夕日と白球

北条丈太郎

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新たなる野球部

女房役はつらいよ

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 小船ナインは対戦相手の高田中に対し、試合前の守備練習を見て大した相手ではないと判断していた。 前回の樋口中よりはマシな相手だという程度の認識を持った。ナインはみなリラックスして、特訓の成果を見せてやろうと微笑みながら試合に臨んだ。
 肩の力を抜いて打席に立った小船打線は初回からヒットを連発した。送りバントなどはせず、ランナーは隙を見てどんどん盗塁を決めた。小船打線が序盤に五点を先制したため、マウンドの太陽も余裕を持って直球をのびのびと投げた。高田中の打者たちは手も足も出ず、ただ三振するばかりであった。太陽は気分良く投げ、時折白い歯も見せた。
 太陽の様子が気になった夜空はタイムをとってマウンドに行き、太陽に話しかけた
「……あのな太陽。ちょっと飛ばしすぎだぞ。三振を意識して投げてるのか? 球が少しずつ高めに来てるぞ。サイン通り低めに集めて打ち取ろうぜ。いいか?」
「うるさいなあ夜空くん。気分良く投げてるんだからほっといてよ」
 少しむっとした感じになった太陽を見た夜空はそれ以上何も言わずホームに戻った。
 夜空が心配していたのは太陽の球数であった。この試合に勝てたとしても疲労はたまる。次の試合に備えて球数をセーブさせるのもキャッチャーの仕事ではないのかと考えた。だが目の前の試合に勝つことが最重要であった。そして気分良く投げさせるのもキャッチャーの仕事であった。
「……ええい! いろいろ考えてもしょうがねえ! 太陽! 気分よく投げやがれ!」
 そこから夜空はいわゆる対角線のサインを出し、太陽に三振を取らせた。
 そして試合終盤になると太陽はバテはじめ、二、三本のヒットを許した。太陽は悔しそうな顔をしたが夜空がマウンドに行こうとすると首を振って拒否した。
 ……結局試合は小船中の完封勝ちとなった。
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