マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

文字の大きさ
379 / 438
連載

#322-2 実食、ヨルムンガンド②

しおりを挟む
「できましたよー」


 ヨルムンガンドの肉を使った昼食も滞りなく完成し、シュージは出来上がったものをテーブルまで運んでいった。

 そのテーブルには早速バルジャン達も座り、シュージが真ん中に置いた皿に自然と目を向けていく。


「おお、こりゃすげぇ! 本当に料理か?」


 バルジャンが思わずそう声を漏らすのも無理はなく、テーブルの真ん中に置かれた大皿の上には、純白のキラキラと輝くヨルムンガンドの肉がまるで花びらのように盛り付けられており、芸術品と言われても疑わないくらい輝いていた。

 それから人数分のライスや味噌汁、サラダなんかも運ばれてきて、食事の用意は完了した。


「まずはそのまま食べてみてください」

「ああ、分かった」


 味見をしたシュージはヨルムンガンドの肉が塩胡椒だけでも十分美味しい事を知っているので、まずはそのまま食べるのをおすすめした。

 それを受けた面々は、大皿からヨルムンガンドの肉を数切れ取り皿に取り、まずは一切れ口に運んでいった。


「おおっ……! 美味いなぁ……!」


 すると、ぷりぷりとした食感と共に、口の中にヨルムンガンドの肉の旨みがこれでもかと広がり、思わずバルジャンからも感嘆の声が漏れていた。


「お肉も柔らかいけど、なんか周りがぷるぷるしてるね?」


 ヨルムンガンドの肉を取ってきた張本人であるディアナも、非常に幸せそうな表情を浮かべていた。
 

「それは片栗粉を塗し付けたからですね。普通は鶏肉を使って作る、水晶鶏という料理があるんですけど、それと同じ作り方ですね」


 言うならば水晶蛇とでも言うべきその料理は、ヨルムンガンドの肉の旨みや水分がぷるぷるした膜のおかげで外に逃げておらず、肉本来の旨みと柔らかさがこれ以上ないくらい楽しめる仕上がりとなっていた。


「そうしたら、お好みでこちらのタレもどうぞ」


 それから皆が何枚かそのまま食べたところで、シュージ特製のポン酢ベースでねぎやごまと合わせたタレが出てきて、それをかけて食べると、しっかりとした味と風味が加わり、また違った美味しさが楽しめるようになった。


「ライスにサラダにこの味噌汁? も美味いな!」


 もちろん、味噌汁とサラダもちゃんと作っているので、それらも美味しいし、タレをかけた後だとかなりライスが進む味になったので、ライスの消費量もどんどん増えていった。

 その結果、大皿にかなりの量載っていたヨルムンガンドの肉はあっという間に完売し、全員満足そうな表情を浮かべながら食後に出てきた緑茶を飲んで一休みしていく。


「いやー、マジで美味かったな! お前ら毎日こんないいもん食ってんのかよ」

「毎日どころか毎食だね」

「戦闘狂のディアナに気分屋のルナが留まる理由がわかったわ。 羨ましいこって」

「前より戦闘衝動落ち着いたもーん」

「私も最近は結構働いてる……」


 バルジャンの言葉に、ディアナのとルナはそんな風に返した。
 

「美味い飯は日々の活力になり、心に余裕を持たせてくれると、俺たちはシュージに教えてもらった」

「シュージ様々だねー」

「ん、これからもよろしく…… 特に甘い物……」

「はは、そう言ってもらえて何よりですよ」

「シュージはすげー奴だな?」


 この世界でも指折りの実力者達が、こぞってシュージの事を認めている姿にバルジャンは驚くとともに、確かに先ほどのような美味しい料理が毎食出てくる場所には、自分も現役だったら留まりたくなるだろうなと内心思うのであった。
しおりを挟む
感想 256

あなたにおすすめの小説

隠れ居酒屋・越境庵~異世界転移した頑固料理人の物語~

呑兵衛和尚
ファンタジー
調理師・宇堂優也。 彼は、交通事故に巻き込まれて異世界へと旅立った。 彼が異世界に向かった理由、それは『運命の女神の干渉外で起きた事故』に巻き込まれたから。 神々でも判らない事故に巻き込まれ、死亡したという事で、優也は『異世界で第二の人生』を送ることが許された。 そして、仕事にまつわるいくつかのチート能力を得た優也は、異世界でも天職である料理に身をやつすことになるのだが。 始めてみる食材、初めて味わう異世界の味。 そこは、優也にとっては、まさに天国ともいえる世界であった。 そして様々な食材や人々と出会い、この異世界でのライフスタイルを謳歌し始めるのであった。 ※【隠れ居酒屋・越境庵】は隔週更新です。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。