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#234 結局、鮎の塩焼きが至高
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「んー、外はまだ寒いですねぇ」
本日、シュージは蒼天の風の庭で火起こしをしていた。
今日は定期的に訪れる、外で何か焼きたい気分の日で、これから皆んなの昼食分も色々と炭火で焼いていこうと思っている。
毎度のことだが、別に厨房にあるグリルでも炭を焚いて炭火焼きはできる。
だが、こういう寒空の下、温かい火のそばでのんびりと何かを焼くというのは、言葉にできない満足感というか、幸福感があるものなのだ。
これはシュージの感性なので、他人に強要したりするつもりはない。
まぁ、こうしていると、ギルドの仲間達は、またシュージがなんか美味しいもの作ってると思い、誰かしらがやって来ては共に火を囲んだりする事になるのだ。
「にゃ?」
そんな事を1人ぼんやりと思っていたら、早速庭にやってくる者がいた。
「おや、ミニャさん」
それはゾラの従魔のミニャで、なにしてるのー? と言わんばかりにテクテクとシュージの方へと近付いてきた。
「今日は色々と焼いていこうと思いまして」
「にゃ?」
「これですね」
なに焼くの? とミニャが小首を傾げてきたので、シュージは既に厨房で下準備を済ませておいた、鮎とヤマメを取り出した。
どちらも既にぬめり取りや塩振りを行っておいたので、あとは焼くだけとなっている。
串焼きにしようかとも思ったのだが、焚き火の横で地面に突き刺して焼いたりするのはちょっと面倒だし、ああ見えて串焼きというのは結構難しく、身などが崩れてしまいかねないので、今回は網焼きにする事にした。
「にゃー!」
「はは、ミニャさんはお魚好きですよね」
そんな鮎とヤマメを見たミニャは、その目をキラキラと輝かせていた。
というのも、ミニャは魚料理が大好物で、焼き物だったり刺身だったり、魚が使われたものだと、どれもすごく美味しそうに食べてくれる。
もちろん、他の料理も美味しく食べてはくれるが、やっぱり魚料理の時は目に見えて違っていて、ミニャ用のお皿を咥えて持ってきて、お代わりを催促してくるくらいなのだ。
「じゃあ、焼き始めましょうか」
「にゃっ!」
炭の準備も整ったので、川が張り付かないように油を軽く塗った網をセットして、その上に鮎とヤマメを並べてじっくりと焼いていく。
「にゃー……!」
パチパチと音を立てながら少しずつ焼けていく魚達を、ミニャはシュージが持ってきた椅子の上で、更にミーアキャットのように二足歩行の体勢になりながら覗き込んでいた。
「僕も早く食べたいですけど、この待つ時間が楽しいんですよねぇ」
「にゃー」
ミニャも何となくシュージの気持ちが分かるのか、その後もじーっと魚達が焼けていく様子を観察していた。
それからしばらくすると、ポタ…… ポタ…… と魚の脂が炭に落ちていくようになり、表面も少しずつ茶色に焼けてきた。
「よし、こんな感じですね」
「にゃー!」
「折角ですし、焼き立てを一本食べちゃいましょうか。 はい、ミニャさんもどうぞ」
「にゃっ!? うにゃー!」
まさか今貰えると思っていなかったミニャだったが、シュージが紙皿に乗せた鮎の塩焼きをミニャの前に置くと、うにゃうにゃ言いながら一心不乱に食べ始めた。
「にゃー!」
「んー、やっぱり鮎の塩焼きは至高ですねぇ」
これまで色々な魚を焼き物にしてきたシュージだが、なんだかんだ言ってこのシンプルな鮎の塩焼きがトップ3に入るぐらいには好きだった。
そう思うぐらい、焼き立ての鮎の塩焼きは美味しくて、個人的にシュージは鮎のほろ苦い内臓部分がとても好きだったりする。
もちろん好みは分かれる部位だが、この何とも言えない苦味がまた癖になるのだ。
ただ、ここを食べると、お酒が飲みたくなってしまうのがちょっとした問題だったりもする。
「にゃうにゃうー♪」
そして、隣で同じように鮎を食べているミニャも、心底幸せそう尻尾をブンブン振りながら鮎の塩焼きを堪能していた。
なお、こんな可愛らしいミニャも魔物なので、顎の力は相当強く、骨も頭もバリバリ音を立てながら食べていた。
「ふぅ、美味しかったですねぇ」
「にゃー!」
結局、割とすぐに2人は鮎の塩焼きを完食し、シュージはまだ焼いていないものを焼き始めていった。
「にゃ?」
その中で、周りとちょっと違う鮎を見つけて、ミニャがこれはなに?と聞いてきた。
「これは塩を振ってないやつですね。 とりあえず焼いて収納袋にしまっておいて、後日炊き込みご飯に使おうと思ってます」
「にゃ……!」
「はは、そう遠くないうちに作りますから、期待しててください」
「にゃー!」
また自分が好きそうなものを作ってくれるというシュージに、ミニャはごろごろすりすり頭を擦り付けて感謝の気持ちを伝えていった。
その後、今焼いた鮎とヤマメを一本ずつ昼食として皆んなに出したのだが、ちゃっかりミニャは同じ分貰って、昼間と合わせて3本のお魚を食べれて満足そうにしていたのであった。
本日、シュージは蒼天の風の庭で火起こしをしていた。
今日は定期的に訪れる、外で何か焼きたい気分の日で、これから皆んなの昼食分も色々と炭火で焼いていこうと思っている。
毎度のことだが、別に厨房にあるグリルでも炭を焚いて炭火焼きはできる。
だが、こういう寒空の下、温かい火のそばでのんびりと何かを焼くというのは、言葉にできない満足感というか、幸福感があるものなのだ。
これはシュージの感性なので、他人に強要したりするつもりはない。
まぁ、こうしていると、ギルドの仲間達は、またシュージがなんか美味しいもの作ってると思い、誰かしらがやって来ては共に火を囲んだりする事になるのだ。
「にゃ?」
そんな事を1人ぼんやりと思っていたら、早速庭にやってくる者がいた。
「おや、ミニャさん」
それはゾラの従魔のミニャで、なにしてるのー? と言わんばかりにテクテクとシュージの方へと近付いてきた。
「今日は色々と焼いていこうと思いまして」
「にゃ?」
「これですね」
なに焼くの? とミニャが小首を傾げてきたので、シュージは既に厨房で下準備を済ませておいた、鮎とヤマメを取り出した。
どちらも既にぬめり取りや塩振りを行っておいたので、あとは焼くだけとなっている。
串焼きにしようかとも思ったのだが、焚き火の横で地面に突き刺して焼いたりするのはちょっと面倒だし、ああ見えて串焼きというのは結構難しく、身などが崩れてしまいかねないので、今回は網焼きにする事にした。
「にゃー!」
「はは、ミニャさんはお魚好きですよね」
そんな鮎とヤマメを見たミニャは、その目をキラキラと輝かせていた。
というのも、ミニャは魚料理が大好物で、焼き物だったり刺身だったり、魚が使われたものだと、どれもすごく美味しそうに食べてくれる。
もちろん、他の料理も美味しく食べてはくれるが、やっぱり魚料理の時は目に見えて違っていて、ミニャ用のお皿を咥えて持ってきて、お代わりを催促してくるくらいなのだ。
「じゃあ、焼き始めましょうか」
「にゃっ!」
炭の準備も整ったので、川が張り付かないように油を軽く塗った網をセットして、その上に鮎とヤマメを並べてじっくりと焼いていく。
「にゃー……!」
パチパチと音を立てながら少しずつ焼けていく魚達を、ミニャはシュージが持ってきた椅子の上で、更にミーアキャットのように二足歩行の体勢になりながら覗き込んでいた。
「僕も早く食べたいですけど、この待つ時間が楽しいんですよねぇ」
「にゃー」
ミニャも何となくシュージの気持ちが分かるのか、その後もじーっと魚達が焼けていく様子を観察していた。
それからしばらくすると、ポタ…… ポタ…… と魚の脂が炭に落ちていくようになり、表面も少しずつ茶色に焼けてきた。
「よし、こんな感じですね」
「にゃー!」
「折角ですし、焼き立てを一本食べちゃいましょうか。 はい、ミニャさんもどうぞ」
「にゃっ!? うにゃー!」
まさか今貰えると思っていなかったミニャだったが、シュージが紙皿に乗せた鮎の塩焼きをミニャの前に置くと、うにゃうにゃ言いながら一心不乱に食べ始めた。
「にゃー!」
「んー、やっぱり鮎の塩焼きは至高ですねぇ」
これまで色々な魚を焼き物にしてきたシュージだが、なんだかんだ言ってこのシンプルな鮎の塩焼きがトップ3に入るぐらいには好きだった。
そう思うぐらい、焼き立ての鮎の塩焼きは美味しくて、個人的にシュージは鮎のほろ苦い内臓部分がとても好きだったりする。
もちろん好みは分かれる部位だが、この何とも言えない苦味がまた癖になるのだ。
ただ、ここを食べると、お酒が飲みたくなってしまうのがちょっとした問題だったりもする。
「にゃうにゃうー♪」
そして、隣で同じように鮎を食べているミニャも、心底幸せそう尻尾をブンブン振りながら鮎の塩焼きを堪能していた。
なお、こんな可愛らしいミニャも魔物なので、顎の力は相当強く、骨も頭もバリバリ音を立てながら食べていた。
「ふぅ、美味しかったですねぇ」
「にゃー!」
結局、割とすぐに2人は鮎の塩焼きを完食し、シュージはまだ焼いていないものを焼き始めていった。
「にゃ?」
その中で、周りとちょっと違う鮎を見つけて、ミニャがこれはなに?と聞いてきた。
「これは塩を振ってないやつですね。 とりあえず焼いて収納袋にしまっておいて、後日炊き込みご飯に使おうと思ってます」
「にゃ……!」
「はは、そう遠くないうちに作りますから、期待しててください」
「にゃー!」
また自分が好きそうなものを作ってくれるというシュージに、ミニャはごろごろすりすり頭を擦り付けて感謝の気持ちを伝えていった。
その後、今焼いた鮎とヤマメを一本ずつ昼食として皆んなに出したのだが、ちゃっかりミニャは同じ分貰って、昼間と合わせて3本のお魚を食べれて満足そうにしていたのであった。
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