6 / 37
第6話 金5両分
しおりを挟む
相手が同じ妃であれば、こちらがどれだけ腹が立っていたとしても、へりくだり妃の怒りのはけ口の矛先を私に向けぬようにとしなければいけなかったが相手は下女だ。
誰かの女官であれば人物によってはたとえ私より身分が低い女官でも手出しは出来なかったが。
幸いあちらは後ろ盾のない下女である。
というか、本来下女が一時の感情で宮の主を巻き込み私物を駄目にするなんてやってはいけないことである。
どのようにしてやり返してやろうかと琳明は楽しげに鼻歌を歌っていた。
「今日はとても楽しそうですね、何かいいことがおありになりましたか?」
香鈴は楽しげな琳明にそう質問した。
「えぇ、後宮は退屈でしたがようやく暇つぶしになるようなことを見つけましたの」
にんまりと笑う琳明にゾクリとした香鈴は顔をひきつらせた。主は笑みを浮かべていらっしゃるがよろしくないことを考えていることがわかったからだ。
「そ、それはよろしゅうございました」
蹴落とすか蹴落とされるかは琳明にとって日常茶飯事だった。琳明が薬屋を継ぐことになるならば、敵は弟だけではなかったからだ。
祖父は弟に店を継がせたかったようだったが、独立してない祖父の弟子や父の弟子もまだ店にいたし。薬屋はこの街に葛の葉だけではない。女の薬師の地位は低く琳明が成功するためには周りは敵だらけだったのだ。
一張羅が駄目になったことはものすごく腹が立つが、退屈な後宮での暮らしにほんの少しやることをみつけた琳明が動き出したのは早かった。
下女が手を出したのは、虐められても黙っている気の弱いお嬢様でも、原因を探らず侍女に怒鳴りつけるだけのお嬢様でもない。
何かあれば自ら頭を下げねばならぬ女主となることを目指していた琳明だったのだから。
いつも通り、天気のいい日は女官を一人連れて琳明は後宮を散歩する。
でも今回の散歩は薬草とりだけが目的ではない。
情報収集である。商売柄人の顔を覚えるのには自信がある、薬屋は顔だけではなく相手の持病なども把握しないといけない。下女の顔を覚えることくらい琳明にはたやすいことだった。
いつも通り、薬草を摘み取りながらあたりに視線を配り、あたりの声を拾う。どれだけ腹が立っても、動くときは1回で決めないといけない。
だからこそ慎重に慎重に、そして周りに悟られぬように琳明は周到に情報を集めた。
下級妃賓は王のおこしがなく荒れている人が多いこと。そんな妃の下についている女官は地獄らしい。王のおこしがないことの苛立ちや他の女のところへと足を運んでいるのではという嫉妬からあたられる女官はたまったものではないという愚痴、さまざまな情報がのほほんと庭を散策する琳明の元に集まって行く。
立場の弱いものへ強いものが圧をかけるのはどこも同じか。
一番の面白い話は衣の被害が私だけではなかったということだ。下級妃賓付きの女官はいつ自分の主の衣が汚されるのではないかとピリピリとしているようだった。
今回やられたのは私以外に3人の妃の衣であった。いずれも狙ったかのように高価な絹地で泥の汚れがめだつ淡い色ばかり。
当然やられたほうはたまったものではない。どうしてちゃんと見ておかなかったのという叱責が女官に飛んだそうで、女官は交代で日陰で干している衣が泥で汚れぬようにと見張りをしているようだ。
まったく下女のせいで無駄に人員を割かれるという最悪な事態だ。
今日も情報を集めて自分の宮に帰った時だった。
「琳明様!」
そういって走ってきたのは香鈴だった。
私の宮には、えっさほいさと荷物が次々と運び込まれていた。
「な……何事ですか」
「それが、それが」
香鈴は混乱しているようで、なかなか言葉にしない。
それもそのはず異常な量の荷物が琳明の宮に現在進行形で運び込まれているのだから。
私に気がついた荷運びの者が責任者を呼んできて小太りの男が現れ膝をついて挨拶をする。
「これは、琳明妃さま、お初にお目にかかります。私は後宮のほうに定期的に物を売りに来ております。張 孫卓と申します。このたびは……王から饅頭の材料を琳明妃さまに都合してやれと頼まれまして――多少量は多いのですが、金額通りですのでご了承を」
さすがに運び込んでいる量が尋常ではないとこの男はわかっているようで、軽く説明をした後目をそっと逸らした。
「饅頭の材料ですって!?」
宮の中には大きな袋がすでに何袋も詰め込まれている。
宮に入り手前にある袋を検める。混じりけなし、真っ白。一目で上等だとわかる小麦粉だった。私が品物を改めている後ろから、大変なことをやらかしている自覚のある孫卓がそっと顔をのぞかせ言葉を紡ぐ。
「今日は快晴ですが、雨にあたりますとせっかくの代物が傷んでしまいますゆえ中に運ばせてもらいました」
私の部屋は備蓄庫じゃないってーの。何袋あるのよ、これ全部小麦粉? 一、二、三と指で大きな袋を数える。
運び込まれた小麦粉は今の段階ですでに20を超えている……
「えっと、孫卓さん。注文は具体的にどのように受けたのかしら?」
「大変申し上げにくいのですが、饅頭の材料を金5両分ほど都合せよと……」
「金ごっ・・・・・・5両ですって!? この部屋饅頭の材料だらけになるわよ。というか入るの?」
思わず大きな声がでた。
「おそらくですがこの部屋の大きさですと、ご用意した小麦粉をいれるだけで精いっぱいかと。さらに申し上げにくいのですが、餡の材料もございます。私どももなるべく持ち込むのが少なくなるように、上等の物を用意する努力はしたのですが、いかんせん金5両分ですから……」
注文の段階で大変な量になるとわかったが王に助言などできるわけもなく……、それなら、数を減らしたほうがいいだろうとなるべく高価な物を用意することで努力をしてみたが、いかんせん金5両分だからどう頑張ってもそれなりの量になってしまいましたというのだ。
小麦粉だけで、部屋がこのありさまなのに、さらに餡の材料って野菜もこの部屋にくるというの? 嘘でしょう……
同じ金5両もあれば、あの駄目になった衣の買い直しがあっさりとできたのに、私に届いたのはまさかの饅頭の材料。
思わず額を抑えてよろめいてしまう。
後宮で饅頭屋なみに饅頭を作る必要などない、せいぜい身内で食べる量あれば十分なのに、なぜ金5両などというとんでもない注文がされ、それが受理されてしまうのか……
「孫卓さん、お願いこれだけの量をこの宮にいれるのは無理だわ。全部搬入しなくてもわかるわ、そのことはあなたもわかっているでしょう?」
思わず琳明は張 孫卓に泣きついた。
「はい、存じ上げております。しかし品物を持ってこないわけにはいかないのです。私どものの立場もご理解いただけたらと思います。」
琳明の泣き落としにたいして、張ははっきりとそう答えた。そりゃそうだ、ちょっとした不祥事で王宮との取引がなくなっては大変である。
琳明の嘆願は叶わず、おそらく、備蓄のしやすさを考えてくれたのだろう。餡の材料の野菜より、小麦粉が部屋にぎっしりと、それは普通に備蓄用に積むかのように天井まで高く積み上げられた……
通常女ばかりの後宮であの高いところにある小麦をどうやって下すの? など問題は山積みだが、外に出しておくわけにもいかない。
あまりの予想外の事態に思わずキーーーーっと頭をかきむしりたくなる。
部屋の外には入りきらなかった野菜がたっぷり、いやごっそりと運び込まれる。
「それでは、金5両分確かに……運びましたゆえ」
「まって」
帰ろうとする孫卓を呼びとめる。
「はい」
孫卓もこの惨状のひどさに苦笑いを浮かべながら立ち止まる。
「私……後宮に饅頭づくりの道具など持ってきていないの。だからどれだけ上等な材料を賜っても、これでは饅頭はつくれないのよ。王のお望みは私がここでも饅頭を作れるようにだと思うのです。だから、どうか金5両すべて饅頭の材料ではなく、饅頭をつくる道具を用意するのにも使ってほしいのです。もう材料を準備してしまったことは理解しています。ですが、どうかどうか……」
思わず涙目になってしまう。
こんなもの置いていかれたらどうしたらいいんだ。野菜は備蓄出来るように洗って干したりするにしてもスペースを取るのだから。
孫卓はちらりと積み上げられた備蓄のような小麦の山と、部屋の前にごっそりとある野菜の山をみてため息を一つついた。
「かしこまりました、金1両分ほど使ってなんとかそちらの準備をいたしましょう。ご希望はございますか?」
「とりあえず、基本の道具を人そろえ。饅頭を楽しむには、御茶も必要だと思うのよ。後は私の家に、以前使っていたものがありまして、それもできれば持ってきていただけると。できれば雨が降るとまずいのですぐにでも……」
「かしこまりまして、野菜は傷むもので、小麦をその分ひきとらせていただきます」
孫卓は頭を下げ、小麦を一両分持ち帰るぞと指示を出すと、琳明の部屋から小麦が運び出される。
どこで寝たらいいんだから、なんとか通って寝ることができそうなくらいには小麦は減った。
誰かの女官であれば人物によってはたとえ私より身分が低い女官でも手出しは出来なかったが。
幸いあちらは後ろ盾のない下女である。
というか、本来下女が一時の感情で宮の主を巻き込み私物を駄目にするなんてやってはいけないことである。
どのようにしてやり返してやろうかと琳明は楽しげに鼻歌を歌っていた。
「今日はとても楽しそうですね、何かいいことがおありになりましたか?」
香鈴は楽しげな琳明にそう質問した。
「えぇ、後宮は退屈でしたがようやく暇つぶしになるようなことを見つけましたの」
にんまりと笑う琳明にゾクリとした香鈴は顔をひきつらせた。主は笑みを浮かべていらっしゃるがよろしくないことを考えていることがわかったからだ。
「そ、それはよろしゅうございました」
蹴落とすか蹴落とされるかは琳明にとって日常茶飯事だった。琳明が薬屋を継ぐことになるならば、敵は弟だけではなかったからだ。
祖父は弟に店を継がせたかったようだったが、独立してない祖父の弟子や父の弟子もまだ店にいたし。薬屋はこの街に葛の葉だけではない。女の薬師の地位は低く琳明が成功するためには周りは敵だらけだったのだ。
一張羅が駄目になったことはものすごく腹が立つが、退屈な後宮での暮らしにほんの少しやることをみつけた琳明が動き出したのは早かった。
下女が手を出したのは、虐められても黙っている気の弱いお嬢様でも、原因を探らず侍女に怒鳴りつけるだけのお嬢様でもない。
何かあれば自ら頭を下げねばならぬ女主となることを目指していた琳明だったのだから。
いつも通り、天気のいい日は女官を一人連れて琳明は後宮を散歩する。
でも今回の散歩は薬草とりだけが目的ではない。
情報収集である。商売柄人の顔を覚えるのには自信がある、薬屋は顔だけではなく相手の持病なども把握しないといけない。下女の顔を覚えることくらい琳明にはたやすいことだった。
いつも通り、薬草を摘み取りながらあたりに視線を配り、あたりの声を拾う。どれだけ腹が立っても、動くときは1回で決めないといけない。
だからこそ慎重に慎重に、そして周りに悟られぬように琳明は周到に情報を集めた。
下級妃賓は王のおこしがなく荒れている人が多いこと。そんな妃の下についている女官は地獄らしい。王のおこしがないことの苛立ちや他の女のところへと足を運んでいるのではという嫉妬からあたられる女官はたまったものではないという愚痴、さまざまな情報がのほほんと庭を散策する琳明の元に集まって行く。
立場の弱いものへ強いものが圧をかけるのはどこも同じか。
一番の面白い話は衣の被害が私だけではなかったということだ。下級妃賓付きの女官はいつ自分の主の衣が汚されるのではないかとピリピリとしているようだった。
今回やられたのは私以外に3人の妃の衣であった。いずれも狙ったかのように高価な絹地で泥の汚れがめだつ淡い色ばかり。
当然やられたほうはたまったものではない。どうしてちゃんと見ておかなかったのという叱責が女官に飛んだそうで、女官は交代で日陰で干している衣が泥で汚れぬようにと見張りをしているようだ。
まったく下女のせいで無駄に人員を割かれるという最悪な事態だ。
今日も情報を集めて自分の宮に帰った時だった。
「琳明様!」
そういって走ってきたのは香鈴だった。
私の宮には、えっさほいさと荷物が次々と運び込まれていた。
「な……何事ですか」
「それが、それが」
香鈴は混乱しているようで、なかなか言葉にしない。
それもそのはず異常な量の荷物が琳明の宮に現在進行形で運び込まれているのだから。
私に気がついた荷運びの者が責任者を呼んできて小太りの男が現れ膝をついて挨拶をする。
「これは、琳明妃さま、お初にお目にかかります。私は後宮のほうに定期的に物を売りに来ております。張 孫卓と申します。このたびは……王から饅頭の材料を琳明妃さまに都合してやれと頼まれまして――多少量は多いのですが、金額通りですのでご了承を」
さすがに運び込んでいる量が尋常ではないとこの男はわかっているようで、軽く説明をした後目をそっと逸らした。
「饅頭の材料ですって!?」
宮の中には大きな袋がすでに何袋も詰め込まれている。
宮に入り手前にある袋を検める。混じりけなし、真っ白。一目で上等だとわかる小麦粉だった。私が品物を改めている後ろから、大変なことをやらかしている自覚のある孫卓がそっと顔をのぞかせ言葉を紡ぐ。
「今日は快晴ですが、雨にあたりますとせっかくの代物が傷んでしまいますゆえ中に運ばせてもらいました」
私の部屋は備蓄庫じゃないってーの。何袋あるのよ、これ全部小麦粉? 一、二、三と指で大きな袋を数える。
運び込まれた小麦粉は今の段階ですでに20を超えている……
「えっと、孫卓さん。注文は具体的にどのように受けたのかしら?」
「大変申し上げにくいのですが、饅頭の材料を金5両分ほど都合せよと……」
「金ごっ・・・・・・5両ですって!? この部屋饅頭の材料だらけになるわよ。というか入るの?」
思わず大きな声がでた。
「おそらくですがこの部屋の大きさですと、ご用意した小麦粉をいれるだけで精いっぱいかと。さらに申し上げにくいのですが、餡の材料もございます。私どももなるべく持ち込むのが少なくなるように、上等の物を用意する努力はしたのですが、いかんせん金5両分ですから……」
注文の段階で大変な量になるとわかったが王に助言などできるわけもなく……、それなら、数を減らしたほうがいいだろうとなるべく高価な物を用意することで努力をしてみたが、いかんせん金5両分だからどう頑張ってもそれなりの量になってしまいましたというのだ。
小麦粉だけで、部屋がこのありさまなのに、さらに餡の材料って野菜もこの部屋にくるというの? 嘘でしょう……
同じ金5両もあれば、あの駄目になった衣の買い直しがあっさりとできたのに、私に届いたのはまさかの饅頭の材料。
思わず額を抑えてよろめいてしまう。
後宮で饅頭屋なみに饅頭を作る必要などない、せいぜい身内で食べる量あれば十分なのに、なぜ金5両などというとんでもない注文がされ、それが受理されてしまうのか……
「孫卓さん、お願いこれだけの量をこの宮にいれるのは無理だわ。全部搬入しなくてもわかるわ、そのことはあなたもわかっているでしょう?」
思わず琳明は張 孫卓に泣きついた。
「はい、存じ上げております。しかし品物を持ってこないわけにはいかないのです。私どものの立場もご理解いただけたらと思います。」
琳明の泣き落としにたいして、張ははっきりとそう答えた。そりゃそうだ、ちょっとした不祥事で王宮との取引がなくなっては大変である。
琳明の嘆願は叶わず、おそらく、備蓄のしやすさを考えてくれたのだろう。餡の材料の野菜より、小麦粉が部屋にぎっしりと、それは普通に備蓄用に積むかのように天井まで高く積み上げられた……
通常女ばかりの後宮であの高いところにある小麦をどうやって下すの? など問題は山積みだが、外に出しておくわけにもいかない。
あまりの予想外の事態に思わずキーーーーっと頭をかきむしりたくなる。
部屋の外には入りきらなかった野菜がたっぷり、いやごっそりと運び込まれる。
「それでは、金5両分確かに……運びましたゆえ」
「まって」
帰ろうとする孫卓を呼びとめる。
「はい」
孫卓もこの惨状のひどさに苦笑いを浮かべながら立ち止まる。
「私……後宮に饅頭づくりの道具など持ってきていないの。だからどれだけ上等な材料を賜っても、これでは饅頭はつくれないのよ。王のお望みは私がここでも饅頭を作れるようにだと思うのです。だから、どうか金5両すべて饅頭の材料ではなく、饅頭をつくる道具を用意するのにも使ってほしいのです。もう材料を準備してしまったことは理解しています。ですが、どうかどうか……」
思わず涙目になってしまう。
こんなもの置いていかれたらどうしたらいいんだ。野菜は備蓄出来るように洗って干したりするにしてもスペースを取るのだから。
孫卓はちらりと積み上げられた備蓄のような小麦の山と、部屋の前にごっそりとある野菜の山をみてため息を一つついた。
「かしこまりました、金1両分ほど使ってなんとかそちらの準備をいたしましょう。ご希望はございますか?」
「とりあえず、基本の道具を人そろえ。饅頭を楽しむには、御茶も必要だと思うのよ。後は私の家に、以前使っていたものがありまして、それもできれば持ってきていただけると。できれば雨が降るとまずいのですぐにでも……」
「かしこまりまして、野菜は傷むもので、小麦をその分ひきとらせていただきます」
孫卓は頭を下げ、小麦を一両分持ち帰るぞと指示を出すと、琳明の部屋から小麦が運び出される。
どこで寝たらいいんだから、なんとか通って寝ることができそうなくらいには小麦は減った。
16
あなたにおすすめの小説
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
~後宮のやり直し巫女~私が本当の巫女ですが、謂れのない罪で処刑されたので後宮で人生をやり直すことにしました
深水えいな
キャラ文芸
明琳は国を統べる最高位の巫女、炎巫の候補となりながらも謂れのない罪で処刑されてしまう。死の淵で「お前が本物の炎巫だ。このままだと国が乱れる」と謎の美青年・天翼に言われ人生をやり直すことに。しかし巫女として四度人生をやり直すもののうまくいかず、次の人生では女官として後宮入りすることに。そこで待っていたのは後宮で巻き起こる怪事件と女性と見まごうばかりの美貌の宦官、誠羽で――今度の人生は、いつもと違う!?
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる