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しおりを挟む第1話 異世界に降り立つ
「……うーん、ここは?」
舘野秀治が目を覚ますと、そこは木漏れ日が差し込む森の中だった。
(おかしい。昨夜は普通に家で寝たはずなのだが……)
秀治はむくりと体を起こし、辺りを見渡す。
だが、景色に見覚えがあるはずもなく、自分の状況をいまいち掴むことができない。
とりあえず、自分の体を確認すると、格好は寝ていた時の長袖長ズボンのジャージ姿で、足は裸足だった。
(体は鍛えているから、裸足に関してはそこまで問題はないが……)
というのも、秀治の身長は190センチ近くあり、筋骨隆々。
顔は彫りが深く超強面と、一見ボディガードや裏稼業の人間にしか見えない風貌をしている。
だが、秀治の本業は街の大衆食堂で働く料理人である。
加えて、アマチュア界隈ではかなり有名な総合格闘家でもあるという、二足の草鞋を履いている男だ。
料理人としての腕もさることながら、格闘技の方でも、大会タイトルをいくつも獲ったことがあるくらい実力者である。
そんな異色の経歴なので、時折テレビや雑誌などの取材を受けたりしたこともあった。
本人は運動不足解消のつもりで取り組んでいるだけで、実はそこまで格闘技にモチベーションはないのだが。
(とりあえず、森を出るために少し歩いてみるか)
ここにいても埒が明かないと思った秀治は、少し警戒しながら森を歩き始めた。
裸足なので、足元にも注意しつつ。
(それにしても、見たことない植物が多いな……ん?)
キョロキョロと辺りを見ながら森を進んでいると、何か爆発音のようなものがかすかに聞こえてきた。
これはもしや人がいるかもしれないと思い、秀治は少し早足で音がした方角へ向かっていく。
すると、次第に爆発音の他にも色々な音が聞こえ始めた。
木々の隙間を抜けて開けた場所に出ると、そこでは剣を持った少年2人と杖を持った少女が、黒色の体毛をした狼5匹に囲まれていた。
「くそ、このままじゃ……」
3人のうち、赤髪で活発そうな顔立ちをしている少年が、焦りを滲ませた声を上げた。
「大丈夫ですか、君達っ!?」
そんな少年達を見て、秀治は咄嗟に彼らに向かって叫んだ。
少年達は秀治の方へと顔を向ける。
「えっ、誰だおっさん!?」
赤髪の少年は狼の行動に警戒しつつ、秀治にそう尋ねた。
(お、おっさん……一応まだ26歳なのだが……)
「って、おっさん丸腰じゃねぇか! 助けが来たもんかと……うわっ!」
しかし、そう口にした赤髪の少年は、その直後に狼の体当たりをもろに食らい、地面に転がされてしまった。
さらに、赤髪の少年よりも少し背の高い茶髪の少年の元にも、狼が迫る。
「うわぁっ!?」
赤髪の少年が倒れてしまったことで、その茶髪の少年は複数の狼に狙われてしまい、防戦一方になってしまう。
「リック様っ、カイン様っ!」
水色の髪の少女が、慌てて倒れた少年達の名前を叫んで、援護をしようと杖を構えた。
だがその瞬間、少女の死角から1匹の狼が飛びかかる。
「待てぇっ!!」
それに対して秀治は、横から全速力で駆け寄ると、思い切り踏み込んで体重を乗せた全力パンチを繰り出した。
「ギャインっっ!?」
その一撃はグシャっと嫌な音を立てながら狼の骨や肉を砕き、狼の体を十数メートルほどふっ飛ばした。
「大丈夫ですか?」
秀治は助けた少女に声をかけた。
「は、はい……ありがとうございますっ」
そこで倒れていた赤髪の少年が声を上げる。
「お、おっさんまだ来てるぞ!」
「むっ? ぐっ!」
狼を1匹倒したのも束の間、秀治を脅威と捉えた狼達2匹が、秀治の両腕に噛み付いてきた。
その鋭い牙で噛みつかれたら、当然かなり痛い。
しかし、格闘家として数多の痛みに耐えてきた秀治は、噛み付いてきた狼を腕の力だけで持ち上げ、ブォンっと振り解いた。
そして、すかさず地面に落ちた2匹の狼の首根っこを掴み、まるでとても軽いものを投げるかのようなスピードで地面に叩きつけた。
何かが砕ける生々しい音が響き、2匹の狼はその動きを止めた。
「キャインっ」
そんな秀治の強さに恐れをなしたのか、残りの狼は森の木々の隙間を通って逃げていった。
「ふぅぅ……」
秀治は溜め息を吐いた。
(野生の凶暴な生物相手だから、手加減なしでやらせてもらったが、この子達を守れて良かった)
「お、おっさんすげえ! ブラックウルフを素手で倒しちまうなんて!」
「本当に助かったぁ……オイラ達だけじゃやられるところだったよ」
赤髪と茶髪の少年達が、土埃を払って立ち上がりながら秀治に賞賛と感謝の言葉を告げた。
「本当に凄かったですっ! ……あ、その腕……」
水色の髪の少女も同じように賞賛するが、途中で秀治の腕に付いた傷痕に気付き、心配そうに声を上げた。
「ん? ああ、大丈夫だよ。僕、体は頑丈だから」
少女が気にしている秀治の腕は、狼に噛みつかれたことで血がタラタラと滴っていた。
(まぁまぁ痛いが耐えられないほどではない)
「私、治しますよっ」
少女の言葉に秀治は首を傾げる。
「え? ああ、応急処置の道具でもあるんですかね?」
「じっとしててくださいね……ヒール!」
少女がそう言いながら秀治の傷口に杖をかざすと、秀治の腕が緑色の光に包まれ、みるみるうちに傷口が塞がり、痛みも薄れていった。
「こ、これはっ……!?」
「反対側も治しちゃいますね」
その光景は、まさしく魔法そのもの。
秀治が驚いているうちに、反対の腕も完治して、治った腕を動かしてみても全く違和感などはなかった。
少女は嬉しそうに口を開く。
「よしっ、治りました」
「君、今のは魔法……ですかね?」
「え? はい、回復魔法ですよ?」
「回復魔法……」
まさかのファンタジー要素に、秀治はかなり驚いていた。
それに、切羽詰まっていてあまり気になっていなかったが、リックと呼ばれた少年の髪は鮮やかな赤色だし、傷を治してくれた少女の髪は綺麗な水色。
おおよそ日本では見たことない髪色だ。
(ここは……もしかして異世界なのか?)
近頃書店に行くと、異世界に転移するライトノベルが置いてあって、そういうものが流行っているという知識は秀治にもあったが、まさか自分が転移するなんて思ってもいなかった。
(だが、そういう者には世界を救うみたいな使命があったりするんじゃないのか? ……ここで考えても分からないか)
「あの、まだどこか痛みますか?」
考え事をしていて顔が険しくなっていた秀治に、少女が心配そうに声をかけた。
「あ、いや、大丈夫ですよ。凄い魔法ですね」
「まだまだ修業中ですから、あんまり深い傷とかは治せないんですけどね」
「ところで、おっさんはこんな所で何してるんだ? 裸足だし、見たこともない格好だし」
赤髪の少年が、秀治に至極真っ当な疑問をぶつけてきた。
「ああ~……」
その質問に秀治は少し考え込む。
(異世界から来たと素直に言って良いんだろうか……? ……いや、今は申し訳ないが誤魔化すことにしよう)
そう考えて、秀治は口を開いた。
「それが……いつの間にかこの森で倒れていたんですよ」
「いつの間にか? うーん、転移門の事故とかでふっ飛ばされたとかかな?」
「それかもしれません」
転移門が何かは分からないが、秀治はとりあえずその勘違いに乗っかっておくことにした。
「行く当てはあるのか?」
「うーん……見知らぬ土地ですから、全くありませんね」
「なら、俺達が拠点にしてる街に行こうぜ! とりあえず、誰かに聞けば、おっさんの境遇も分かるだろうし!」
「それはありがたいです。案内を頼めますか?」
「おう、任せとけ!」
こうして、秀治の異世界(?)生活が始まった。
◇ ◇ ◇
「おお、ここが……」
「ここが、俺達が拠点にしている冒険者ギルドがある、ヤタサの街だぜ!」
少年達の案内で森から1時間ほど歩いて辿り着いたのは、木材や石材で造られた西洋風の建物が立ち並ぶ綺麗な街だった。
太陽の位置的に、現在は昼下がりといったところだろうか。通りには沢山の人が歩いている。
そんな人混みの中には、獣の耳や尻尾が生えた人や、背中から羽が生えた人なんかもいる。
秀治は倒した狼を担いで歩いているため、その中でも一際目立っていた。
通りを眺めて、秀治は改めてここが異世界なんだと実感する。
「すみません、通行料を払ってもらいまして」
通行料を肩代わりしてくれた赤髪の少年リックに、秀治はお礼を伝えた。
「気にすんなって! それに、シュージが肩に担いでるそれを売れば、十分お釣りが来る。その時に返してくれればいいよ!」
「助かります」
この街に来る間、秀治は少年達とお互いについての情報交換を行った。
この世界のこともそれとなく教えてもらったのだ。
その中でとりあえず分かったのは、まず赤髪の少年がリック、茶髪の少年がカイン、水色髪の少女がメイという名前であること、お金の価値が日本とほぼ同じなこと、時間や暦の進み方も日本とほぼ同じなことである。
ちなみに、秀治は「シュージ」と呼ばれることになった。
リック達は冒険者と呼ばれる職業に就いていて、先程倒した狼のような魔物を討伐したりして、生活しているそうだ。
魔物というのは、この世界では基本的に害獣とされている生き物で、使役して働かせることもあるが、野生の魔物は基本的には討伐対象らしい。
そして、リック達はこの街にある冒険者ギルドに所属していて、今回は森にゴブリンという魔物を討伐しに来ていたそうだ。
しかし、なぜかあの場所にはいないはずの狼(名をブラックウルフと呼ぶらしい)に遭遇してしまい、ピンチに陥っていたところ、秀治――シュージが現れたというわけだった。
「本当に、僕がこのブラックウルフの報酬をもらって良いんですか?」
シュージの問いに、茶髪の少年、カインが答える。
「もちろん。オイラ達は何もやってないし」
「私達はゴブリンの報酬もありますし、気になさらないで大丈夫ですよ」
メイもそんな風に言ってくれる。
ちなみに現在、シュージは肩にブラックウルフの死骸を3体分担いでいる。
ブラックウルフの素材は人気らしく、1匹約3万ゴルドで買い取ってくれるそうだ。
街にある大衆食堂で1食食べるのに1000ゴルドかからないくらいらしいので、3万ゴルドは日本円で3万円ほどの価値だ。
「お、見えてきたぜ! ここが俺達が所属してるギルド、蒼天の風だ!」
そう言ってリックが指をさした方向、街の入り口から15分ほど歩いた所にその建物はあった。
「おぉ……大きな建物ですね」
建物は3階建てくらいの高さがあり、一般的な学校の校舎と同じくらいの大きさを誇っている。
表の看板には大きく「蒼天の風」と書いてあった。
(ん? そういえば、看板の文字は異世界のものなのに、普通に読めるな)
見たこともない文字のはずだが、まるで日本語であるかのように読むことができる。
(うーむ、異世界に来た特典のようなものなのだろうか……まぁ、考えても分からないな)
「おーい、シュージ入んないのか?」
看板を見て不思議そうな表情を浮かべるシュージに、リックがそう言ってきた。
「あ、すみません。今行きますね」
シュージはリックの声で我に返り、気を取り直して建物の中へと歩を進めた。
中に入ると、少し進んだ所に受付があり、その手前には掲示板のようなものと、会議で使うような大きな丸机がいくつか置いてある。
今は受付の場所以外には誰もいない。
シュージはとりあえずリック達についていき、受付の場所まで来た。
「キリカ姉、ただいま!」
「あら、リック、カイン、メイ、おかえり。えっと、そちらの方は?」
リックがキリカと呼んだその女性は、恐らく20代前半くらいの若くて小柄な女性で、黒に近い青髪を頭の後ろで纏めていた。
「あ、どうも。舘野秀治と申します。あ、秀治が名前です」
「シュージさん、初めまして。私はこのギルドで受付や事務をしているキリカと申します」
(この世界の人は、「シュウジ」より「シュージ」の方が発音しやすそうだな)
シュージがそんなことを考えていると、リックがまた口を開く。
「キリカ姉、色々あったから聞いてくれよー」
それからリック達は、シュージとの出会いや、シュージがどのような境遇であるかをキリカに説明した。
「えっ、ブラックウルフと!?」
話を聞いていたキリカがそう驚くと、メイが説明を加える。
「私達、森の入り口にいたのに、奥地にいるはずのブラックウルフがいっぱい出てきまして……シュージ様に助けてもらえてなかったら今頃……」
「それは災難だったわね……シュージさん、私達のギルドの新人達を助けていただき、ありがとうございました」
キリカはシュージにそう言って深々と頭を下げた。
「ああ、いえいえ。成り行きでしたからお気になさらず」
「今回の件は異変として他のギルドなどにも伝えておきますね。それで、シュージさんはこれからどうするんですか?」
キリカに問われ、シュージは素直に答える。
「それが、行く当てがなくて困っているんですよねぇ」
「なぁ、シュージ! そんだけ強いなら、冒険者になれば良いんじゃないか?」
リックがそう元気に提案してきた。
「冒険者にですか? ……うーん、ですが、僕はあまり戦うのが好きではないんですよね……」
「えっ、あんなに強いのに?」
「もちろん、やむを得ない時や仕事の時は戦いますが、好き好んで戦おうとは思えなくて……」
「他に何か特技とかはありますか?」
そんなキリカの質問に、シュージはとりあえず自分ができることを答える。
「そうですね……あ、一応料理や家事などは得意ですよ」
「そういうことなら、うちのギルドの用務員として働きませんか? 丁度、この前まで掃除などを受け持ってくれていた方が年齢を理由に退職されたので、新しい方を探していたんです」
「お、それはいいですね。ですが、この場で決めちゃっていいんですか?」
「はい。人事に関しては一任されてますから。私、人を見る目はあるんです」
「そうなんですね。ぜひお願いします」
シュージはキリカの提案に乗っかることにした。
(就職先がこんなに早く決まるとはな。リック達の話を聞くに、かなり良心的なギルドらしいから、大丈夫だろう)
「では、先代の用務員さんが残してくれた簡単なマニュアルがありますので、後でお渡ししておきます。今はとりあえず、そのブラックウルフをなんとかしましょうか」
ずっとブラックウルフを担ぎ上げたままのシュージに、キリカは気を利かせてそう言った。
「……うん、リック達のゴブリン討伐の証明もできたから、依頼達成よ」
続けてキリカはリック達の方を向いて、そう口にした。
「よーし、じゃあ街に遊びに……」
「だめですよ、リック様。この後は武器の手入れをして、食事の準備もするんですから」
リックがウキウキとした様子でそう言うが、メイがピシャリとそれはダメだと言い放つ。
「うえー……そうだった……でも、月末だから大した食材は残ってないぞー?」
「それでどうするのか考えるのもオイラ達の役目だよ」
カインの言葉を聞いたシュージは、気になったことを質問する。
「食事はカイン達が作ってるんですね?」
「うん。冒険者になると野営もあるから、自炊ができた方がいいって言われてる。だから、オイラ達見習いや、野営経験の少ない人が練習がてら作ることになってるんだ」
「では、良ければ僕も食事の手伝いをしていいですか?」
「シュージさんは、本当に料理もできるんですね……」
キリカがそう呟く。
「そうですね。ある程度はできますよ」
「とても助かります。実を言うと私を始め、ギルドのメンバーに料理が凄く上手という人はいないので、ちゃんとした知識を教えていただけると助かります」
「分かりました。あ、もちろん、全部はやらず、練習になるようにはしますので」
「ふふ、シュージさんは気が回りますね。はい、それでお願いします」
異世界初日にして、シュージは就職先を確保したのであった。
◇ ◇ ◇
「蒼天の風」で世話になることになったシュージは、夕食の準備まではまだ少し時間があるそうなので、先にギルド内をキリカに案内してもらっていた。
ちなみに、靴は先程スニーカーのようなものを貸してもらった。
もしもの時のための備品だそうで、使う人はあんまりいないから気にせず使っていいそうだ。
流石にいつまでも裸足というわけにはいかないので、シュージはありがたく使わせてもらっている。
「こちらが鍛冶場や解体場があるエリアです」
そんな中、キリカの案内でギルドの一階にあるかなり広いエリアにやってきた。
そこは色々な道具や大きな釜などが置いてあり、熱気に満ち溢れた場所だった。
そのエリアの一角に、小柄なキリカよりもさらに低い身長ながら、筋骨隆々としていて、立派な茶色の髭をたくわえた逞しい男性がいた。
「ジンバさん、お疲れ様です」
「む? おお、キリカか。どうした?」
その男性はジンバという名前らしく、キリカに声をかけられると、座っていた椅子から立ち上がってこちらに体を向けてきた。
「魔物の解体を頼みたいのと、今日から新しい用務員さんが入ることになったので、紹介しに来ました」
「シュージと申します。よろしくお願いします」
シュージはそう言って、ぺこりと頭を下げて挨拶をした。
「そうか。儂はジンバという。このギルドの鍛冶場や解体場の責任者じゃ。それにしても、お主は戦闘員じゃないのか?」
挨拶と共に、そんな至極真っ当な質問をジンバは投げかけてきた。
「そうですね、あんまり戦いは好きではなくて……」
「ふむ? ガタイはいいのにの? まぁいい、その肩のやつはこっちに置いとけ」
「あ、はい」
言われた通りシュージは、ブラックウルフの死骸を指定された場所に降ろした。
「ほう、こいつは凄いの。ブラックウルフが殴り殺されておる。本当に戦闘員じゃないのか、お主?」
「あはは……まぁ、もし戦闘が必要ならば頑張ります」
苦笑いするシュージを見て、キリカが口を開く。
「大丈夫ですよ、シュージさん。もしかしたら非常時にはお願いするかもしれませんが、戦いを好まない人には、無理強いはしませんから」
「そう言ってもらえると助かります」
「まぁ、用務員が来てくれるのは助かる。前の爺さんが辞めてから掃除が面倒での」
ジンバのそんな言葉通り、鍛冶場はテーブルや床に色んなものが転がっていて、掃除のしがいがありそうな状態になっていた。
「任せてください。体力と丁寧さには自信がありますので」
「頼もしいの。ブラックウルフの報酬は後で振り込んどくぞ」
どうやらこのギルドでは、依頼や討伐報酬、そして給料は各自の口座に振り込んで管理するシステムらしい。
「あれ、そういえばミノリさんはいないんですか?」
キリカが知らない名前を出しながら、ジンバにそう尋ねた。
「ああ、あいつは欲しい鉱石があると言って、ダンジョンに行った。数日は帰ってこんな」
知らない名前が出たことで、シュージはジンバに質問をする。
「そのミノリさんというのはどちら様でしょう?」
「ここの鍛冶場を使うメンバーの1人じゃ。儂が武器、あやつが防具の製作を主に担当しとる」
「なるほど。そのうち、挨拶したいですね」
「となると、今日は見習い組の3人に、私とジンバさん、あと夜にはギルマスと数人が帰ってくるくらいですね」
キリカの呟きを聞いて、シュージは再び疑問を投げかける。
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