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2話 冒険者になる4
しおりを挟む冒険者ギルドの受付は、朝から多くの冒険者たちでごった返していた。
使い込まれた革の鎧を身につけた屈強な騎士や、魔法の杖を手に、ローブを翻す魔術師たちが、それぞれの冒険談に花を咲かせ、賑やかに談笑している。
その喧騒の中心に、一人の受付嬢が、疲労の色を隠せないながらも、明るい笑顔で立っていた。
「いらっしゃいませ!冒険者さん、ご苦労様です!」
その温かい声は、ギルドの喧騒の中でもよく通り、ユウトの張り詰めていた緊張を、ほんの少しだけ和らげてくれた。
「今日はどうされますか?ギルドへの登録でしょうか?」
受付嬢は、向かってくるユウトに声をかけた。ユウトはその瞬間、彼女の姿に思わず見惚れてしまった。
ネームプレートには「リリア」と書かれている。
ユウトが思わず見惚れてしまうような、親しみやすくも洗練された容姿をしていた。身長160cmぐらいだろうかしなやかで均整の取れた体つき。
人懐っこい笑顔が魅力的で、少しタレ気味の大きな瞳と、常に口角が上がっている唇が印象的だ。
腰まで届くストレートな金髪は、毛先が少しカールしており、動くたびに軽やかに揺れる。
ギルドの制服である深緑色のワンピースを着用しており、胸元にはギルドの紋章が刺繍されている。
ウエストをキュッと絞ったデザインが彼女のスタイルを際立たせていた。
ユウトは、転生前の世界では決して出会うことのなかったであろう、美しさに、頬が緩むのと同時に胸の鼓動が速くなるのを感じた。
「はい、登録と、身分証を作りに来ました」
ユウトは、まだ慣れないこの世界の言葉で、たどたどしく答えた。
震える手で、渡された用紙に、言われるがままに必要事項を書き込んでいく。見たこともない文字の羅列なのに、なぜか手が自然と動き、文字を綴っていくのが不思議だった。
(橘ユウト、18歳……。転生者だってバレないかな……)
ユウトは、内心冷や汗をかきながら、自分の生年月日を記入した。
「こんにちは、初めましてリリアと申します。緊張していますね?初めてですか?」
リリアは、ユウトのぎこちない様子を敏感に察し、まるで母親が子供に話しかけるような、優しい口調で尋ねてきた。
「えっと、はい、そうです……」
「冒険の世界は危険がいっぱいですが、その分、普段の生活では味わえないような感動や発見があると思います!あなたもきっと、素敵な冒険ができると思いますよ!」
彼女の、飾り気のない、心からの励ましの言葉に、ユウトの心は少しずつ前向きになっていくのを感じた。
「初めて冒険者になる人は保証人がいるのですが、どなたかいますか?」
後ろからフィオナが声をかける。
「私が保証人よ」
フィオナはユウトのそばに歩み寄り、受付嬢にきっぱりと言い放った。
「…あら、フィオナ様。どうしてこのような場所へ?」
リリアは、驚きと困惑の入り混じった表情で尋ねた。フィオナの鋭い眼差しと、自警団隊長の制服は、この場所には不釣り合いなほど威圧感があった。
「それはあなたには関係ないわ。それより、この男の保証人になると言っているの。早く手続きを進めてちょうだい。」
フィオナは、苛立ちを隠さずにそう告げた。その言葉に、リリアは一瞬たじろいだが、すぐにプロの顔に戻り、にこやかに対応した。
「かしこまりました。フィオナ様が保証人についてくださるなら、問題ございません。ユウト様、これで冒険者登録の手続きは完了です」
リリアはにこやかにユウトに声をかけると、フィオナにも頭を下げた。
「フィオナ様、改めまして、ご登録ありがとうございます。ご本人様は、この後、魔力テスト、訓練場で体力測定を受けていただくことになります。今しばらくお待ちください」
フィオナは、面倒くさそうに「分かったわ」とだけ言い、ユウトを促した。
ユウトは、フィオナがなぜ自分の保証人になってくれたのか、何故そんなツンツンした態度を取るのか理解できず、ただただ戸惑うばかりだった。
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