇ」

「護符があるから手加減無用」

「ここまでの乱戦だと、中々戦い方が難しそうね」


 こういった屈強な者達の全力勝負は中々に見応えがあるもので、観客席の者達も応援したり野次を飛ばしたり思い思いに声を上げて盛り上がっていく。

 そんな中、フィールド上では1人、また1人とフィールドから弾き出されていき、最終的には斧を持った大男と短剣を持った小柄な男が残った。


「中々正反対な2人が残ったわね」

「斧持ってる人の方が強そう」


 そして、その2人はジリジリと間合いを測った後、お互いの距離を一気に詰め、最後の交戦を始めた。

 観客の大半はやはり見ただけで強そうだと分かる大男の方が勝つと予想していたが、小柄な男の方はその斧による攻撃をひらりひらりと躱し、ちくちくと大男の守りの護符の残量を減らしていく。


「あら、小柄な方が勝ちそうよ」

「このルールを分かってる戦い方ですね。 前にも出た事があるのかもしれません。 ですが、斧の方も何か狙ってそうです」


 大半の者達の予想とは一転、小柄な男の方に戦局は傾いていた。

 しかし、一瞬の隙をついて大男が突然、小柄な男に足払いをかけた。

 それは斧に意識を割いていた小柄な男からすると完全に予想外で、綺麗に地面に転がされてしまい、そこへ大男の斧による強烈な一撃が振り下ろされた。

 結果、その一撃で小柄な男の護符が壊れ、フィールドに残ったのは大男1人となった。


『勝負ありぃぃーーっ!!』

「「「わぁぁぁぁっ!!」」」

「斧の方が勝ったわね」

「最後の足払いは見事でしたね。 あの体躯からあんな小手先の技が出るとは中々予想できません」

『いやー、見事な戦いだった! そして、興奮冷めやらぬ間に、第二グループの始まりだ!』

「あっ、ディアナいる」

「本当ですね」


 第一グループが終わってすぐに、入れ替わる形で第二グループの者達がフィールドに上がっていった。


『さぁ、第二グループではどいつが勝つんだー!? では、試合開始ぃぃー!!』


 第一グループの興奮冷めやらぬ中、すぐに第二グループの予選が始まった。


「お二人はどう見ますか?」

「ディアナの圧勝」

「まぁ、そうね。 さっきのグループもこのグループも、上位に残るような人達はそれなりに強いだろうけど、ディアナは格が違うわ」

「まぁ、僕もそう思いますねぇ」


 シュージもネルもアンネリーゼも、ディアナがどれほど強いのか直接見たことある訳ではないが、我らが蒼天の風のギルドマスターであるジルバートがその実力を認めているので、ここにいるまだ常識的な強さの者達に負けるとは微塵も思っていなかった。


「でも、普通に紛れて戦ってますね?」

「ディアナのお眼鏡に敵うような人はいないし、適当に楽しんでるんじゃない?」

「本気出したらすぐ終わっちゃうだろうから、気を遣ってるのかも」

「なるほど?」


 シュージ達の予想通り、ディアナは本気を出さずに、向かってくる者だけをさばいていた。

 そして、気付けば残りディアナを含めて5人となったが、ここで戦局が大きく動いた。


「お、囲まれちゃったね」

「へっ、悪いなエルフの姉ちゃん。 全員の利害が一致したみたいだ」

『おーっとぉー! 残った4人がエルフの女性剣士を取り囲んでいるー! どうやら全員彼女を警戒しているようだー!』


 フィールドの真ん中に立つディアナは残った4人に囲まれてしまっていた。

 どうやら、ここまで残れるくらいの猛者には、ディアナの強さが雰囲気で何となく分かるようで、まずは全員でディアナを落とすつもりのようだ。


「いくぜっ!!」

「「「うぉぉぉぉっ!!」」」

「ふふ、判断は悪くないけど、やるなら1番最初に全員でやるべきだったね。 それでも負けないけど」


 ディアナはそう言うと、向かってくる4人を目にも止まらぬ斬撃で迎え撃った。

 その結果……


 ポーンポーンポーンポーンッ


 気付けばディアナ以外の参加者が、全員フィールドの外へと弾き出されていた。


『な、なんとぉっ!? わずか数秒! わずか数秒で取り囲んでいた側の4人が場外失格! 勝者はエルフの女性剣士、ディアナだー!』

「「「わぁぁぁぁっ!!!」」」

「流石ですねぇ」

「ほとんど見えなかった」

「まぁ、当然ね」


 まさに圧倒的な実力を見せたディアナに、観客達は大きな歓声を上げ、ディアナのことを盛大に讃えるのであった。
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