マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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1巻

1-3

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 それからキリカを始め、後から来たメンバーにもたまごサンドは大好評だった。
 誰もマヨネーズは知らなかったため、近いうちにマヨネーズやたまごサンドを商業ギルドに登録しに行くことになった。
 そして、ギルドメンバー全員が、この美味しい朝ご飯に感動したようで、負担じゃなければぜひまた作ってほしいという話になる。
 シュージは全く負担とは思っておらず、自分の分を作るついでなので、その申し出を快く了承した。

 ◇ ◇ ◇

 朝ご飯を食べ終え、まだギリギリ朝と呼べるくらいの時間に、シュージは見習い組の3人とヤタサの街の市場までやってきていた。
 この市場は、大通りの両側に様々な出店が並んでいる。
 食材から装飾品まで、お店によって様々なものが売られていて、見て回るのに相当時間がかかりそうなにぎわいを見せていた。

「活気が凄いですね」

 シュージの呟きにカインが応える。

「そうだね。店によって値段や品質も変わるから、結構お買い物も大変だよ」

 普段は見習い組が、金銭感覚や目利きの訓練を兼ねて、決められた金額でしっかりとした食材を買うように言われているそうだ。
 1週間分の食材を一気に買い込むらしく、シュージ達に渡された金額も相当なものだった。
 体が資本の冒険者が多くいるため、食材はあればあるだけ消費されるそうだ。
 ちなみに、大量の食材を買い込むにあたって、シュージ達には収納袋というものも渡されていた。
 収納袋は入れたものを異空間へ転送し、量にして100キロくらいまで保管することができるらしい。
 魔道具と呼ばれるすぐれ物だ。
 ただ、当然便利なだけあって貴重なもので、収納袋1つで50万ゴルドもするという。
 中にはもっと開口部が大きいものや、内部の時間がゆっくり進むようになるなどグレードの高いものもあるらしいが、その辺りは莫大ばくだいな値段になるので、買うとしても今使っているサイズが一番良いらしい。

「お、ここが俺達がいつも買ってる肉屋だぜ!」

 リックがシュージにそう声をかけた。
 市場をキョロキョロと見渡しながら歩いているうちに、行きつけだという肉屋に到着したのだ。

「おう、坊主達じゃねぇか……って、おぉっ!? な、なんかいかつい兄ちゃんもいるな?」

 肉屋にいた店主のおじさんは、シュージの厳つい風貌を見て驚きの声を上げた。

「あ、どうも。僕は蒼天の風で働くことになったシュージと申します」
「中々すげぇ体してるなぁ」
「はは、恐縮です」
「おっちゃん、いつもと同じ感じの肉で頼む!」
「おう、分かった」

 気を取り直して、リックが店主のおじさんにそう注文すると、店主のおじさんは色々な肉を準備し始めた。

「リック、何の肉を買うんですか?」

 シュージがリックに質問をした。

「えっと、ビッグコッコとグレートバッファローにオークとか!」
「全部魔物の肉なんですか?」
「そうだぜ? シュージは魔物の肉食わないのか?」
「そうですね……魔物を食べる習慣がない所から来まして」

 シュージの言葉を聞いて、今度はメイが口を開く。

「魔物肉は安価で手に入るものも多く、焼いて食べるだけでも美味しいんですよ」
「そうなんですね」

 シュージがさらに話を聞くと、昨日使った塩漬け肉も豚の魔物であるオークの肉から作られたものだった。

(そう言われてみると確かに、何だか地球で売られていた塩漬け肉であるベーコンなどよりも、旨味うまみが強かった気がした)

 そんな説明を受けつつ、シュージがお店の中を見渡していると、店の奥のバケツが目に入った。

「あ、店主さん。その奥のバケツに入ってるのって……」
「ん? ああ、肉を切り分けた時の骨だな。すまんな、見苦しくて」

 店主が気まずそうに言った。

「ああいえ。それも売り物だったりしますか?」
「いや、こいつらは捨てるな。犬のえさぐらいにはなるかもしれんが」
「もし良ければ、譲ってもらうことって可能ですかね?」
「これをか? 全然いいぞ。処分する手間がかからないから、ありがたいぐらいだ」
「ありがとうございます」

 ということで、シュージは沢山の肉と骨を手に入れた。
 かなり鮮度も良く、種類にもばらつきがあるので、これらを使って色々と出汁だしを取ってみようとシュージは考えていた。
 やはり、美味しい食事に出汁は欠かせないので。

(それに、すじ肉もちゃんと料理すれば、美味しく食べられるものもあるだろう)
「シュージ様、それらは一体何に使うのですか?」

 メイが、普通は捨ててしまう部位を手に入れて喜んでいるシュージを見て、不思議そうに尋ねた。

「出汁という調味料のようなものを作るのに使うのですが、知りませんか?」
「ダシ、ですか? 聞いたことないですね」
「これが中々美味しいんですよ」

 質問してきたメイを始め、リックやカインも出汁を知らない。

(この世界には出汁を取るという文化はないのだろうか)

 そんなことを思いつつ、シュージは見習い組達に案内されながら市場を練り歩き、いつもお世話になっているお店を教えてもらったり、シュージが個人的に買いたいと思ったものも、自費でいくつか購入した。
 先日倒したブラックウルフの報酬や、給料の半分が前払いで既に渡されており、ふところにはそこそこ余裕があるのだ。
 中でも掘り出し物だったのは、市場のかなり端っこにあった海産物や干物などを扱う出店で見つけた、乾燥させた海藻かいそう類や煮干にぼしだ。
 それに加え、海沿いの一部の地域で作られているらしい味噌みそ醤油しょうゆ魚醤ぎょしょうなんかもあったので、シュージはかなりの量を購入した。
 この辺りは内陸ということもあり、あまり海産物を食べる習慣がなくて売れなかったらしく、値段もかなりお安くなっていた。
 ただ、日本での価値を知っているシュージからすると、申し訳なく感じるくらい安かったので、ポテンシャルのある食材だということをもっと広めてあげたいなと考えていた。
 レシピ登録という制度を利用して美味しさを広められれば、こんな市場の端っこで細々と商売をしなくて済むかもしれない。
 店は週に1回この時間に出しているそうなので、今度この店の商品で作った軽食でも差し入れてあげようとひそかに思うシュージだった。
 そんなこんなで、有意義な買い物を終え、皆んなで仲良くギルドに帰るのであった。


 第3話 異世界食材

 買い物から帰ったシュージは、キッチンで軽く仕込みをしつつ、ギルド内の掃除に取りかかることにした。
 先程市場で手に入れたオークとビッグコッコ、グレートバッファローの3種類の骨に、お湯で軽く火を通したり、水で洗ったりしてから、それぞれなべに長ネギと生姜に似た野菜と共に放り込み、じっくり弱火で煮込んでいく。
 20分おきくらいにアク取りをしつつ、空いた時間を掃除にてる。
 まずは、ロビーや受付周りを掃除することにして、先代の用務員さんが残してくれたメモを頼りに掃除用具などの準備をしていく。
 ちなみに、服は用務員用の制服があったので、シュージはありがたくそれを着させてもらっている。
 それは前世で清掃員が着ていたようなつなぎの制服で、しかも何着かもらえたので、掃除をする時と料理をする時に着替えれば衛生面もバッチリだろう。
 ということでシュージは、黙々と掃除を始めた。
 バケツとモップを使って床の掃除をし、机などは綺麗な布巾ふきん、床や壁の落ちにくい汚れは雑巾ぞうきんでゴシゴシとこすっていく。
 こういう細々とした作業はシュージの性分に合っていて、格闘技をやっている時なんかよりも心にゆとりを持って取り組むことができていた。

「ただいま帰りましたわ」

 すると、ロビー周りの掃除が一段落いちだんらくしたタイミングで、女性の声が入り口の方から聞こえてきた。
 そちらに顔を向けると、そこには綺麗な金髪を縦ロールにし、吊り目で強気そうな、10代後半くらいの少女が立っていた。

「あら? 見慣れない方がいるわね?」

 そんな少女の問いに、シュージは答える。

「あ、どうも。昨日から用務員として雇われました、シュージと申します」
「へぇ、昨日の今日で掃除なんて殊勝しゅしょうな心がけね。私はアンネリーゼよ。稀代きだいの天才大魔法使いなんだから、敬いなさい?」
「お、アンちゃんお帰りなさい」

 アンネリーゼとシュージが話していると、受付の裏からキリカがひょこっと出てきた。
 すると、アンネリーゼが焦った様子を見せる。

「ちょっと、初対面の人がいるんだからちゃんとアンネリーゼと……!」
「はいはい、依頼は終わった? 1人だったけど、ポカしてない?」
「ふふん、私にかかればちょろいものですわ!」
「そっかそっか、偉いね~」
「ふわぁ……って、頭なでなでするんじゃないわよ!」
「えー、嫌なの?」
「い、嫌とは言ってないですわっ。そんなに私のツヤツヤサラサラな髪をでたいなら、好きにするといいわっ」

 口調や雰囲気からして、ちょっと気難しい子かなと若干思ったシュージだったが、キリカとのやり取りを見ていると、何だか微笑ほほえましい気持ちになった。

「全く……シュージも、気軽に私をなでなでとかしちゃダメですわよ!」

 アンネリーゼの言葉に、シュージは少し戸惑いながら答える。

「それはしませんが……」
「その大っきい手でなでなでとか、ダメですわよ!」
「は、はい?」

 そう言い残すと、アンネリーゼはギルドの階段を駆け上がっていった。

「えっと、どういうことなんでしょう?」
「ふふ、可愛いでしょう? アンちゃんはめられたがりなんです。今の言葉も、本心ではシュージさんの大っきな手でわしわし撫でて褒めてほしいってことですよ」

 アンネリーゼの気持ちをキリカがそう代弁する。

「な、なるほど?」
「アンちゃんはまだまだ若いのに、魔法使いとしての腕と才能は特別高いんです。このギルドでも一番と言っていいくらい。……でも、ちょっと過去に色々あって、素直に甘えられない難しい子なんですよ。だから、アンちゃんのことは存分に甘やかしてあげてください」
「ふむ……分かりました」

 キリカの言葉にシュージは素直に頷いた。

「多分、泊まりがけでの依頼で疲れてると思いますから、まずは美味しい昼ご飯とかでねぎらってあげるといいかもしれませんねっ♪」
「はは、そういうことなら任せてください。沢山食材がありますから、昨日よりも手の込んだものを作れると思います」
「それは私も楽しみになっちゃいますね」

 丁度掃除も一段落したということで、早速シュージは昼ご飯を作ることにした。

 ◇ ◇ ◇

「あ、シュージ様。お昼ご飯の準備ですか?」

 シュージが昼食を作ろうと厨房に向かうと、食堂にいたメイに声をかけられた。

「そうですね、今からしようかと」
「手伝いますよ」
「助かります。リックとカインはいないんですかね?」
「2人は前衛職なので、ジル様に稽古を付けてもらってます。私は魔法の座学をしてました」
「皆さん頑張ってて偉いですね」

 シュージが褒めると、メイは嬉しそうな表情を浮かべる。

「えへへ……えっと、今日は何を作るんですか?」
「折角色んな出汁が取れたので、今回は鶏ガラスープを使った料理を作ろうかと」
「鶏ガラスープ、ですか? あ、この沢山の大鍋の中にある?」
「そうです。ちょっと味見してみましょうか」

 シュージは大鍋のふたを開け、鶏ガラスープを小さな皿に少しそそぎ、メイに差し出した。

「良ければ飲んでみてください」
「はいっ。……んっ! 凄い美味しいスープです!」
「うん、かなり美味しいですね」

 今回、シュージは鶏っぽい見た目だというビッグコッコのガラから出汁を取っていた。
 魔物食材は地球の食材に比べて旨みが強い傾向があるようで、それはビッグコッコの骨から出る旨味も例外ではなかった。
 鶏ガラスープを味わっていたメイが口を開く。

「これ単体でも美味しいですけどね?」
「まぁ、そうですね。ですが、これは色んな料理に使えるんですよ。そうしたら、メイは白菜……こちらではホワイトリーフでしたね。それを洗って切っておいてもらえますか? 白くて硬い部分はちょっと細めに、柔らかい葉っぱの部分はざく切りでお願いします」
「分かりました」

 シュージがメイにそう言いながら渡したホワイトリーフは、形は白菜そのもので、葉先が緑色からオレンジ色へとグラデーションになっているのが特徴的な野菜だ。
 メイにそのホワイトリーフを切ってもらっている間に、シュージは大鍋の鶏ガラスープを網目の細かいざるでこし、大きめのボウルに移した。
 そして、薄切りのオーク肉を取り出し、軽く塩胡椒で下味を付けて、一口大にカットしたらフライパンで焼いていく。
 オーク肉に火が通ってきたら、メイに切ってもらったホワイトリーフを、まずは芯の硬い部分から入れ、硬い部分が柔らかくなってきたら、葉の部分も入れる。
 追加で今朝市場で買ってきた、地球でいうところのエノキタケに似たホソダケというキノコをバラして入れていく。
 ホソダケの見た目はシュージが見慣れているエノキタケとほぼ同じで、軸の部分が少し黄色がかっているのが特徴的だ。
 味の特徴も買う時に聞いたが、エノキタケと大差なさそうだったので、そのまま使っていく。

「よし、そうしたらメイ。調味料を入れていきますよ。まずは料理酒をざーっとかけてみてください」
「えっと、どれくらいですか?」
「細かな量はちょっと秘密にしますね。料理をする時に、目分量で入れるというスキルは便利なので、感覚を養っていきましょう。もしそれ以上はダメだという時はちゃんと止めますから」
「分かりましたっ!」

 シュージには見習い組達に料理を教えるという役割もあるので、今回メイには目分量で調味料を入れてみてもらった。

「うーん、これくらいですかね?」
「うん、悪くないですよ。ただ、今回の料理だと少し多めに入れたいので、これくらいですかね」

 シュージは追加で料理酒を入れた。

「難しいです……」
「はは、そうですね。まぁ、困ったら気持ち少なめに入れるのをおすすめします。後から足すのはいくらでもできますから」
「なるほどっ」

 その後もメイに目分量のことを教えつつ、酒とごま油、そして鶏ガラスープをフライパンに投入していった。

「よし、いい感じですね。そうしたら仕上げに……」

 シュージがフライパンに液体を投入しようとすると、メイが質問をする。

「シュージ様、その白い液体は?」
「これは水で溶いた片栗粉ですね」
「片栗粉を水で……どういう意味があって使うんですか?」
「あれ、こちらではあんかけや唐揚げなどはあまり作りませんか?」
「うーん、どっちも聞いたことがない料理ですね」
「そうなんですね。まぁ、不味まずくはならないので安心してください」

 メイとそんな会話をしつつ、フライパンに水溶き片栗粉を流し入れて、ダマにならないように混ぜ合わせていく。
 ここまでの調理で、ホワイトリーフから出た水分や鶏ガラスープが水溶き片栗粉と混ざり合い、とろっとしたあんに徐々に変化していった。

「わぁ……とろとろしてます」

 フライパンの中を見て、メイがそう声を上げた。

「これで完成ですね。味見してみましょうか?」
「いいんですか?」
「味見も調理した者の特権ですよ」
「ふふ、そうですね」

 完成したオーク肉とホワイトリーフのあんかけを小鉢こばちによそい、シュージとメイははしでそれらを口に運んだ。
 オーク肉とホワイトリーフの旨味があんと一緒に口の中にふんわりと広がり、シャキッとしたホソダケの食感もまたいいアクセントになっている。

「ん~っ! 凄い美味しいですっ!」
「上手くできてますね。これは米が欲しくなるな……」
「コメ、ですか?」
「はい。僕の故郷ではパンに並ぶ主食だったんです。白くてつぶつぶとした柔らかい食感の食べ物で……」

 シュージの説明を聞いて、メイが思いついたように言う。

「ああ、ライスのことですかね?」
「えっ、あるんですか?」
「全く同じかは分かりませんけど、私の故郷とか、他にも食べる所はありますよ。あんまりメジャーじゃなくて、この辺りでは家畜の餌として売られてますね」
「それはぜひ手に入れたいですね……!」
「私も久しぶりに食べたいですね。言われてみれば確かに、パンよりもライスの方が合いそうです」
「何ならこの後、買いに行ったっていいですね」

 思わぬ嬉しい情報に、シュージの行動欲が早くも刺激されていた。

「シュージ様、朝から動きっぱなしですけど、疲れないんですか?」
「これぐらいなら全然平気ですよ。むしろ、新しい発見が多くてとても楽しいくらいですから」
「そうですか、それなら良かったです」

 その後、デザートにりんごを切って、食べたい人はパンも食べられるようにして、出来た料理達を食堂のテーブルに運んでいった。
 その頃には、今ギルドにいる人達が、アンネリーゼ以外全員集まっていた。

「おや、皆さん早いですね」

 シュージの呟きに、メイが笑いながら答える。

「もう皆んな、シュージ様の料理にゾッコンみたいですよ」

 それから各自、自分が食べる分のあんかけを大皿からよそってもらっていたところで、アンネリーゼも食堂にやってきた。

「あ、あら? 何でこんなに人が集まってるのかしら?」

 戸惑いの声を上げるアンネリーゼ。
 その姿を見つけたキリカが声をかける。

「あっ、アンちゃん!」
「な、何よキリカ、そんなにニコニコして……」
「アンちゃん、シュージさんの料理はとっても美味しいんだよ! 早く食べてみて!」
「シュージの料理? まぁ、分かったわ」

 アンネリーゼはよく分からなそうな表情を浮かべていたが、言われた通りオーク肉とホワイトリーフのあんかけをよそい、キリカの隣に座った。

「見たことない料理ですわね……なんだかとろとろしてて……」
「これ、すっごい美味しいよ、アンちゃん!」
「そ、そんなにですの? では、私も……」

 アンネリーゼは上品にナイフとフォークを使って、オーク肉とホワイトリーフを口に運んだ。

「……! まぁ、これは……本当に美味しいですわ」

 それを見ていたシュージが口を開く。

「お気に召して良かったです」

 アンネリーゼはシュージに質問をする。

「このとろとろしたものは何なのかしら?」

 アンネリーゼのそんな質問にも、シュージは丁寧に答えていく。

「それは水で溶いた片栗粉を使ったあんというものです。それをかけているからあんかけと呼びますね」
「あんかけ……ふふ、なんだか親近感が湧く名前ですわね」

 実際、先程キリカがアンネリーゼをアンちゃんと呼んでいて、それを聞いてあんかけ食べたいと思ったから作ったというのは、シュージの心の中に留めておいた。

「とても美味しいですわ、シュージ」
「ありがとうございます」

 そんな風に言ってくれたアンネリーゼを始め、他のメンバーにもあんかけはとても好評で、余分に作っておいた分もあっという間になくなったのであった。

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