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第98話 本気のプロポーズ

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「わかりました、ゆっくりお話しくだされ」


洋介のことを教えてくれたおじいちゃん神官

背筋もピンとしてしっかりしていてその眼も真摯に見える、からかったり変なことを言ってるわけじゃないと感じる

深く一礼して出ていったおじいちゃん神官だが、まともな人だったか


「おい!3人がここで話し合いしてる!逃げられないように、わかってるな!」


なんてドアの向こうから聞こえたと同時に牢屋のような鉄棒がガラスのない小窓一斉に現れ、ドアには鎖のような音まで聞こえた


ダメだ、あの爺まともじゃないな


洋介に向かいあう

少し下を向いて目線を合わせようとしない洋介の頬を頭ごと両手でつかんでしっかりと目を合わせる


「ねぇ、なんで、私に黙ってたの?」

「だってさ、僕がどうなるかなんて僕にも分かんないしさ、加護ってさ、良いことばかりじゃないんだよ?」


洋介は加護を得るたびに酷い目にあってきたそうだ

こっちでへそのところで真っ二つにもなったって言っていたのは誇張表現ではなかったか

一つの加護を持ってるだけでも人に祈られるだけならいいが、恐れられることもある


それに寿命


加護を持つものは短命にも長命にもなりうる

だから洋介が結婚すると強い加護を持っている洋介が短命なのか長命なのかはわかんない、わからないが先に死ぬか後に死ぬかのどちらかだとは決まっている

だから私にそんな迷惑をかけたくはないし、私には春樹がいたからよりを戻したほうがまともに生きれるよ


そう言われた


プッツン来た


「洋介、あんた私のこと好き?」

「うん、好きだよ、むぐっ!!!??」

「そう、私もあんたのこと大好きよ」


キスした、私から誰かにキスするなんて初めてだ

春樹とも付き合い始めた頃に春樹の方から「結婚式でロマンチックにしたい」なんて聞いていたからしていなかった

付き合った最後の方ではキスだけじゃなくてホテルに行こうとしていたのは薄々感じていたがあいつは何でもヘタレだった

デート先ですら決められずにいた

言葉でだけヘラヘラと「結婚しよう」なんていってくるが卑怯にも何でも私から主導してくれみたいな態度が出ていてとても嫌だった

なんであんなのと付き合ったんだろう

ちょっと怒りも湧いてきたが顔が真っ赤で慌ててる洋介を見て和む、可愛い


「で、でも、だけど」


ちょっとやつを思い出して嫌だった

あんな男にはなってほしくはない


「決めた、私はあんたのためなら一夫多妻でも許すし、何なら人を集める、そんな私とだけど、結婚してくれますか?」

「い、いいの?だって僕と結婚したらさ」

「いいよ、私は洋介がいなきゃ、もう死んでた」


いや・・言いたいことはそうじゃない


「私は私が思ってるよりもあんたを愛してるみたい」

「・・・・・・・・・・お願い、します」

「よしっ」


もう一度キスして、可愛かったのでおでこにもしてあげた

真っ赤で目を回して固まってる洋介をぎゅっと抱いてそのまま奈美にも聞いてみた

奈美は私のことも洋介のことも好きで最近はずっと洋介に意識してて、でも私にも悪いから身を引くつもりだった

だけど神官さんに私達がこのままだと不幸になると聞いて、いてもたってもいられなかったらしい

結婚してくださいっていうのは私のためや洋介のための自己犠牲か?本当に好きなのか?

そう聞くと自己犠牲ではなく本当に好きと返された


「きゃるく汗の匂いを嗅いだだけでもキュンと来ててってて・・・い、い、いや漂ってきて!自分からクンカクンじゃないかいだわけじゃなくってぇ!!?」


いつもの慌てた奈美だ、だから多分本心なんだろう

奈美の言葉にちょっと洋介の匂いを嗅いで見る、洋介もお風呂に入れられたんだろう、いつもよりも薄い


それに奈美はいつも寝る前や起きた時、ふとした瞬間に私達を想って、ドキッとして、でも私に悪いから辛かったらしい


正直ちょっと複雑だ

だけど、うん、この子なら許す

洋介のためにもなるしこの子も幸せになっていいと思う、いや私が幸せにして見せる


「わかった、洋介、ほら」

「あ、あ、うん」

「元杉神官、私は貴方にドキドキしてて、好きです、け、けけ、結婚してくださイっ!!!!!」

「いいの?」


正直人の告白に立ち会うって勇気がいる

だけど洋介、倒れたままっていうか私が抱いたままだからね


「もう、元杉神官と遥じゃないとだめなんです」

「僕といると早く死ぬかもしれないんだよ?ほんとに良いの」


それにこれは私も関係してる告白だ

いてもいいだろう、奈美は親友だし、奈美が本気なら良い


洋介が自分で自分のことを「早く死ぬかもしれないんだよ?」

なんて言っていて少し泣きそうになる

わかっていて黙ってたんだろうなぁ、大事なことは絶対に隠す子だし


「私とも結婚すれば2人がより長く生きられるかも知れませんね」

「僕は・・黒葉のこと、す、好きだけどさ、まだ部下としか思えてないよ?」


多分この「好き」は「嫌いじゃない」って意味だし異性としてではないと思う

だけど奈美の覚悟がとても嬉しい、無理していないかとも思うけどそうじゃないのはさっき聞いた


「これから私のことも見させてみせます・・・返事は?」

「お、お願いします」


覚悟を決めた奈美カッコイイ!惚れそう!なんて頭をよぎるが茶化さずに見守る

奈美も近づいてきて洋介のほっぺにキスした
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