女性漫画家いちご先生を復活させたい男性編集者の物語

北条丈太郎

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いちご夢野先生と睦月拓馬

ひとつ屋根の下で再会そして

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 山川家の居間は広く、山川母娘と拓馬の三人で食卓を囲むには広すぎると言えた。
「……とりあえずな、奈緒美が睦月と会いたくないっつうのは奈緒美の強い希望やからどうしようもないやろ。ウチと睦月の出会いもなあ、奈緒美の代理としてウチが砦市駅まで行ったのがきっかけやったわけやし。ほんでな、ウチは奈緒美の代理人やることにするわ」
 食卓には真潮がゆっくりと運んでくる野菜料理が並べられていった。
 ちょっと多すぎるのではないかと拓馬は思ったが、美味しそうな匂いに拓馬は魅了された。
「ウチもな、また奈緒美が漫画を描くことになったら嬉しいわ。奈緒美はけっこう稼いどったしな。やっぱ才能あるんやろ。このまま引きこもってたら才能腐らすだけやしな、姉としても妹がずっと引きこもってるのは気になるねん。そういうわけでな、ウチと睦月で話進めようや」
 拓馬は若菜の話を黙って聞いていたが、料理を並べている真潮が拓馬に微笑みかけたため、箸をとって野菜の煮物を食べてみた。そのとき、拓馬は想像を超えた美味に感動した。
「美味いか? この野菜はみんな家で作ったんだあ。伊達にオラは農家やってねっぺよ」
 真潮が笑いながら拓馬に言いかけたとき、拓馬は大事なことを思い出してバッグを手にした。
「すみません。俺は持病の薬を飲まないといけないんです。食後に飲むんでここに置きます」
 拓馬が薬を食卓に並べて再び箸をとると、真潮はうなずいて立ち上がった。
「……奈緒美! 飯出来てっから来な! 来ないとお客さんが全部食っちまうっぺ!」
 居間の戸を開けた真潮はどこかに向けて大きな声を出した。そして、しばらく反応はなかった。
「……ごちそうさまでしたお母さん。あの、薬を飲んだので横にならせてもらいます」
 食後に薬を飲んだ拓馬は副作用で眠り始めた。そして目がかすみ始めたとき、白い手が見えた。
「……編集さん? 編集の睦月さんですか? あれ? でも?」
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