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はじまりと図書館
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本はハッピーエンドに限る。
バッドエンドだとその日一日嫌な感じが心に張り付く。
だけど、ハッピーエンドの本を読み終えた後の幸福感といったらこの上ない!
通い慣れた図書館の自動ドアが開く。私はこの瞬間が大好きだ。一歩中に入ると、そこには一生かかっても読みきれない程の本が沢山並んでいるのだ。ワクワクする気持ちが、自然と口角を上げる。美女と野獣の野獣が、ベルに図書館をプレゼントした時、きっとこんな気持ちだったんだろうな。
さぁ今日は何を借りようかな?
私はいつも、系統の違う小説を、10冊程借りる。新刊コーナーをチェックし、今週のおススメコーナーを見て、作者順に並んだあ~わの棚の本を目で追ってく。この本前読んだな。この本面白そうだな、とか考えながら本を手に取り、表紙を見たり、出だし辺りを軽く読んだりして、時間をかけながら決める。
今日の戦勝本が決まり、貸し出しカウンターに本を抱えながら向かった。
カウンターには見慣れない司書さんがいた。髪は白くきっちりと7対3で分けていて、丸いメガネを欠けていた。服はお洒落なスーツの上に、この図書館指定の深緑色のエプロンをつけていた。まるで物語に出てくるような「執事」のような雰囲気で、懐中時計とか持ってるのかな?とか、新しい図書館長かな?とか、勝手に想像しながら、重い本をそっとカウンター台の上に置いた。
「貸し出しでお願いします。」
「お預かりします。」声も渋くていい感じだ。私は執事司書さん(こっそりそう呼ぶことにした)がバーコードを読み取りやすいように、本の向きを揃え始めると、「ありがとうございます。」と、にこっと微笑みかけてくれた。もう好感しか持てない。いい人だなぁと思いながら執事司書さんが華麗にバーコードを読み取っていく姿を見守っていた。すると、執事司書さんは、わたしが選んだ覚えのない本を手に取った。
「あれ?その本・・」
「あぁ、『人魚姫』とてもいい本ですよね。」
「そぅ、ですね・・」選んだ覚えがないです、とか、あんまり好きじゃないです、と言うと、執事司書さんが嫌な気持ちになるのではないかと思い、とりあえず借りることにした。まぁ読まなくてもいいし。
「では貸し出し期間は2週間ですね。」執事司書さんは日付の印刷された紙と本を手渡してくれた。
「それと、良かったらこの栞を使ってください。」
「わぁ、かわいいお魚ですね。」ニモだ!と思ったが、心の中で留めた。
「人魚姫の本によく似合うと思います。使ってあげると人魚姫の本も、栞も喜んでくれると思いますよ。」
「ありがとうございます。使わせてもらいますね。」絶対読もう!使おう!この人本が本当に好きなんだなぁ!やっぱいい人~!好感度マックスだよ~!と嬉しい気持ちでいっぱいになりながら、本の入ったバックを担ぎ上げ、自動ドアを後にした。
「お気をつけて」と執事司書さんの声が小さく聞こえた。重いから気をつけてだなんて、紳士だなぁっと呑気に思いながら家に帰った。
バッドエンドだとその日一日嫌な感じが心に張り付く。
だけど、ハッピーエンドの本を読み終えた後の幸福感といったらこの上ない!
通い慣れた図書館の自動ドアが開く。私はこの瞬間が大好きだ。一歩中に入ると、そこには一生かかっても読みきれない程の本が沢山並んでいるのだ。ワクワクする気持ちが、自然と口角を上げる。美女と野獣の野獣が、ベルに図書館をプレゼントした時、きっとこんな気持ちだったんだろうな。
さぁ今日は何を借りようかな?
私はいつも、系統の違う小説を、10冊程借りる。新刊コーナーをチェックし、今週のおススメコーナーを見て、作者順に並んだあ~わの棚の本を目で追ってく。この本前読んだな。この本面白そうだな、とか考えながら本を手に取り、表紙を見たり、出だし辺りを軽く読んだりして、時間をかけながら決める。
今日の戦勝本が決まり、貸し出しカウンターに本を抱えながら向かった。
カウンターには見慣れない司書さんがいた。髪は白くきっちりと7対3で分けていて、丸いメガネを欠けていた。服はお洒落なスーツの上に、この図書館指定の深緑色のエプロンをつけていた。まるで物語に出てくるような「執事」のような雰囲気で、懐中時計とか持ってるのかな?とか、新しい図書館長かな?とか、勝手に想像しながら、重い本をそっとカウンター台の上に置いた。
「貸し出しでお願いします。」
「お預かりします。」声も渋くていい感じだ。私は執事司書さん(こっそりそう呼ぶことにした)がバーコードを読み取りやすいように、本の向きを揃え始めると、「ありがとうございます。」と、にこっと微笑みかけてくれた。もう好感しか持てない。いい人だなぁと思いながら執事司書さんが華麗にバーコードを読み取っていく姿を見守っていた。すると、執事司書さんは、わたしが選んだ覚えのない本を手に取った。
「あれ?その本・・」
「あぁ、『人魚姫』とてもいい本ですよね。」
「そぅ、ですね・・」選んだ覚えがないです、とか、あんまり好きじゃないです、と言うと、執事司書さんが嫌な気持ちになるのではないかと思い、とりあえず借りることにした。まぁ読まなくてもいいし。
「では貸し出し期間は2週間ですね。」執事司書さんは日付の印刷された紙と本を手渡してくれた。
「それと、良かったらこの栞を使ってください。」
「わぁ、かわいいお魚ですね。」ニモだ!と思ったが、心の中で留めた。
「人魚姫の本によく似合うと思います。使ってあげると人魚姫の本も、栞も喜んでくれると思いますよ。」
「ありがとうございます。使わせてもらいますね。」絶対読もう!使おう!この人本が本当に好きなんだなぁ!やっぱいい人~!好感度マックスだよ~!と嬉しい気持ちでいっぱいになりながら、本の入ったバックを担ぎ上げ、自動ドアを後にした。
「お気をつけて」と執事司書さんの声が小さく聞こえた。重いから気をつけてだなんて、紳士だなぁっと呑気に思いながら家に帰った。
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