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口付け

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日差しにさらされた雪姫の白い肌は真っ赤に焼けて腫れ上がっていた。
浜辺に座り込んでいた姫は突然倒れ、その場で寝込んでしまった。
「姫! しっかりしてくれ! 返事をしてくれ。……いかんなこれは」
十郎は姫を抱え上げて木陰に連れて行ったが、すでに息も絶え絶えだった。
「水……」
十郎はそこらに転がっている椰子の実を見て、宝刀時雨で割ろうとした。
(この刀も錆が浮いちまった。大事に使わないとな)
実を割った十郎はわずかな果汁を姫に飲ませようとしたが姫は飲めない。
(口を開けてくれ。このままじゃ死んじまう)
十郎は次の実を割り、果汁を自分の口に含んだ。
(飲んでくれ。これなら飲めるだろう)
十郎は自分の唇を姫の唇に交差させ、口移しで果汁を流し込んだ。
繰り返すこと数回。姫の目がうっすらと開いた。
姫は目の前の十郎に口付けし、それを何度も繰り返した。
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