マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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#193 ピュイの誕生日

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「……シュージ、これでいい?」

「お、良い感じですね。 助かりました、ボリーさん」


 現在、夕食の準備をシュージとハンス、そしてそれを手伝いにボリーがやって来ていた。

 普段はシュージとハンスがいれば十分人手は足りてるのだが、今日はピュイの誕生日ということで、いつもより豪華な食事を作っている。

 そのため、いつもより忙しそうにシュージとハンスが動いてたところに、ボリーが手伝いに来てくれた形だ。


「……ピュイには、感謝してる」

「お二人とも仲良いですよねぇ」


 小柄で天真爛漫なピュイと、大柄で口数少なめのボリーは、性格で言うと全くの正反対だが、何でかとても仲が良い。

 主にピュイがボリーに絡みに行くのがほとんどだが、ボリーもそれを快く受け入れている。
 

「ボリー! あーそーぼー!」

「……主役に呼ばれた。 行ってくる」

「はは、行ってらっしゃいませ」


 そして今も、パーティーの主役が被るとんがり帽子を被ったピュイが食堂にやって来て、厨房にいるボリーに声をかけてきた。

 なので、ボリーを快くシュージ達は見送り、ボリーのおかげでかなり工程が進んだので、その後は2人で料理を作っていく。

 そんな作業の横目に厨房の窓から庭の方を見ると、ボリーに肩車されたピュイが、見習い組や若手組、あとコロやミニャ、ナイル達と一緒に庭で楽しそうに遊んでいた。


「楽しそうですね」

「ですねぇ」


 その様子にほっこりしつつ、シュージとハンスはピュイの好物中心の料理を仕上げていった。


「はー、楽しかったー! おぉー! ご飯がいっぱい!」


 それから、沢山遊んだピュイ達が戻ってくる頃には、食堂のテーブルは沢山の料理で埋め尽くされていた。

 今日のメニューはピュイの好物である肉料理が多めで、非常に食べ応えのありそうな並びになっている。


「ピュイ、誕生日おめでとう。 常に明るいお前の振る舞いは、ギルドをとても明るくしてくれている。 今後も期待しているぞ」

「うん! ギルマスありがとー! これからも頑張るよー!」

「20歳だから酒が解禁か。 節度を持って程よく楽しめよ」


 この世界では18歳で成人扱いなので、お酒も18歳から一応飲んでも良い事になっている。

 が、10代の飲酒はあまり良くないという風潮はあるようで、蒼天の風では20歳になるまではなるべく控えろとジルパートがお触れを出してるので、ちゃんとそれを守ってピュイはまだまともに飲酒はした事がなかった。


「これで晩酌に参加できるねー! いつも美味しそうなもの食べてて羨ましかったよー!」

「はは、そうですね。 歓迎しますよ」


 晩酌の参加も基本20歳以下のメンバーはして来なかったので、今日からはピュイも参加できることになった。

 まぁ、仲間外れは可哀想なので、おつまみに関してはお酒関係なく20歳以下のメンバーにもちょこちょこ出した事はあるのだが。


「では、乾杯!」

「「「かんぱーい!!!」」」


 そして、ジルバートの音頭で食事が始まった。


「んー! どれも美味しいー!」


 早速今日の主役のピュイも食事に手をつけ始めたが、どれに手を伸ばしても好物ばかりで、それらを口いっぱいに頬張りながら、今は小さくしている羽をパタパタさせて喜んでいた。


「ピュイさんは本当に美味しそうに食べてくれますから、作り甲斐がありますねぇ」

「だってこんなに美味しいんだもんー! シュージ、これはなにー?」

「それはオーク肉の角煮ですね。 柔らかくて美味しいですよ」

「どれどれー…… ん~! これも美味しいー! お肉なのに、ぷるぷるで柔らかいー!」


 今日の新作として、オークのブロック肉を使った角煮も作ってみたのだが、これもピュイはとても美味しそうに食べてくれた。


「……ピュイ、酒、飲んでみる?」

「おー! 飲んでみよっかなー!」


 と、ここでピュイは初めてのお酒に挑戦する事になった。
 

「……これが、エール」

「ありがとー! ……んくっ。 ぷは! んー、あんまり好きじゃないかも!」


 どうやら、エールの独特な苦味はあまり好きじゃなかったようだ。
 

「……エールは、まだ早いか。 これ、苺の、果実酒」

「んっ! こっちは美味しいー! なるほどー、これがお酒かー!」


 そこまで度数の高いお酒ではないが、それでも初めてのアルコールの鼻から抜けるような感じと、体が少しずつポカポカしてくる感覚は、なんだか自分が大人になったような感覚をピュイにもたらした。
 

「……果実酒、飲みやすいから、飲み過ぎ注意」

「はーい!」


 それからピュイの誕生日会は賑やかに過ぎていき、美味しいお酒と食事をお腹いっぱい食べ、用意したプレゼントをピュイに渡したりと、ピュイにとってはとても幸せな時間が過ぎていった。


「えへへ~、みんらありがとね~」


 その結果、お酒もかなり進み、少し呂律が回らなくなってくるぐらいピュイは酔っていた。


「ん~……」

「……眠い?」

「ちょっと、そうらね~……」

「……酒飲むと、眠くなるタイプもいる」

「ピュイさん、お片付けはやっておきますので、お部屋に戻ってもらって大丈夫ですよ」

「ん~、そうする~…… ボリー、おんぶして~……」

「……了解」


 それからピュイはボリーにおんぶされ、部屋に運ばれていった。


「んふ~、ボリーのせなか、おっきいね~……」

「……ピュイは、軽い」

「むにゃ……」


 もう起きてるか起きてないか分からないくらいふにゃふにゃになったピュイを、ボリーはピュイの部屋に入ってベッドに寝かせていった。


「ボリー、ありあと~……」

「……ああ」

「えへへ~…… ボリー、すきぃ……」

「……!」

「すぅ……」

「……寝言か。 ……おやすみ、ピュイ」


 むにゃむにゃと幸せそうな表情で寝言をこぼすピュイに、ボリーは体が冷えないようにしっかりと布団をかけてあげ、起こさないように静かにピュイの部屋を後にするのであった。
 
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