長いタイトル、くそ喰らえ。

mimikan

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危ない所でした。2

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​「もう1人の魔力が多い人物はユウト。自警団で最近活躍を見せています。また、7属性の魔法を使えます。そして、今回のキーでもある『転生の勇者』です」

​「あいつが! どうりでトラブルに首を突っ込んで来るわけだね。お決まり過ぎるね」

​「そうですね。でも探す必要がなくなりました」

​不穏な空気が張り詰める中、小柄なヒナが勇敢にもユウトとミナトの間に割って入り、両手両足を大きく広げて叫んだ。

​「もう、あんたたちやめなさいよ! どんだけ迷惑かけるのよ!」

​彼女の高い声が、騒がしい酒場の中に響き渡った。だが、男たちは互いを睨みつけ、一向にその場から動く気配を見せない。ヒナは一歩前に踏み出し、フォイに向かって再度叫んだ。

​「やめなさいよ!」

​フォイは「黙れ!」と言い放ち、ヒナを強く後ろへ突き飛ばした。

​「きゃっ!」

​ヒナは尻もちをついた。その次の瞬間、団長のゴウキが焦った声を上げた。

​「あ、ヤバい!」

​「ちょっと! 美咲! 落ち着いて!」

​僧侶のアヤハが、副団長のミサキを制止しようと叫ぶ。ミナトもまた、叫んだ。

​「おまえっ! ストップ!」

​しかし、全てが遅かった。

​アイが、小さく呟く。

​「非常にマズいですね。すいません、ゴウキさん。えい」

​アイは物理法則を無視したかのように、ゴウキの体をユウトの前に突き飛ばした。ゴウキの巨体が宙に浮いた次の瞬間、空気が震え、ミサキの蹴りがゴウキの腹部にめり込んだ。

​「コパぁ~!」

​ゴウキの口から聞いたことのない音が響き渡る。その巨体はコマのように回転し、後方にいたユウトとフォイを巻き込みながら、酒場の壁に叩きつけられた。壁は粉塵を巻き上げ、まるでゴウキの体の型を刻んだかのように大きく抉られていた。

​アヤハが駆け寄り、心配そうに声をかける。

​「大丈夫かしら。死んでない?」

​「うぅ、痛え。大丈夫だ。俺は死んでないぞ」

​壁に埋まったまま、呻きながらゴウキが答える。

​「知ってるわよ。誰があんたの心配するのよ」

​アヤハの突き放すような言葉に、ヨウタが苦笑いしながら口を挟んだ。

​「チャラい兄ちゃんは魔力少なかったからヤバいかもね。アヤハ、診てあげて」

​「仕方ないわね。うちの副団長のせいだし、サービスでみてあげる」

​アイは呆れたようにユウトの方を指さす。

​「危ないところでした。副団長さん。やってくれましたね。もう少しで『ゲームオーバー』になるところでした。あそこで白目を剥いて床にダイブしているのが今回のキー『ユウト』です」

​そして、冷静に状況を分析する。

​「私のダメージ吸収の術がなければ、2人は木っ端微塵になっていましたよ」

​ミサキは俯き、申し訳なさそうに呟いた。

​「……ごめんなさい。脚が勝手に…」

​「術って俺を勝手に突き飛ばしただけだろうが!」

​ゴウキは壁から這い出て、不満を爆発させた。

​「ちゃんと『すみません』と言ってたから押しましたが? 何か問題でも?」

​アイの言葉に、ゴウキは頭を抱える。

​「大ありだ! 急に巻き込まれると心臓が持たんぞ!」

​「スキャンしました。心臓に問題はありません。ゴウキ。何か他に問題でも?」

​「気持ちの問題なんだよ! これだから人工知能は。くせにバカなのか? アホなのか!?」

​言い争うゴウキとアイを見て、ミナトが冷静に指示を出した。

​「美咲はすぐに頭に血が登って脚が出るくせは早く直せ。説教は後にして、ゴウキと一緒にマスターと他のお客に謝罪して来い」

​ミサキは素直に頷く。

​「…はい」

​「なんで、俺も行くんだよ!」

​「お前がいろん物を壊しただろ?」

​「不条理にも程があるだろ!」

​ミナトが声を上げる。

​「みんな! すまなかった! うちのメンバーが迷惑をかけた、今日は俺等の奢りとさせてもらう! 好きなだけ飲んでくれ!」

​「ミナト最高!」「ミナト万歳!」酒場の客は口々に歓声をあげた。

​「なんで湊なんだよ! 俺が1番頑張ったと思うぞ。1番体張ったぞ」

​不満を漏らすゴウキに、ミナトは飄々と答える。

​「ゴウキも気にするなよ! 美咲も気にするな! ゲームオーバーになってないから結果オーライだ!」

​「待て、『気にするな』は俺が使うセリフだ。セリフとるな。と言うか、なんでお前が1番美味しい所持っていってるんだ!」

​一方、アヤハはユウトの様子を確認していた。

​「美咲。とりあえず、2人とも死んでないわ! でも、あなた魔力バインドを乗せて蹴ったわね。このユウトとかいう人、しばらく魔法使えないわよ、チンピラのお兄さんは致命的ね」

​ミサキは無意識だったと告げた。

​「無意識に効果乗せたかも…」

​その言葉を聞いたアイが、冷たく言い放った。

​「魔法が使えない『転生の勇者』は一般人以下です。この世界ではすぐに死ぬでしょう。『転生の勇者』が進めるはずのストーリーを、暫く代わりに我々でクリアする必要がありますね」
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