時の間のスクワール

北条丈太郎

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雨宮

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「拓郎君! 後輩にエッチなことしたって本当?」
「そういうことは彼女の私にしなさいよバカっ!」
保健室で治療を受けていた拓郎は真帆の全力ビンタを食らった。
「おやおや? 後輩女子を助けて負傷だなんてかっこいいね拓郎君」
続けて保健室に入って来た茂は満面の笑みで拓郎の傷を触った。
「痛え! かんべんしてくださいよ会長……」
(こいつ、からかいに来やがったのか。性格悪いやっちゃ……)
「ほら、雨宮さん。おいで。拓郎君にお礼を言わないと」
件の少女が恥ずかしそうに拓郎に近づいて抱きついた。
「!」「?」
少女の身体の柔らかさと、ほんのり甘めの香りに拓郎は包まれた。
扉の影から凍るような視線が投げられていたが、拓郎は気づかなかった。
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