マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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#200 旨辛回鍋肉

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 ザクザクと野菜を切る音が厨房に鳴り響いていた。

 現在、シュージは昼ご飯作りの真っ最中で、これから使う分のキャベツを一口サイズに切り分けているところだ。

 今日の昼食はカグラとネルだけという少人数なので、折角なら定食形式にしようかなと思っている。

 普段人数が多い時は大皿に盛り付けて、各自で食べたいだけよそってもらうが、こういう少人数の時にはいつもより品目多めで作ったりすることもある。

 もちろん、あまり豪華にし過ぎると、いないメンバーにちょっと申し訳なくなってしまうので、程々にはするが。

 そんな事を考えつつ、シュージはメイン料理に使うキャベツ、ピーマン、オークのバラ肉を一口サイズに切り、にんにくを芯を取り除いて薄切りにしていく。

 それが済んだら、中華鍋で油をしっかり温め、そこへキャベツとピーマンを投入し、水と塩を加えて炒め始める。

 水を加えるのは、そこから発生する蒸気によって野菜全体に火が通せて、熱しすぎて野菜がクタァとなってしまうのを防ぐためだ。

 やはり、野菜を炒めるタイプの料理の仕上がりでは、野菜のシャキシャキとした食感が残ってるか残ってないかで、かなり美味しさが変わってくる。

 なので、野菜のシャキシャキ感を残すためにも色々と工夫は必要なのだ。

 それからキャベツとピーマンに7割方火が通ったら、一旦取り出して中華鍋を綺麗にする。

 そして、先程よりも少し多めの油を注いで温めたら、今度はオーク肉を炒めていく。

 肉全体に油を回しながら、肉の色が変わり、水分がなくなるまで完全に炒まったら、にんにくと豆板醤を加えて、更にしっかり炒める。

 豆板醤はよく炒める事で香りが増し、味に深みが出る。

 なので、ちょっと焦げ付き始めるぐらいにしっかり炒めるのがポイントだ。


「おー、めちゃくちゃ良い匂いするね~」

「おや、カグラさん」


 そんな風に料理をしていたら、カグラがやって来た。


「今日は僕が好きそうな料理やね~」

「そうですね。 ネルさんも辛い料理が食べれますから、少し辛めの料理にしてます」


 豆板醤を入れた時点でそこそこ料理に辛味が付いてきたが、辛い料理が大好物のカグラからするとむしろ好ましいぐらいだし、ネルもカグラほどでは無いものの、辛いものは美味しく食べれるタイプなので、このままでも大丈夫だろう。


「カグラさんは年末帰省したりしないんですか?」

「この前皆んなで行ったから、今年はええかな~。 父さん兄さんは年末年始はむしろ忙しいくらいやし~」


 カグラの父と兄であるカムイとカンナギは、どちらも国の役人であるため、年末年始はむしろ忙しいのだそう。


「シュージはまたナグモに行くのん~?」

「そうですね。 年が明けたら一度ご挨拶に行こうかと」


 以前に一度ナグモを訪れ、将軍のヨシツネから正式に料理指南の依頼を受けているので、年が明けて少ししたらまた行こうと思っている。

 ナグモにはそこでしか手に入らない食材や調味料も沢山あるので、それもついでに買いに行きたいとも思っていたり。


「にしても、良い匂いやね~」

「もうすぐできますよ」


 そんな風にカグラと話しながら中華鍋を振っていたら、豆板醤がいい感じに香りを放ってきたので、甜麺醤、紹興酒、醤油、砂糖を順に加えていって全体をサッと炒めていく。

 豆板醤と違って甜麺醤は炒め過ぎると香りが飛んでしまうので、サッと火を通すぐらいで大丈夫だ。

 そして、そこへ先程痛めたキャベツとピーマンを加えて一気に全体を炒め合わせたら、旨辛回鍋肉の完成だ。

 その回鍋肉を大きめのお皿に盛り付け、横にはもやしのナムルとワカメスープ、ライスを並べれば、満足感のある回鍋肉定食となる。


「ん、もう出来た?」

「ああ、ネルさん。 はい、丁度出来ましたよ」


 出来上がったタイミングでひょっこりとネルも食堂に顔を出してきたので、ネルの分も用意して、3人で回鍋肉定食を食べ始めた。


「ん、辛くてうまうま」

「ネルは結構辛いのもイケる口よな~」

「あんまり好き嫌いは無い」

「良いことですねぇ」

「にしてもこれ、美味いわ~。 肉もそうやけど、野菜がシャキシャキしててええね~」

「喜んでもらえて良かったです。 野菜のシャキシャキ感を出すのは結構コツがいるんですよ」


 水を入れたり、油を纏わせて炒めたりと、色々と野菜をシャキシャキにする方法はあるが、意外とやってみるとこれが中々難しいのだ。

 火を通し過ぎると当然クタクタになってしまうし、逆に通し切れないと生な感じが残ってしまうので、野菜の火入れは結構コツがいる。


「ネルさんは新年の予定とかはもう決めていますか?」

「この前シュージと帰ったから、今年はここで年明ける。 なんか美味しいもの作るんでしょ?」

「そうですね。 気に入ってもらえるかは分かりませんが、いつもとは違う料理を作りますよ」

「それも楽しみだから、残る。 帰ってもおじいちゃんとか教皇様は忙しいだろうし」


 ネルも大体カグラと似たような理由で、新年はこのギルドで迎えるそうだ。


「来年も楽しみ」

「せやね~。 シュージが来てから毎日がより楽しいわ~」

「はは、ありがとうございます」


 そんな風に今日も今日とて美味しいご飯を食べながら、仲間との絆を深めるシュージなのであった。
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