子供の姿で転生したパティシエ、異世界で甘くて幸せな生活を送る。〜調味料や料理器具を生み出す力で、食文化を発展させます〜

かむら

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#6 鑑定、そして異世界2日目へ

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 夕食を済ませ、食器などの片付けも済んだところで、カスミ達は一度ソファに集まった。


「じゃあ、カスミちゃんのスキル見てくよ~……」

「お願いしますっ」


 そこでカスミのスキルをフィオの鑑定スキルで調べる事になっており、早速フィオはカスミの顔をジーッと見つめてきた。


「ふんふん~……」


 ちなみに、フィオの鑑定スキルは見たいものだけを見るようにする事もできるので、今回はカスミのスキルと魔力の量を鑑定で確かめる手筈となっている。


「どんな感じだ、フィオ?」

「スキルの名前は食の女神デメテル…… カスミちゃんが記憶している調味料と調理器具を作り出す能力だね~……」


 クリスタの問いかけにフィオはそう答える。
 

「ふむ、能力自体は大体想像通りだな」

「消費魔力はものによって変わるみたい~…… 構造が複雑なものとか、もちろん沢山出そうとするとそれだけ魔力を使うね~……」

「その辺は使って感覚掴むしかないな」


 クリスタの言う通り、スキルというのは最初から自由自在に使えるものではなく、どれくらい使うのに魔力を使うのかなどの感覚を掴む事からまずは始めないといけない。
 

「あと、魔力量に関してはかなりの量だよ~…… 水魔法に適正あるから、訓練すれば使えるようになると思う~……」

「えっ、私が魔法を……?」

「その様子だと、魔法も使ったことはない~?」

「は、はい」


 こてんと首を傾げながらそう聞いてくるフィオに、カスミは素直にそう答えた。
 

(まさか私が魔法使いになれるなんて…… 流石にちょっと興味あるかもっ)


 馴染みのないものなので若干の不安はあるものの、地球人としては誰もが一度は憧れを持つであろう魔法使いになれると聞きたカスミは、内心かなりテンションが上がっていた。


「そうしたら、明日以降スキルと魔法を練習しよう。 私も水魔法は使えるからな」

「はい、よろしくお願いしますっ」


 魔法に関してはクリスタがそう提案してきたので、カスミはそれを了承した。
 

「あと、服とか他にも必要なもの買いに行きたいよね!」

「食材も好きなの買ってあげる~…… 美味しいもの沢山作って欲しい~……」


 続けてレネとフィオも明日以降の予定について色々言ってくる。
 

「そ、そんなにしてもらって良いんですか……?」

「カスミちゃんは遠慮しすぎだよー! カスミちゃんだって、私達のために美味しいご飯作ってくれたじゃん? だから私達もカスミちゃんのために色々したいの!」


 色々してもらう事を少し申し訳なく思っていたカスミに、レネは明るくそう伝えてくる。
 

「レネの言う通り~…… 欲しいものあったら、何でも言って~……」

「あのレベルの食事がこれから毎食食べれるなら、私達が何をしようが見返りとしては足りないくらいだしな」


 クリスタもレネもそんな風に言ってくれた。
 

「皆さん…… ありがとうございますっ」


 どこまでも温かいクリスタ達に、カスミはもう感無量といった感じだった。


「それじゃあ、明日も色々する事あるだろうから、そろそろ寝るか」


 そして、色々と話し終えたタイミングでクリスタがそう言ってきた。

 この世界は地球ほど夜でも楽しめる娯楽も無いようで、普段からこのくらいの時間に人々は眠りにつくようだ。

 なので、カスミ達もそれぞれの部屋に戻り、今日のところは寝る事にした。


「クリスタさん、おやすみなさい」

「あ、カスミ、一人で寝るの寂しかったりするか? もしそうだったら、私と一緒に寝てもいいぞ」

「えっ……」


 ただ、カスミが自分に当てがわれた部屋に入ろうとすると、クリスタにそんな事を言われた。

 その提案はカスミにとって、何だか非常に魅力的なものに思えてしまう。


(な、なんかやっぱり、子供の体に精神が少し引っ張られてるのかな……? まだ言うほど夜遅くもないのに凄い眠いし、涙脆いし、褒められると凄い嬉しくなっちゃうし……)


 カスミの中身は30歳のはずなのだが、この世界に来てから明らかに情緒の起伏が大きくなっていた。

 そのせいか、クリスタの一緒に寝るかという提案を聞いて、一人で寝るのは寂しいなという気持ちが沸々と湧いてきてしまう。


「で、でも、クリスタさんに迷惑が……」

「ふふ、迷惑なんて思わないよ。 むしろ、私としても温かい気持ちになるだろうから、お願いしたいくらいだ」

「じ、じゃあ…… お願い、します……!」


 クリスタから改めてそう言われてしまい、断る理由も思いつかなかったので、カスミはクリスタの部屋に入り、一緒のベッドに上がらせてもらう事になった。

 それから先にクリスタがベッドに入り、隣のスペースを空けてくれたので、カスミはおずおずとそこに潜り込んでいく。

 そうして布団を被ると、カスミの頭には一気に眠気が襲ってきた。


「ふぁ……」

「ふふ、眠そうだな」

「そう、ですね……」

「今日だけでも色々あったからな」


 クリスタの言う通り、カスミは今日一日だけでも凄まじい勢いで感情が揺れ動いたし、知らない世界という、いつもとは異なり過ぎる環境にいたせいで、思っていた以上に体には疲労が溜まっていたようだ。


「おやすみ、カスミ。 良い夢を」

「はい…… おやすみ、なさい……」


 そんなカスミの頭をクリスタは優しく撫でながら、慈愛に満ちた表情でおやすみを言ってくれる。

 その結果、安心したカスミはあっという間に意識を手放し、夢の世界へと旅立っていった。



 *



「んぅ……? わっ……」


 窓から入ってくる光によって、カスミは目を覚ました。

 そして、うっすらと目を開けると、目の前にはクリスタの美しい寝顔があり、まるで抱き枕のようにカスミはクリスタに抱きしめられてしまっていた。


(ち、近いっ……! で、でも、抱きしめられてて動けない…… あぁ、クリスタさん、綺麗だなぁ……)


 まだ寝起きで働かない頭ではそんな事を考えるのが精一杯で、その後もしばしカスミはクリスタの芸術品のように綺麗な寝顔をぼんやりと眺めていく。


「ん……? あぁ、カスミ、おはよう……」

「あっ、お、おはようございますっ」


 そうしていると、不意にクリスタが目を覚まし、カスミのことを見て優しく微笑んできた。


「おや…… すまない、肌寒かったのか、無意識に抱きしめてしまっていたようだ」
 
「い、いえ、大丈夫です。 私も温かいので」

(く、クリスタさん、かっこいい系の美人だから、そう言う事言われるとちょっとドキドキしちゃうよー……!)


 カスミが内心慌てているのを知ってか知らずか、クリスタはカスミの頭を優しく撫でてきた。
 

「ふふ、そうか。 だが、動きたかったら全然抜け出してもらって構わないぞ?」

「起こしちゃうかなって……」

「気にするな。 まだ眠かったら二度寝すればいい」

「じゃあ、朝ご飯の準備をするので、動きたいなって……」

「分かった。 ……んっ」

「ふあっ……!」


 そして、そろそろ起きると言うカスミの事を、クリスタは最後に強めに抱きしめた後、カスミの額に優しくキスを落としてきた。


「……おや、顔が真っ赤だぞ? カスミの暮らしていたところでは、こういうことはしないか?」

「す、する所もありますけど、私はあんまりです……」

「そうか。 しない方がいいか?」

「い、いえっ、嫌ではないですっ」

「ふふ、そうか。 ……んーっ、では、私も起きるとしよう」


 そんな朝からドキドキさせられるような出来事があったものの、ベッドから降りたカスミは、クリスタと一緒に乱れた髪を櫛で綺麗にし合ったり、洗面所で顔を洗ったりしていった。

 それを済ませたら、朝ご飯の用意をするべく、キッチンへと向かう。


(朝ご飯、何にしようかな)


 そこではとりあえず冷蔵庫の中を確認して、朝ご飯を何にするかを考えていく。


(うん、ちょっと豪華なトーストにしよ)


 その結果、作りたいものが決まったので、カスミは食パンと卵、ハムにチーズを用意し、まずは食パンの耳だけを残すように真ん中を四角く切り取っていく。

 そうしたら、バターを引いたフライパンに薄切りにしたハムを置き、その上に真ん中が空いた食パンを乗せ、真ん中の空いているスペースに卵を割り入れて塩胡椒を軽く振る。

 さらにそこへ細かく刻んだチーズをかけたら、先程切り取った食パンを元あった場所に戻すように軽く押し込み、卵やハムが焦げない程度に焼いていく。

 ある程度焼けたらひっくり返してもう片面も焼けば、一枚で満足感のあるハムチーズエッグトーストの完成だ。


「相変わらず手際が良いな」

「ありがとうございますっ。 あ、クリスタさん、スキル使ってみてもいいですか?」

「ああ、無理のない範囲でな」

(そしたら、マヨネーズとケチャップ欲しいなっ)


 クリスタに許可をもらったカスミは、スキルを使ってマヨネーズとケチャップを生み出した。

 あとはスティック状に切り分けたきゅうりとにんじんを別皿に乗せ、小皿にマヨネーズを注げば今日の朝ご飯の完成だ。


「こっちの赤いのは使わないのか?」

「そちらはトーストの味変に使ってもらえれば」

「分かった」

「おはよー! いい匂いする!」


 と、丁度朝ご飯が出来たところで、レネがリビングにやってきた。


「ふあ~……」

「あれ、フィオが早起きしてる!?」


 それと同じタイミングでフィオも起きてきたのだが、珍しい事なのかレネが驚きの声を上げた。


「いい匂いで起きた~…… 食べたらまた寝る~……」

「えー、折角起きたんだから起きてなよ」

「ふふ。 そうしたら、お二人の分も焼きますね」


 起きてきたレネとフィオの分のトーストもカスミは手早く焼いて、人数分を用意し終えたら、早速皆で朝ご飯を口に運んでいった。


「んっ、これもまた美味いな」

「美味しー! でもこれ、特別な調味料使ってないよね?」

「カスミは凄い~…… 全部安い食材なのに、こんなに美味しいもの作れて~……」

「えへへ…… ありがとうございますっ」


 食べ応えのあるトーストはもれなく全員に気に入ってもらえたようで、カスミは3人からお褒めの言葉をもらえて朝から幸せな気分になった。


「あ、良ければ味変にこちらのケチャップもどうぞ」

「このままでも十分美味しいけど、カスミちゃんが言うなら! ……んー! これも美味しい! 酸っぱいような、甘いような!」


 このトーストは、塩胡椒とハムの塩気だけでも十分美味しいが、ケチャップを少しかけて食べるとまた美味しいもので、カスミに言われた通りトーストにケチャップをかけて食べてみたレネは、その美味しさに幸せそうな表情を浮かべた。

 パンもチーズもハムも卵もケチャップとの相性が良いので、美味しいのはカスミにとっては当たり前と言えば当たり前だが、他の3人にとっては全てが未知の美味しさに感じられるようだ。


「カスミ、この白っぽいのはなに~……?」

「それはマヨネーズです。 野菜スティックに軽く付けて食べてみてください」

「分かった~…… んっ、お~……! これ、美味しい~……! 野菜あんまり好きじゃ無いけど、これなら食べられる~……」


 そして、今フィオが食べた野菜スティックの方も、マヨネーズに付けて食べるとそれだけで絶品で、どんどん食べたくなってしまう食べやすさがそこにはあった。

 そんな朝から満足感のある食事はあっという間に皆の胃袋に消えていき、活動をするための気力が全員もれなく沸々と湧き上がってくるのであった。
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