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先輩
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その日。拓郎は新しく始めた深夜から朝までのバイトで疲れていた。
登校して出席はしたものの、午後は校庭の木陰で部活を眺めていた。
(野球か。好きだったな俺も。部活なんかできる身分じゃないからなあ)
「おーい! そっち行ったぞ!」
拓郎は意識を集中し、飛んでくる白球をよく見た。
(あれは硬球か? このコースだと校舎のガラスに当たるか?)
(ん? 女がぼんやり歩いてやがる? バカヤロウ!)
拓郎はとっさに駆け寄ったが間に合いそうにない。
「よけろ馬鹿っ! 死ぬぞ!」
ぽかんとしている女の足元にタックルし、二人はもつれて転んだ。
「なんですいきなり? 痛いじゃないですか。あれ?」
すぐ側の植木鉢が粉々に砕けていた。飛んできた白球が転がっている。
「うわあ! ボールがぶつかったんです? あなた高等部の先輩です?」
「もしかして助けてくれました? あれ? いつまで抱きついてます?」
中等部の制服を着た少女の身体は妙に柔らかく、拓郎は一瞬動揺した。
「先輩。そこ触っちゃ嫌です。くすぐったい……。先輩?」
「す、すまん。ひざが痛くて立てん。ちょっと誰か呼んでくれ」
登校して出席はしたものの、午後は校庭の木陰で部活を眺めていた。
(野球か。好きだったな俺も。部活なんかできる身分じゃないからなあ)
「おーい! そっち行ったぞ!」
拓郎は意識を集中し、飛んでくる白球をよく見た。
(あれは硬球か? このコースだと校舎のガラスに当たるか?)
(ん? 女がぼんやり歩いてやがる? バカヤロウ!)
拓郎はとっさに駆け寄ったが間に合いそうにない。
「よけろ馬鹿っ! 死ぬぞ!」
ぽかんとしている女の足元にタックルし、二人はもつれて転んだ。
「なんですいきなり? 痛いじゃないですか。あれ?」
すぐ側の植木鉢が粉々に砕けていた。飛んできた白球が転がっている。
「うわあ! ボールがぶつかったんです? あなた高等部の先輩です?」
「もしかして助けてくれました? あれ? いつまで抱きついてます?」
中等部の制服を着た少女の身体は妙に柔らかく、拓郎は一瞬動揺した。
「先輩。そこ触っちゃ嫌です。くすぐったい……。先輩?」
「す、すまん。ひざが痛くて立てん。ちょっと誰か呼んでくれ」
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