おためし勇者と魔王見習いの旅

北条丈太郎

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旅は道連れ

吟遊詩人の歌

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 ユーキを見つけたケンがほっと一息ついたとき、マラインが演奏を始めた。木製の楽器から音が流れ出すと子供たちが集まり、やがて大人たちも集まった。
 マラインは注目を集めながら灰色の長髪に手をやった。そして息を吸い、自分を見ている人々に向かって微笑みながら曲を奏で、歌を歌い始めた。
「ああ、あの子はどこにいるのだろう。自分の居場所を探して家を出てしまった。あの子は川が流れるように揺らめき、陽の光を浴びて輝いているだろう。僕はあの子を探して遠くまで来たんだ。でもあの子は僕の思いなんか知らないだろう」
 マラインの歌を聞いた人々はただ沈黙し、うっとりとした表情で耳を澄ました。なかには涙ぐむ人もいた。何よりケンの隣にいるユーキは泣いていた。
「……私だって、好きで家を出たんじゃない。みんなが私の気持ちを分かってくれないから仕方なく出たのよ。でも、みんなは今頃どうしてるのかな?」
 ユーキはぼそぼそとつぶやいた。ケンはつぶやきを聞いたが、理解しなかった。
 そしてマラインが一曲歌い終えると、集まっていた人々は拍手を送り、徐々にその場を離れていった。そしてケンが気付くと、その場にタランたちが近づいてきた。
「王子、ユーキ。こんなところで何を? ああ、吟遊詩人がいるんですね」
 タランは感動している様子のユーキに話しかけた。するとユーキが口を開いた。
「……ねえマライン。さっきの歌、あの子って誰なの? もしかして、マラインは女の子を探してるの? 金貨をあげるから教えてよ」
 ユーキは懐から金貨を取り出し、マラインの手前に置かれた楽器のケースに入れた。ケースには何枚もの銅貨が入っていて、ユーキの金貨はひときわ輝いた。
「お嬢さん、それはラクマ大王国の記念金貨ですね。王家につながる人でなければ持っていないはず。もしかするとあなたは……」
 マラインが金貨をつかみ、手触りを確かめたとき、ユーキは逃げようとした。
「ユーキ! 私も気になっていました。あなたは何者ですか?」
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