夜風の中を共に

兎猫

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4話

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「ティエイア様は了承なされてるのですか?」
「ええ。ティエイアに荷物を貰ったのよ。了承していないわけないでしょう」
「分かりました。ですが、これだけお持ちください。守護のネックレスです」

 とても綺麗な青色の宝石のネックレス。守護のネックレスは我が国に伝わる国宝だって記憶があるんだけど。

 もしかして、これって私がこれから危険な場所に行っても掟を守り通す覚悟があるのか見定めるために来たのかな。

 じゃないと、一騎士が国宝を持っているなんて有り得ないよ。

「ありがとう」
「なぁ、これも貴様の国の文化なのか?」
「知らないよ。私だって初めての事だし」
「私は先代から支えておりますが、先代も姫と掟のために外へ出ました。その時は別の騎士でしたが、同じような事をしていました。そのネックレスも代々掟で外へ出る時に我々が王の命で私に参っております」

 このネックレスは掟のために外へ出る王族のためのものだったんだ。

 でも、そんなに外に出てるって事はお見合いなんて意味ないって事なのかな。

「幸運を祈っております。姫様」
「あっ、待って。お手紙だけ持ってって」

 私は急いで手紙を書いた。相手は勿論ティエイア。

「これ、お願い」
「定期的に手紙を持っていきましょうか?そのネックレスには位置が分かるようになっております。姫様さえ宜しければ、今後ともティエイアに手紙を渡しましょう」
「良いの?お願い」

 定期的に今はどんな感じか報告を兼ねて手紙を渡したかった。それがこんな早くに叶うなんて思ってなかった。

「では、私はこれで」
「待てよ」
「何でしょう?龍の王子よ」
「ここまで遠かっただろう。これでも食べて一休みしてからでも良いんじゃねぇのか?」

 リグって優しい。他国の騎士のためにそんな事をしてくれるなんて。

 やっぱり彼しかいないよ。

「では、お言葉に甘えさせていただきましょう」
「おう。えっと、鬼の騎士さんの名前は?今後関わるのに名前が分かんねぇんじゃ、不便だからな。俺の事はリグって呼んでくれ」

 あれ?私の時は名前名乗ってたのに。どうして何だろう。

「龍の子は名を明かさないのであったな。私は鬼の王が十番目の子ボーヒュドと申します」
「ええぇ⁉︎それって王族だよね?どうして他国の騎士なんてしてるの?」

 王族が他種族の国の騎士をするなんて聞いた事がない。

「私は、先代に恩があるのです」
「そうだったんだ。じゃあ、王宮の方が良いんじゃないの?先代の近くにいられるから」
「いえ。姫様はお忘れのようですが、幼少の頃私が姫様の護衛でした。その頃は、本当の妹ができたかのように可愛く姫様も懐いてくださりました」

 ボーヒュドの事は私良く覚えてないの。ただ、騎士にそんな人がいたという事だけ。

 彼は嫌々ここに来ているわけじゃないのかも。それなら、良いんだけど。

「ご馳走様でした。とても美味しかったです」
「おう。また来た時に食わせてやる」
「楽しみにしておきます。では、私はこれで」
「うん」

 ボーヒュドのお陰でまたリグの事を知れた。まだ何も知らないからこれからもどんどん知っていかないと。

 ティエイアに紹介してもらった本によると、恋愛のコツは相手を良く知る事。

 会話もそうだけど、こういう意外なところからも知れる事があるからもっとこういう事起きないかな。

 危険な事は嫌だけど、なんかサプライズ的な事が起きてどんな反応をするのか知りたいかも。
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