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孤島

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(……ここはどこだ? 俺は生きているのか)
強い日差しが肌を焼く感覚で十郎は目を覚ました。
目を開けると陽光がまぶしく、背中に当たる砂も焦げるように熱かった。
(どこかの浜に打ち上げられたんだな。嵐がすごかったが助かったんだ)
十郎は起き上がり、辺りを見回した。
(なんだ? あんな植物は見たことがない。ずっと砂浜になってるぞ)
十郎は砂浜を歩き続け、浜辺に漂着した船の残骸を確認した。
「姫! よかった。生きてたな! おお、俺たちは助かったんだ」
やがて意識を取り戻した雪姫も十郎と同様に辺りを見て愕然とした。
「十郎。ここはどこなの? もしかして島なんじゃないの?」
姫の予感を確かめるために二人は浜辺を延々と歩いた。
そして二人は出発点の船の残骸の元へ戻ってきた。
「やっぱり一周したんだよ私たち。ここは島なんだ」
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