子供の姿で転生したパティシエ、異世界で甘くて幸せな生活を送る。〜調味料や料理器具を生み出す力で、食文化を発展させます〜

かむら

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#8 市場でお買い物

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 冒険者ギルドでギルドカードを作ったカスミは、クリスタとレネと共に今度は服屋にやって来ていた。

 その服屋は街の中でもかなり綺麗な通りにあり、中に入ってみても見るからに質の良さそうな服が売られていた。


「よし、服を選んでいくぞ」

「カスミちゃんも欲しいのあったら教えてね!」


 そして、クリスタとレネは今日一番と言っていいくらい気合が入っていた。
 

「は、はい。 でも、ここ結構お高いお店じゃ……」

「まぁ、街の中では一番良い店だな」

「でも別に貴族用って訳じゃないから、そこまで高い訳じゃないよ? ほら」


 そう言ってレネが手に取ったシャツの値札には、前世で言うところのブランド品を取り扱うお店くらいの値段が記されていた。


(う、うーん、確かに凄い高い訳じゃないけど……)

「カスミはこれから毎日毎食あんな美味しい料理を作ってくれるんだから、気にしないでいい」

「そうそう! 昨日の晩ご飯とか食べられるなら、私このシャツの100倍くらいお金出せるよ!」

「あ、ありがとうございます……!」

(自分の料理を評価してもらえるのは凄い嬉しいなっ。 ……よし、あんまり遠慮しすぎもよくないって言われたし、貰った分は美味しいご飯とかでちゃんと返そうっ)


 家族とまで言ってくれているクリスタとレネの厚意を遠慮しすぎるのは良くないと流石のカスミも気付いたので、ありがたく厚意は受け取りつつ、その分ちゃんと家事を頑張ろうと意気込むのであった。

 それからというものの、クリスタとレネは子供服エリアでカスミに似合いそうなものをどんどん手に取り、カスミは試着室でそれを一着ずつ試着していった。


「ど、どうでしょう?」

「おお、可愛いぞカスミ!」

「いいねいいねー! じゃあ次こっちね!」


 カスミももちろん普通の女なので、可愛い服は普通に好きだ。

 ただ、クリスタとレネの熱意がものすごく、どんどん次の服を持ってくるので、それらを試着し終える頃にはカスミはかなりへとへとになってしまっていた。


「うーむ、どれも似合うから全部買いたいな」

「そ、それは流石にもらいすぎですっ」


 クリスタのそんな呟きを、カスミは流石に否定した。

 遠慮しすぎるのは良くないが、遠慮が全くないのは違うと思うので。
 

「んー、じゃあとりあえず1週間違うコーデができるくらいにしとこっか」

(それでも十分多いけど……)


 結局、レネに言われた通り、一週間着回せるくらいの量の服を最後はカスミが決め、クリスタとレネに買ってもらった。

 ただ、クリスタとレネの強い希望もあり、フリフリの可愛らしい服や、もこもこのパジャマも買ってもらう事になった。

 そして、この場でレネのお下がりから、所々に刺繍がされた可愛らしいワンピースに着替えさせてもらい、服屋を後にした。


「これで最低限必要なものは揃えたが、カスミは他に何か欲しいものはあるか?」

「うーん…… あ、それなら、食材や調理器具が売っているお店に行きたいですっ」


 クリスタの質問に、カスミはそう返した。
 

「おー! 行こ行こ! そこで良いもの買って、美味しいもの作って欲しいよー!」


 レネもどうやら大賛成のようで、早く行こうと言わんばかりにカスミの手を引いてきた。

 そんなレネにカスミが付いていくと、活気のある市場に辿り着いた。


「わぁ…… 色々なお店がありますね」

「食材は基本ここで買うよ! 朝一番じゃないからちょっと品揃えは悪いかもだけど、大体なんでもあるね!」


 レネの言う通り、少し周りを見渡すだけでも食材を扱うお店が沢山並んでいて、前世でもスーパーで食材を買ったりするのが好きだったカスミからすると、中々に購買欲をそそられる光景だった。


「カスミ、欲しいものがあったら遠慮なく言ってくれ」

「ありがとうございますっ!」

(家の冷蔵庫にはほとんど何も無かったし、皆さん結構食べる…… おまけにあと2人お家に帰ってくる可能性もあるから、結構買わなきゃかなっ)


 カスミは内心そう考えをまとめつつ、まずは近くにあった肉を売っている店に足を運んだ。

 すると、店の前まで来たカスミに気付いた恰幅のいい店員のおばちゃんが声をかけてきた。


「お、いらっしゃい! 可愛いお客さんと…… おやおや、『ビフレスト』のお二人まで!」

「ビフレスト?」


 どうやらこの店員のおばちゃんはクリスタとレネの事を知っているようだったが、ビフレストという知らない単語が出てきて、カスミは頭にはてなマークを浮かべた。
 

「ビフレストっていうのは私達のパーティー名だな」

「あ、そうなんですねっ」

(やっぱり皆さん有名人なんだなぁ……)

「それで、うちに来たって事は肉が欲しいんだね」


 カスミが改めてクリスタとレネを一目置いた目で見ていると、店員のおばちゃんがクリスタにそう言ってきた。
 

「ああ。 とは言っても、買うのはカスミだが」

「えっ、この小さい子がかい?」

「こう見えてカスミちゃんは凄い料理が上手いんだよー!」

「いえいえ、そんな……」


 何だかレネによってやたらとハードルが上げられてしまい、カスミはちょっと恥ずかしくなってしまう。

 が、ここは来た目的は肉なので、気を取り直してカスミは店員のおばちゃんに売られている肉について色々と聞いてみた。


「ここにあるのは何のお肉ですか?」

「これはビッグバードの肉で、こっちはバイソンの肉だね」


(どれも魔物のお肉…… でも、見た目は鶏肉に牛肉っぽい。 オーク肉もすごく美味しかったけど身質は豚肉だったから、私でも扱えるかなっ)


 そう結論付けたカスミは、ひとまずオークとビッグバード、バイソンの肉の色んな部位を買ってもらう事にした。


「あと、なにかおすすめとかありますか?」

「そうだねぇ…… 人気どころで言うならこのレッドスネークかな」

「スネーク…… 蛇の魔物ですか?」

「ああ、そうだよ」
 
(蛇肉かぁ…… 美味しいのかな? 前世では食べた事なくて、鶏肉に似てるって言われてたのは知ってるけど)

「……じゃあ、それも少しください」

「あいよ!」


 蛇の魔物の肉という事で、全くの未知の食材だが、おすすめされたという事もあり、レッドスネークの肉も少量購入した。

 それでもクリスタ達+カスミの計6人分の食材なので、かなりの量になった。


「えっと、どうやって持って帰りましょう?」

「私が運ぶから大丈夫だぞ」

「重くないですか?」

「いや、私にはこれがあるからな」


 かなりの量になった肉をどう運ぶのかカスミが考えていると、クリスタがおもむろに腕を振ると、その周りの空間がぐにゃりと歪み、やがて先の見えない丸い穴が出現した。


「わっ、それなんですか?」

「これは『ストレージ』という空間魔法の一つだな。 生物以外の物を異空間にしまっておけて、中の物は時がゆっくり進むから食材も通常より長期間保存できる」

「それは、凄いですねっ」

(地球人だったら誰もが欲しがる魔法だなぁ…… 私も欲しい)


 そう思うカスミだったが、話を聞くに空間魔法はかなり習得が難しいそうで、魔法の知識が豊富でないと使えない魔法だそうだ。

 まぁ、使えたら嬉しいが、無いのが普通の事なので、気持ちを切り替えてクリスタの収納魔法に今買った肉達を放り込んでいった。

 その後も他の店を回り、野菜や乳製品など、美味しいご飯を作るために必要な食材を沢山買い込んでいると、気付けば市場の通りの終わりが見えてきた。

 ちなみに、どの食材も地球のスーパーで買うよりも断然安かった。

 どうやらこの世界は作物もよく育つし、魔物も際限なく生まれてくるようで、食料には困っていないようだ。
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